「マイルスを聴け! Version 6」へ勝手に補足 Part 1 (40's-50's)

マイルスを聴け! Version 6

中山康樹氏の名著「マイルスを聴け!」は、92年の初版以来ほぼ2年ごとに改訂版を出し、今回で6版を数える(宝島ムック「マイルス海賊盤ベスト50」という番外編もあり)。マイルスはとっくに死んでいるというのに、昨今のブート乱発もあって掲載枚数は続々と増え続けている。データ確認やブート購入の参考(これが大)など何かと重宝するし、それに何より文章がすこぶる面白いから、すべての版を購入し愛読しているが、疑問・不満がないこともない。かつて某掲示板で中山氏本人に直訴したことがあり、その後訂正された箇所もあるとはいえ、それでも物足りない点は残っている。ということで、僭越ながら掲載盤への追加コメント、データ上の疑問点を少々、さらに「聴け!」に載っていなくても価値があると思われる盤を「こんなんもありまっせ」と紹介したい。
(p. XXX)は「Version 6」の該当ページを示す。


Early Miles Davis Early Miles Davis: The Birth Of The Cool Trumpet [Definitive]
(1) Pointless Mama Blues (2)That's The Stuff You Gotta Watch (3) Deep Sea Blue (4) Bring It On Home (5) Don't Sing Me The Blues (6) I've Always Got The Blues (7) Don't Explain To Me Baby (8) Baby, Won't You Make Up (9) Bean-A-Re-Bop (10) Isn't It Romantic (11) Way You Look Tonight (12) Phantomesque (13) 52nd Street Theme (14) Half Nelson (15) You Go To My Head (16) Chasin' The Bird
(1)-(4): Herbie Fields (ts), Rubberlegs Williams (vo), etc. - 1945.4.24 (NY)(p. 10)
(5)-(8): Gene Ammons (ts), Earl Coleman (vo), Ann Baker (vo), etc. - 1946.10.18 (LA)(p. 16)
(9)-(12): Coleman Hawkins Allstars - 1947.6 (NY)(p. 12)
(13)-(16): Davis (tp), Lee Konitz (as), John Lewis (p), Curley Russel (b), Max Roach (ds) - 1948.9.25 (Royal Roost, NY)(p. 22)

4種類の最初期音源を集めた廉価編集盤。(13)-(16) はあちこちに収録されている「クールの誕生」関連ライヴだが、目当てはそれ以外。ヴォーカルのバックなどへ参加したスタジオ録音をマスター・テイクのみ、まとめて手軽に聴けるのがありがたい。マイルスはちょこっとしか出て来ないから、どーでもいいと言えばどーでもいい音源なんだけどね。
同じく Definitive から似たような編集盤が何種類か出ているが、ジャケ写が晩年のものを使用しているのは許せん。


Miles Davis Real Birth Of The Cool The Real Birth Of The Cool [Bandstand/徳間ジャパン]
(1) Why Do I Love You? (2) Godchild (3) S'il Vous Plait (4) Moon Dreams (First version) (5) Budo (First version, incomplete) (6) Darn That Dream (7) Move (8) Moon Dreams (Second version) (9) Budo (Second version) (10) 52nd Street Theme (11) Half Nelson (12) You Go To My Head (13) Chasin' The Bird
(1)-(5): 1948.9.4, (6)-(9): 1948.9.18, (10)-(13): 1948.9.25 (Royal Roost, NY)(p. 20, 22)

「クールの誕生」関連ライヴ(@ Royal Roost)特集。「聴け・Version1〜3」には載っていたが、「コンプリート・クールの誕生」として正規盤が出た後は削除されている。しかし、「コンプリート〜」には未収録のクインテット編成(9月25日分)まで含めて1枚にまとまっているのは何かと便利。ジャケも良い(上の「Early」と同じ写真だが)。

中山氏は「クールの誕生」を評価していないが、ぼくは好きである。アドリブ・ソロよりアレンジを重視した音楽でありながら、あるいはそれゆえに、短く簡潔なソロが味わい深く感じる。特に "ミロのヴィーナス" でのマイルスのソロは素晴らしい。個人的にマイルス入門期にこれを聴いてハマッたようなもの。"Move" とかジョン・ルイスのアレンジはダサイと思うが(笑)


Birdland 1950 [Mega Disc](p. 40)
JMY盤では最後に収録されていた "Band Warming Up" が頭に来たために曲目・パーソネル表記にズレが見られる。(9) は "Band Warming Up" のことだろう。
ちなみにファッツ・ナヴァロが死去するのがこの約1週間後の7月7日とな。なるほど元気がない。パーカーは "Deception" の最後でチラッと吹いてるだけ。

The Complete Columbia Recordings 1955-1961 [Columbia/Legacy](p. 782)
Miles Davis Fabulous Fifties The Fabulous 'Fifties [Bandstand/徳間ジャパン]
(1) Tune Up (2) What's New (3) How High The Moon (4) Lester Leaps In (5) Tune Up (6) Walkin' (7) Four (8) Bye Bye Blackbird (9) It Never Entered My Mind (imcomplete) (10) Walkin'
(1)-(2): Davis (tp), Rene Urtreger (p), Pierre Michelot (b), Christian Garros (ds) - 1956.11.12 (Stadthalle, Freiburg, Germany)(p. 106)
(3): Davis (tp), Lester Young (ts), Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds) - 1956.11.12 (Stadthalle, Freiburg, Germany)(p. 106)
(4): Davis (tp), Lester Young (ts), Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds), Kurt Edelhagen Big Band - 1956.11.12 (Stadthalle, Freiburg, Germany)(p. 106)
(5)-(6): Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds) - 1956.12.8 (Blue Note Club, Philadelphia)(p. 94)
(7)(9): Davis (tp), Sonny Rollins (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds) - 1957.7.13 (Cafe Bohemia, NY)(p. 94)
(8)(10): Davis (tp), John Coltrane (ts), Bill Evans (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds) - 1958.5.17 (Cafe Bohemia, NY)(p. 120)

50年代後半のライヴ(放送音源)を集めたもの。ジャケットのデータには誤りがあり、正しくは上記。比較的音は良く聴きやすい。実際ぼくもよく聴いている。後半で若干の乱れがあるものの、よくできた編集盤だと思う。
(1)-(4): 「Rare Live」(p. 106)と同じ。テレビで放送されたものらしい。
(5)-(10): 「Bandstand USA」というラジオ番組から。アナウンスはカット。(9) は頭欠け。(5)-(6) は Yadeon盤(p. 94)より音が良い。(8) でマイルスはウェストサイド物語の "マリア" を二度も引用している。当時かなり気に入っていた模様。


Miles Davis Relaxin Cookin Relaxin' / Cookin' [Prestige/DCC](p. 100,104)

24カラット・ゴールドCD。スタジオでの会話と本番前の試し吹きが通常版より余計に収録されている。ただそれだけ。


Miles Davis Miles Ahead Miles Ahead [Columbia/Legacy CK 53225](p. 110)

この“CK 53225”(1993年発売・モノラル)は単にオリジナルを復元しAB面を繋げたものではなく、別テイクが使われた曲(別エディットというべきか)が紛れ込んでいる。例えば "The Duke" でのマイルスのソロ。オリジナルは“テイク1”の途中から“テイク3”に切り替わるのだが、ここではそのまま“テイク1”が使われている(編集上のミスか?)。他にもオリジナルとの微妙な違いがあるようだ。
これと同じジャケットの“CK 40784”(1987年発売・ステレオ)はテオ・マセロのリミックスで、オリジナルとは別のテイクが何曲が混じっている。ステレオでCD化するため(?)オーバーダブ無しのテイクを選んだということらしい。
この辺のややこしい事情は「ギル関連ひとまとめボックス」のライナーに異様に詳しく書いてある。細かい編集の跡を病的なほど丹念に調べ上げた根性には笑ってしまう、いや、頭が下がる。


Cafe Bohemia 1958 [Mega Disc](p. 120)
59年1月3日のパーソネルが、「聴け」ではピアノ:ガーランド、ドラム:フィリー・ジョーとしているが、Mega Disc盤ではピアノ:ウィントン・ケリー、ドラム:ジミー・コブとなっている。Miles Aheadによれば Mega Disc 盤が正しいようだが、聴いた感じではピアノはガーランドみたいな気がする。自信は持てないが。(後日よ〜く聴いてみると、やっぱりケリーかも...と思ったり...)

Part 2 (60's) に続く

2006.8.29

Home

 
close