2003年 夏期講習 !!

先日、わたくしが講師をしている学校にて、夏期講習を行った!
8/18〜22までの5日間の集中講習で生徒のみんなも気合いバリバリで挑んだ!
この学校での夏期講習も今回で4度目になる。毎年、趣向を凝らしてTN独自の
方法で講習をしているわけですが、今年はTN書き下ろしの「ドラムアンサンブル」。
譜面2枚分、時間にするとちょうど4分ぐらいの曲?である。これを4日間で
鬼のように練習し、最後にはMDに録音してひと夏の想い出に持ち帰ってもらう!
といった計画である。それではまずは素晴らしい生徒達を紹介するとしよう!

写真左から紅一点!村田さん、やる気はピカイチの健太、シングルストローク
超早!の鷹嘴(タカノハシ)、最上位クラスのDWツインペダル持参の城田。
この4人とTNとで、2003年夏の楽しい想い出を共につくりあげたのでした。

・・・その昔、 わたくしも高校生の時にブラバン部の夏期講習を受けた経験がある。
それは真夏の炎天下、大阪のとある公園で行われたのだが、その時の辛かったことを
今でも憶えている。まず個々の楽器別に散らばり、ドラムの講習を受けた私は
手首の柔軟から基礎練習・応用....とやっていくうち、汗がボタボタと滴り落ち、
その汗で土の地面に模様ができるほどの猛暑と闘いつつ、地獄の夏期講習を受けた。
それに比べれば、今回の生徒はエアコンの効いたスタジオで講習を受けられて
まさに天国である。私も、わざわざ自分が経験したように炎天下で教えてやろう、
というような意地悪ジジィではないので、今回ばかりは許してやった・・・。

講習初日は生徒のみんなにはまずドラムのセッティングをやってもらう事にした。
why? と思う方もいるかも知れませんが、こんな事があったからなんです.....。
以前この学校でとても優秀な生徒がいました。はっきり言って私よりも
二つ打ちが早く、いろんなテクニックにも挑戦し、可能にするような生徒でした。
ところがある日、その生徒がプレイ中になにやら困り顔.....。
すると、「先生〜、ハットが〜」。(ハットとは左足で踏むシンバルの意)
「どうした!?」と私。見ると、上のハイハットシンバルの止めネジが緩んで
下のシンバルと引っ付いた状態。つまり、左足で踏んでもシンバルがうんとも
すんとも鳴らない状態。彼が演奏中だったので、私も大声で「ネジしめて〜!!」
と言ったが、何もしようとしないので、演奏を止めさせて真相究明に至った。
するとビ・ツ・ク・リ!!あんなにドラムが上手いのに、ドラムの仕組みを
全然わかっていなかったんです。私はその生徒が愛おしくて抱きしめましたが
同時にとても不敏に思えて仕方がなかったのです。すぐさまその生徒に
ドラムのセッティングをやらせたのは言うまでもありません...。
そんな一件もあり生徒には機会があればドラムをバラしたり組み立てさせたりしています。
彼の場合は、自宅のエレドラ(電子ドラム)で練習する時間がとてつもなく永かったため、
生ドラムを叩いた時とのギャップが激しすぎた。エレドラは赤ん坊がポンっと叩いた
だけでも「タン!」と音が鳴るからね。しかし、生のドラムはそうはいかない。
しっかりとスティックでリストを利かせて叩かないとドラム本来の音が鳴らないし、
組み立ても複雑である。私がドラムに興味を持ちはじめた時代には今のように便利な
エレドラはなく、色々工夫を凝らして練習をしたものだ。あらゆる事に対して否応でも
自分で探究するしかなかった。今の子供達は明らかにそういう探究心に欠けている。
時代なんでしょうかね〜、情報が多すぎて頭デッカチになっているように私は思う。
私はそういった失われつつある大切な心を、少なくても自分の教え子には
忘れて欲しくない!と願うばかりなのである。

そして、長くなりますが...いよいよ講習本番!
譜面にはいろんなカッコいいフレーズがあちこちにちりばめられており、
その中には大切な基礎になるフレーズも含まれ、4人でアンサンブルをやる前に
まず、その基礎練習をみっちりやってからそのフレーズの練習に入る、といった
流れでだんだんと仕上げていった。(我ながら良く出来た譜面である.......。)
譜面は全部で4種類あり、生徒一人がその4種類を結果的には全て演奏する、
という内容である。途中、4人がバラバラのフレーズを叩き出す箇所があり、
最初はどうなることか....と思ったが、練習を重ねる毎に鳥肌が立つほどに
カッコよくなりました。さながらオートメーションの大工場の音像だった。
私から見て、生徒は一日一日みるみる上達していくのがはっきりとわかった。

そして、いよいよMDに録音する時がやってきて、生徒達はレコーディングする緊張感と
闘いながら今まで練習してきたことを必死にやり遂げた。なかには同じ箇所で
何度もつまずく生徒もいたが、やがてその箇所を強化することによって録音の時には
ちゃんと説得力のある演奏をしていた。私としても今回の講習はとてもやりがいの
あるものになった。逆に生徒達にお礼を言いたい...ありがとう!!

彼等がこの先、ドラムを続けるかどうかは私には判断しかねる.....
ただ、この想い出のMDだけは大切にしていて欲しい.....
そして、年月が過ぎ、引き出しの奥からそのMDを見つけて取り出し、
2003年夏の想い出を聴いた時に、一生懸命な己を思い出してくれたら.....
それだけでわたしはいい

                                    2003年 夏

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