Random Disc Review #7
有橋淑和 チェンバロ・レボリューション
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有橋淑和 - チェンバロ・レボリューション 〜プティット・ロマンス〜 (King, 2002)
うら若きチェンバリスト有橋淑和(ありはし・すみな)のデビュー作。チェンバロ(別名:ハープシコード)というとバロックというイメージがあるが、ここではバロック以外、近〜現代の作曲家がチェンバロのために作った、普段めったに聴けない珍しい曲を集めている。
取り上げている作曲家は、ラヴェル、マスネ、ドニゼッティ、ディーリアス、トーメ、ブゾーニ、R・シュトラウス、タンスマン、信時潔(東北民謡「さんさ時雨」「南部牛追唄」のアレンジ)、チェレプニン(ロシアン・アヴァンギャルド)、ショスタコーヴィチ(たった44秒)、ロドリーゴ。その他に、熊のプーさんの共産圏版テーマ曲と、ディズニーランドのエレクトリカル・パレードで有名な「バロック・ホーダウン」(ペリー&キングスレー作)が聴けるのが楽しい。そしてこのアルバム最大の目玉は伊福部昭の書き下ろし2曲(サンタマリア、小ロマンス)。日本的情緒を感じさせるいい雰囲気。

打鍵により弦を引っ掻いて音を出すというメカニズムから発生する“カタカタ”という、演奏する上で避けられないノイズが少し聞こえるが、それがためにオーディオ的なリアル感が出ているとも言える。キラキラした涼しい音色に浸ることができるうえに、構造的に音量コントロール不可能なチェンバロという楽器の特性を活かした(?)様々な作曲家のレアな作品を聴くことができるお買い得なアルバムである。...なーんつって、実はジャケ買い...

ミレニアム ゴジラ 伊福部昭
(写真右)伊福部と言えばゴジラ。ミレニアム ゴジラ ベスト 伊福部昭 東宝特撮映画傑作集(東芝EMI) は、ゴジラの足音と咆哮で始まり、1954年のゴジラ第一作(あの有名なテーマ曲)から、1975年の「メカゴジラの逆襲」のエンディング(夕陽の海を去っていくゴジラ)まで、伊福部音楽のおいしいところを凝縮したベスト盤。オリジナルのモノラル音源を疑似ステレオ化したリマスターにより、過去最高の音質で蘇った、とのこと。個人的には「大怪獣バラン」の音楽が何故か懐かしかった。戦後日本の怨念が染み込んだようなおどろおどろしい管弦楽。ショスタコーヴィチに近いものがあるかも?

テツandトモ マンボ大漁節 なんでだろう
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テツandトモ - テツandトモの『マンボ大漁節』ってなんでだろう (Pony Canyon, 2003)
今やアイドル化して幼児から中高年まで人気爆発!テツトモのファースト・アルバム(ボリューム的にはミニ・アルバムだが)。夏向きの新曲「なんでだろう音頭」「マンボ大漁節」に加え、おなじみ「なんでだろう」を4バージョン(豪華ラテン・アレンジのマンボ・バージョン。弦オケ、生ギター&少年合唱をバックに神妙に歌うクラシック・バージョン←悲痛なヴァイオリン・ソロあり。歌詞を改めた盆踊りバージョン。そして中国語も含む全国各地の方言バージョン)と大サービス。
狩人 あずさ2号 そして何故か場違いな一曲「あずさ2号」を真面目に歌っている。これは単純に好きで歌いたかったんだろうな〜。おまけに新曲2曲のカラオケと、クラシック・バージョンの主メロをピアノが切々と奏でるインスト版を含め、全10曲収録。
中でも強力なのは、だんだんスピード感が増していく方言バージョン。電気グルーヴ "Noi Noi Noi"(「DRAGON」収録)を思い出した。
しかし曲作りの才能には非凡なものがあるな〜。それに彼らの歌唱力(特にトモ)はハンパじゃない。並の歌手以上ではないか? 

テツandトモ オフィシャル・サイト
(写真右)狩人「あずさ2号」のオリジナル・シングル。

Gil Evans Lee Konitz Heroes Anti-Heroes
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Gil Evans and Lee Konitz - Heroes & Anti-Heroes (Verve/Polydor, 1991)
Lee Konitz (alto & soprano sax) と Gil Evans (piano) のデュオによる、1980年ニューヨークでのライヴ録音2枚組(輸入盤はバラ売りだったようだ)。
60年代以降才能が涸渇した、とか言われることもあるコニッツ。その通り(?)ここでは枯淡の境地というか、わび・さびの世界というか、渋〜い演奏を聴かせる。(最近でも精力的な活動を行っていて、未だに現役バリバリである。)
The Band Cahoots 選曲が良い。ほとんどが Gil Evans オーケストラのレパートリーであるが、ショパンのプレリュードなんかもやってる。しかし心底驚いたのは The Band"The Moon Struck One" を取り上げていること。大好きな曲だったから、これを店頭で発見した時、即購入を決心したのであった。(Gil Evans と The Band を結びつける存在は John Simon かな)

(写真右)"The Moon Struck One" を収録した The Band 4枚目のアルバムCahoots(Capitol) は一般的に評価がやや低い過渡期の作品だが、ぼくは大好き。

Leopold Stokowski Maestro Celebre
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Leopold Stokowski - Maestro Celebre (History, 2001)
ストコフスキー(指揮&編曲)の10枚組セット。廉価版なので3000円程度で買える。
<主な収録曲>
バッハ=ストコフスキー編曲集/ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(英語版)/ワーグナー管弦楽曲集/チャイコフスキー:交響曲第5番/ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/ビゼー「カルメン」組曲/ストラヴィンスキー「春の祭典」/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(作曲者本人のピアノ演奏)/他多数

1926〜45年録音のSP音源だから古臭い音ではあるが、ノイズは少なく、とても聴きやすい。有名な(派手な)曲が雑多に詰め込まれていて楽しめるから、クラシック初心者にもお勧めできる。1932年収録の「展覧会の絵(ラヴェル編曲の抜粋)」「スクリャービン:プロメテウス・火の詩(一部抜粋)」は世界最古の(?)ステレオ・ライヴ録音!

演奏するオーケストラは、ストコフスキーによって一流に育て上げられた Philadelphia Orchestra が中心。弦のポルタメント(音程を滑らかに繋げる奏法)を多用して流れるように旋律を歌わせるところが大きな特徴として挙げられる。また、ストコフスキー独特の芝居がかった(勝手な)解釈により曲を改変する場合があり、頭の堅い連中からは非難轟々だったようだが、一般大衆には大受け。アメリカを始め世界各国の大衆にクラシック音楽の魅力を広めた功績は大きいと言われている。その官能的で華麗な響きはフィラデルフィア・サウンドと呼ばれ、当時(第二次大戦以前)一世を風靡したらしい。そのサウンドは後々70年代の洗練されたソウル・ミュージックにも引き継がれているのではないだろうか。実際に Philadelphia Orchestra のメンバーがその手の録音にも参加していたようだし。(例:MSFB) Philly Sound Kenny Gamble Leon Huff
(写真右)The Philly Sound : Kenny Gamble, Leon Huff & The Story of Brotherly Love (1966-1976) (Epic/Legacy)
フィラデルフィア・ソウル(フィリー・ソウル)の入門盤として、この3枚組ボックスが便利。
"Me And Mrs. Jones" (Billy Paul), "If You Don't Know Me By Now" (Harold Melvin & Blue Notes), "Love Train" (The O'Jays), "When Will I See You Again" (The Three Degrees), "TSOP" (MFSB) といった有名曲がゴッソリまとめて聴けてしまう。"The Bells" (Laura Nero and Lebelle) まで入ってる。
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