Essay


第九回:作品の『雰囲気』

僕は、何か作品を読んだり観たりやったりしたあと評価を下すときに、『絵』とか『シナリオ』とか『音楽』とかそういったものとは別枠で『雰囲気』を見る。
本当にこの『雰囲気』という点は、「考えるな、感じろ」としか言いようのないものなのだけど、この『雰囲気』が良いと、シナリオやらなにやらに多少の不具合や何かがあっても、それは全く無問題になってしまう。
例えば僕がその『雰囲気』を気に入っている作品を挙げると、

『Kanon』『AIR』『月は東に日は西に』『顔のない月』
『ラブひな』『魔法先生ネギま!』
『ダンス・ダンス・ダンス』『アフターダーク』その他村上春樹作品
『ヘヴンズ・ルール』『Missing』『氷菓』

思いつく限りをジャンル別で並べるとこんな感じになる。
この手の話をすると良く出てくる作品ばかりでもううんざりかもしれないと思うんだけれど、僕を良く知っている人間には、『Canvas』『スクールランブル』『明日の夜明け』なんかが入っていないことに多少の疑問を覚えるかもしれない。でも、そこが作品の持つ『雰囲気』の面白さなのだと思う。
僕がその『雰囲気』を好きか嫌いか分ける基準は、簡単に言えば「その世界に入っていきたいかどうか」なのだけれど、あとに挙げた三つは『雰囲気』よりキャラや話が好きなのである。
そしてどういったわけか、この『雰囲気』と言うものは、本当に好きかどうか、自分の心に問いかけるだけで簡単に答えが出る。自分でも本当に良く分からない部分なのだけれど。



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