ここで夏を見送る
               作詞:佐々木幸男
               作曲:佐々木幸男
               編曲:大浜和史
 

空はとてもいい、いい色 それに雲は高く
さあ早く起きろよ 
愚図愚図してると遅れる
髪を洗い 念入りにお化粧
それが済んだら 波止場行きの
電車飛び乗り 防波堤まで
ここで夏を見送る
君はうっかり帽子を忘れて
僕にやつあたりのしどおし
シー・ユー・アゲイン いうつもりだったね
空はとてもいい、いい色 それに雲は高く
さあ早く起きろよ 
愚図愚図してると遅れる

君はうっかり帽子を忘れ
僕にやつあたりのしどおし
シー・ユー・アゲイン いうつもりだったね
空はとてもいい、いい色 それに雲は高く
さあ早く起きろよ 
愚図愚図してると遅れる
空はとてもいい、いい色 それに雲は高く
さあ早く起きろよ 
ここで夏を見送る
 



  
[sasakiの日記] より              2002/02/04 記

 僕は張碓によく彼女と行った。
 今はどうなっているのか解らないけど、当時は無人駅で勝手に乗り降りする駅だった。
 僕らは学生で、当然今の子たちのように車なんか持っていないから、移動手段はもっぱらバスか路面電車、遠くに行く時は汽車に決まっていた。
 張碓が好きかどうかは問題ではなかった。
 喫茶店でお互い、時間を持て余すようになってから小樽沿線を攻めだした。
 駅を降りて、線路を跨ぐと海に降りていくことが出来る。数分おきに電車がゆったりと曲がりながら近づき、頭のコンクリートの壁を通過して小樽に向かって行く。
 その度話が飛んで行く。
 どんな話をしたんだろう?
 新しくできたジャズ喫茶?遠藤賢司のこと?
 学生運動?僕がいつも遅刻する理由?スカートの丈について?新しく書いた詩について?浮気してるらしいこと?
 夜の漁師について?ルノー=ベルレーがカッコウいいって?いくら寝てもまだ眠いのはどうしてなんだろう?進藤がホモで、僕が狙われてるらしい?唐十郎が面白いって?その髪型ヘンだよ、何かクレオパトラみたい。不安って?何が?母親が嫌いだって?今度浜益の方に行ってみようか?今、季節は何?

 札幌が秋に変わり始める頃に彼女は東京に帰って行く。まだ夏の尻尾をぶら下げた東京へ。
 まだ何も先が見えていない。一つの季節の間中、繋がっているのは電話の線だけ。季節の間にいる彼女を見たことがない。
 そして僕たちはお互い時々手紙を受取り、時々夜の8時に電話をする。

 僕は彼女が遠いところにいてもそんな困りはしなかった。僕は若くて、とても忙しかった。
 きっと解ってもらえないと思うけど本当に忙しかった。
 
 さあ、時刻表を見に行こう。この駅にはなかなか止まってくれないから。
 
 
 
ほーぼー
雨風景 ここで夏を見送る あとのまつり 君は風 一日がこんな風に過ぎて行くのなら 秋一番 ぶるう うすずみ色の空へため息を 一日がこんな風に・・・ ほーぼー
Discography