Essay
第二回:尊敬する人はと言われたら……?
尊敬する人って誰、と訊かれたらどうしますか?
僕は、一応答えられる。
まず、歴史的な人物としてソクラテスがあげられる。ソクラテス、なんて言うと、冗談言うんじゃねぇ、みたいなことをよく言われるのだけど、僕はいたってまじめである。
ギリシャ哲学の父、ソクラテスには様々なエピソードがあるけれど、僕が一番好きなのは彼の生き方だ。『善く生きる』、というやつである。
ソクラテスは戦争後、言いがかりをつけられて投獄された。下された判決は死刑だった。
ソクラテスもその弟子も、この判決が決して正当なものでないことはわかっていた。だから弟子たちはソクラテスに脱獄を勧めた。その状況で脱獄することは簡単だったけれどソクラテスはそれを選ばずに毒杯を仰いだ。
「たとえそれが悪法であるとしても、それを正当でない手段で破ってはいけない」
そのとき彼が言ったことは、大体こんなことだったと思う。
昔受験勉強の一環としてやった英文に、ソクラテスは死ぬことによって解放されようとしていた、というようなものがあったけど、僕はそう思わない。
彼はあくまで、善く生きることを選んだのだと思う。たとえその先に死があるとしても。
こんなわけで、僕はソクラテスを尊敬している。いつか、「自分は善く生きた」と胸を張って言えるようになりたいと思う。
次は、今も生きている人である。尊敬しているし、目標でもある。
Visual Art's/Keyの、麻枝准さんである。
ここからは、僕と親しい友人にとっては耳タコな話になるが、やはり話そうと思う。
このHPに適度に訪れて、日記を読んでくれたりしている人は知っていると思うけれど、僕が初めてやったゲームは「Kanon」である。
それ以来僕は(一般的に)道を踏み外した、ということになる。
こういうこと言うと、それはマニアだからだ、とか言われるのかも知れなけど、ギャルゲーエロゲーは決して悪い文化ではないと思う。僕は基本的に、とりあえずエロい、みたいな作品は好きではないのだけれど、感動できるような話は好きだから、小説でも漫画でもギャルゲーでも、僕は平等に扱う。
そういった作品の中でも、「Kanon」や「AIR」は突出していると思う。これは全くの僕の主観だけれど、最近ヒットした「世界の中心で愛を叫ぶ」とか、「冬のソナタ」より、よっぽど斬新で面白い。まあ、この二作はその『単純さ』が人気を呼んだのかもしれないけど。
で、麻枝准である。
彼はKeyのシナリオライターであり、ミュージックコンポーザーだ。
「Kanon」を例にあげれば、真琴と舞のシナリオ、『朝影』『冬の花火』などがある。
シナリオや音楽というのは、当たり前だけれど、それを完成させるのに多大な努力と時間、更には才能が必要である。
あるいはこういう業界であるからそれが可能だったのかもしれないけど、この二つを両立させた、というのは、僕には尊敬に値することだと思う。
加えて僕は物を書くことと音楽をやっているから、麻枝さんは全く、僕の目標なのだ。
今同人でゲームを作ってみようか、という話が出ているけれど、もしやるなら、シナリオも是非書いてみたいと思っている。
さて、僕の第二回のエッセイはどうだっただろうか。退屈した? 残念です。
この調子で更新を続けていけたら、いいな。
back