Lars Hollmer Live Report

Lars Hollmer's 日本座村

Lars Hollmer's 日本座村
Set List:
Lars Hollmer Solo:
1. Hostvisa
 (Autumn Song)
2. Boeves Psalm
3. Svang Battre
4. Dron
5. Simfageldans
6. Quickstep
7. Utflykt m. Damcykel
8. Through Glass

with JON
9. Arstidsvisan
 (Season Song)

Lars Hollmer's
日本座村:

1. Portaleyde
2. Ett Tungt Ok
3. Hoppas Att Det Gar
4. Karusellmusik
5. Pas Du Valse
6. Impro-Cirkus I-Impro-Cirkus II
7. Eyeliner
8. Experiment
9. Plinga
10. Harmonium III
(encore)
11. Inte Quanta
12. Parallell Angostura
13. Now
2000年12月6日(水)start/19:30
吉祥寺・MANDA-LA2

ハイテク奇天烈おバカさんロックバンド「サムラ・マンマス・マンナ」で大暴れ、世界中でセッション道場破り。しかしいったん家に帰ると、アコーディオンで優しくせつない極上のメロディを子供たちに奏でてあげる…ラーシュ・ホルメルはスウェーデンのバカボンパパなのだ。それでいいのだ。 ……来日宣伝用チラシより
前売りはすべて売り切れ、狭い会場は超満員となったが、CRAC! 氏のおかげでホルメルさんの真ん前の右側最前列を確保できた。

まずはソロ(アコーディオン、ピアニカ、キーボード、歌)でほのぼのとスタート。温かい人柄が伝わってきて、こっちも自然とニコニコ。アコーディオンの開閉する様子は見た目にも美しく、ぼーっと見入ってしまう。

その後、ゲストでJON(犬)が着ぐるみで登場して会場の笑いを誘う。みんな(多分)大好きな「親しみ」の2曲目を可愛く歌い、会場は和やかな空気に包まれた。

そしていよいよ、大熊亘 (cl,b-cl), 清水一登 (key), 向島ゆり子 (violin,toy piano,accordion), 坂本弘道 (cello), 吉田達也 (ds,perc) からなる臨時編成「日本座村」の登場。音の傾向は予想&期待通り Looping Home Orchestra に近いもの。ただし吉田達也氏のドラムスはそれ以上に強力! "Karusellmusik" で、めちゃくちゃ激烈なテンポアップから、吉田 vs Hollmer のバトルに雪崩れ込む場面はこのライヴのハイライトであった。
"Hoppas Att Det Gar" はメンバー全員の“アッアッアッアッ”コーラスで始まるピヂンコンボ(下欄参照)のヴァージョンに近いアレンジ。
“今日やる中で一番難しい曲”という "Experiment" は吉田氏のカウントに乗り各自点描的に声/音を発する。こりゃホント大変(笑)
時折インプロを挟みつつも、ホルメルさん以外は譜面を凝視しながらの演奏がほとんど。親しみ易いメロディでありながらリズムは変拍子の嵐なので、演奏するのは大変そう。リハは時間的に不充分だったようだが、結果は非常に素晴らしい仕上がりで、超難曲と言われる "Parallell Angostura" や 民族舞踊的な "Pas Du Valse" など強烈なアンサンブルに酔いしれる。
最後は、向島さんのヴァイオリンが効果的な感動の名曲 "Now" で締め。じ〜んと涙が出そうになる。まさに "Now is the happiest time of my life" という心境。

休憩なしで約1時間45分。至福の一時であった。会場全体に幸福感が染み渡り、その雰囲気に浸り続けたい、すぐ立ち去るのが惜しい、という気持ちからか、多くの人が終演後もその場にたむろしてなかなか帰らないのだった。(^^)

演奏した曲の収録アルバムは下記のとおり。
「Live 1992-1993」からの割合が特に多い。

The Siberian Circus (compilation) :
Boeves Psalm, Inte Quanta, Simfageldans, Eyeliner, Karusellmusik / Utflykt Med Damcykel
XII Sibiriska Cyklar :
Boeves Psalm
Fran Natt Idag :
Hoppas Att Det Gar, Ett Tungt Ok, Inte Quanta
Tonoga :
Hostvisa, Lilla Pas Du Valse, Simfageldans, Harmonium III
Tonoga, Fran Natt Idag, Vendeltid (CD Bonus) :
Originalexperiment, Alfa Beta Pas Du Valse
LHO : Vendeltid :
Utflykt Met Damcykel, Eyeliner, Through Glass, Karusellmusik, Experiment On Tour
LHO : Live 1992-1993 (live) :
Karusellmusik, Utflykt M. Damcykel, Quickstep, Parallell Angostura, Eyeliner, Hostvisa, Portaleyde, Ett Tungt Ok, Plinga
Vandelmassa :
Svang (?), Arstidsvisan
Andetag :
Cirkus I, Cirkus II, Now
Utsikter :
Dron
ZMM : Schlagens Mystik :
Arstidsvisan

ジャケットなどは Lars Hollmer Solo Albums を参照のこと。

リハーサルの様子も含め、写真付きのレポートは Lars Hollmer Special Memorial Page をご覧あれ。セットリストはここを参照させていただいた。


関連アルバム紹介

Lars Hollmer - Utsikter (Krax 11/Arcangelo ARC-3006, 2000)

Lars Hollmer Utsikter 相変わらずの豊穣なメロディを堪能できる最新作。深みのあるアコースティックな肌触りの室内楽的アンサンブルはAndetagの延長線上にあるが、シリアスで統一感のあった前作と比べて、以前のソロ・アルバムに戻ったようなユーモアや多様性も見られる。

Michel Berckmans (basoon,oboe,etc.), Santiago Jimenez (violin,mandolin,cajon), Wolfgang Salomon (b,g), Coste Apetrea (six stringed banjo), Matti Andersson (fl), Kalle Eriksson (tp) 等が曲によって参加。Hollmer のドラム・ソロなんてのもあり。今回のライヴで演奏した "Dron" は文字どおりドローン状の通奏低音が鳴り続ける沈み込むような曲。

Pidgin Combo - The Long Vacation (F.M.N. Sound Factory FMC-018, 2000)

Pidgin Combo Long Vacation Tom Cora (cello,vo), 篠田昌巳 (sax), ロリイ (vo,marimba), 大熊亘 (p,cl), 西村卓也 (b), 木村真哉 (ds)

ルナパーク・アンサンブルに、故トム・コラ、故篠田昌巳が加わったセッション、1988,89年、吉祥寺 MANDA-LA2 でのライヴ録音が、2000年になって発掘された。
ここで Hollmer"Hoppas Att Det Gar" を取り上げていたのが今回のライヴに至るきっかけとなったらしい。ここではトム・コラ作 "Total Preparation" と組み合わさった2ヴァージョンが収録されている。
他にはトム・コラの曲が多く、彼が在籍していた Curlew"The Hard Wood"(「Bee」収録)やクレズマーも演奏。

F.M.N. Sound Factory のホームページはこちら

Les Quatre Guitaristes De L'Apocalypso-Bar - Fin De Siecle (ReR 42, 1989) LP

Les Quatre Guitaristes De L'Apocalypso-Bar Fin De Siecle ケベック(カナダ)のRIO系バンド Conventum の元メンバー(Rene Lussier 他)が中心となったエレクトリック・ギター・カルテット。Chris Cutler (ds) が5曲に参加した、1989年のスタジオ録音。Fred Frith Guitar Quartet の先駆けとなった硬質なギター・アンサンブルで、メンバーのオリジナルの他に、Fred Frith、バルトーク、そして Hollmer"Scandinavian Pedestrian", "Micro Parallell Angostura" を取り上げている。即興部分はほとんどない。アタック音のパリッと明瞭なギター4本が複雑なラインを描いて絡み合いながら疾走する様は快感である。傑作。
CDでは、ライヴ盤「World Tour」との 2 in 1 となっているが、Fred Frith 作曲 "The As Usual Dance towards the Other Flight to What is Not, section C & A" とバルトークの "Quatuor a Cordes, number 4, section iv" がカットされているようなので注意が必要。

2000.12.16

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