Random Disc Review #9
Miles Davis - Complete On the Corner Sessions (Sony/Legacy, 2007) → amazon.co.jpへ
マイルスのコンプリート豪華箱シリーズ最後となる「No.8」は、「The Complete Jack Johnson Sessions」に続く1972〜1975年のスタジオ録音をまとめた6枚組。「On the Corner」「Big Fun(の一曲)」「Get Up with It(の大部分)」の他に、シングルオンリーの "Big Fun", "Holly-Wuud"、さらに未発表曲・未発表テイクを多数収録。

アルバム「On the Corner」の未編集状態が聴けるが、「Get Up 〜」の曲は残念ながらオリジナルそのままで、リミックスもされていない。未発表曲の中で特に聴きモノは、"Big Fun/Holly-Wuud" のフル・ヴァージョン2テイク分、アガパンのエッセンスを抽出したような "What They Do"(TDKのCMに使用されたらしい)、ミニー・リパートンの "Lovin' You" を取り入れた(?)メロディアスな "Minnie" など。その "Minnie" は隠遁直前に吹き込まれたもので、この後の復帰作「The Man with the Horn」へと繋がるサウンドが感じられ、興味深い。これらコロムビア/レガシーのボックス・シリーズを時系列順に聴いていくと、マイルスの音楽的変遷は脈絡の無いものではなく、理路整然とした繋がりのある筋道を徐々に辿っているのだ、ということが改めて理解できる。

ところで、"Turnaround" と題された曲は実際のところ "Agharta Prelude" なのでは?

Colin Blunstone & Rod Argent of The ZOMBIES - Live at the Bloomsbury Theatre, London (Red House, 2005) → amazon.co.jpへ
Andorra / This Will Be Our Year / I Love You / What Becomes of the Broken Hearted / Mystified / Rose for Emily / Beechwood Park / Time of the Season / I Want to Fly / In My Mind a Miracle / Keep on Rolling / Hold Your Head Up / Sanctuary / Pleasure / Say You Don't Mind / Misty Roses / I Don't Believe in Miracles / Old & Wise / Care of Cell 44 / Indication / Tell Her No / She's Not There / Just out of Reach / God Gave Rock 'N Roll to You / Summertime
2004年のライヴ2枚組。収録曲は2枚に渡ってゾンビーズやコリンのソロ、その他アージェントなどの名曲めじろ押し。一部で弦楽四重奏が加わるが、基本はシンプルなロック・バンド編成で、しっかりした演奏は味わいがあり素晴らしい。

中でも聴き物はカヴァー曲で(といっても、かつてコリンが歌ったことのある曲だが)、"What Becomes of the Broken Hearted"Dave Stewart のシングルそのまんまのアレンジで、オルガン・ソロも完コピに近い。アラン・パーソンズ・プロジェクトの "Old & Wise"(「Eye in the Sky」に収録)もこんなに名曲とは気付かなかった。オリジナルより良い出来では? 後半ギターソロで盛り上がる。

このライヴのきっかけになったと思われる2001年のスタジオ録音「Out Of The Shadows (Redhouse/ビクター) も、新曲でありながら既に名曲の風格が感じられる楽曲がいっぱい詰まった素晴らしいアルバムだ。ゾンビーズらしさのある "Sanctuary"、モータウン・ソウル風味の "Danger Zone"、そして日本盤のボーナス・トラック2曲、特に "I Want To Fly" には感動せずにいられない。

Pete Christlieb / Warne Marsh Quintet - Apogee (Warner/Rhino, 2003) → amazon.co.jpへ
Magna-Tism / 317 E. 32nd / Rapunzel / Tenors of the Time / Donna Lee / I'm Old Fashioned / Lunarcy / Love Me / How About You?
スティーリー・ダンの二人(ベッカー&フェイゲン)がプロデュースしたストレートなジャズ・アルバム。7曲目以降は78年発表のLPには未収録だったボーナス・トラック。

トリスターノ派のベテラン(当時51歳)Marsh と、Steely Dan "Deacon Blues" でソロを吹いた若手(当時33歳)Christlieb、テナー・サックス二人の掛け合いが聴き物だが、垂れ流しテナー・バトルではなく、アレンジのしっかりしたハード・バップといったところ。一部でテナーをオーバーダブして厚みを出したりしている。音が堅めなのが Christlieb、柔らかめなのが Marsh(右 Christlieb、左 Marsh。ただし7,8曲目だけ何故か左右逆転、6曲目は Christlieb のみ)。

リズム・セクションは、Lou Levy (p), Jim Hughart (b), Nick Ceroli (ds)。ちなみに、3曲目はベッカー&フェイゲン作曲、エンジニアは全曲ロジャー・ニコルス。スティーリー・ダンのマニアは要チェック。

Wagner - Der Ring des Nibelungen
CD Decca 455 555-2

たぶん人類史上最長の音楽と思われる、ワーグナーの超大作=四部(ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏)からなる楽劇“ニーベルングの指輪”全曲を収めた14枚組(1958〜1965年・全曲スタジオ録音としては最初のもの)。ゲオルグ・ショルティ指揮ウィーン・フィル、その他コーラス及び歌手多数。効果音(SE)も駆使した録音芸術の革命的金字塔。

DVD Decca 071 153-9

上記“指輪”の最終部「神々の黄昏」の録音風景を捉えた、英BBC制作のドキュメンタリー(モノクロ・88分・字幕なし)。ラフな服装で(腹も出しながら)エネルギッシュに指揮をするショルティ(葬送行進曲がスゴイ)。見事な統率力を見せるデッカの伝説的プロデューサー、ジョン・カルショウ(この録音の最大の功績者)。歌手の立ち位置を調整する場面もあり、オペラの録音はこうやってるのか、と目からウロコ。この映像の欠点としては、ジークフリートとブリュンヒルデを歌っている歌手が、実際はオッサン、オバハンであるのを知って幻滅してしまうことか(笑)
おまけとして“指輪”の抜粋(ワルハラへの入場、ワルキューレの騎行、魔の炎の音楽、鍛冶の場面、森のささやき、葬送行進曲、フィナーレ。約69分)が5.1サラウンド(音声のみ)で収録されている。これだけでも買う価値があるのでは? ちなみにドイツ盤はリージョン・フリーになっている。
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