Jimi Hendrix studio sessions ヴァージョン違い検証 (Part 8)
【通しNo./曲名/時間/収録アルバム名/録音日・場所(演奏者、ゲスト、オーバーダブなど)】
Izabella
歌詞に "Machine Gun" と "Hey Baby (New Rising Sun)" への言及がある。
【No.228】【No.229】ともに Gypsy, Sun & Rainbow だが別テイク。【No.228】では左にいるラリー・リーのサイド・ギターがよく聞こえ、パーカッションが聞こえない。【No.229】にはリード・ギターのオーバーダブがあるが、ラリー・リーのギターはあまり聞こえず、右チャンネルからパーカッションが聞こえる。間奏で2分過ぎから新たなフレーズのリフが出る。
イントロで「チッチキチー」と声が入る【No.230】【No.231】【No.232】は、元になってるテイクは同一と思われるが、ミックスは大きく異なり、オーバーダブされたギターはすべて違う演奏。
【No.230】は楽器群が左右にはっきり別れたラフ・ミックス。イントロのオーバーダブ・ギターとコーラスが入らず、パーカッションが大きく聞こえる。特に右チャンネルのタンバリンがシャカシャカうるさい。ヴォーカルが【No.231】【No.232】とは別テイク。演奏が終了してもギターはしばらく残って弾き続ける。
オーバーダブ・ギターがやたらと大きく、ヴォーカルも生々しく聞こえる【No.231】は "Stepping Stone" をA面として1970年2月にシングル発売され即座に回収となった、レアな Band of Gypsys ヴァージョン。10枚組CDシングル・ボックス「Singles Collection」と2枚組ベスト「Voodoo Child」でCD化済み。どちらも現在は廃盤だが。
【No.232】はコックスのドラムをミッチェルのに差し替え。最後にスタジオの会話が入り、コードの一撃が響いて終る。

Machine Gun / Trying To Be
ライヴでの凄まじい演奏は有名だが、ウッドストック直後に録音されたスタジオ・ヴァージョンは正式には未発表。いきなり「イェーイェーイザベラ」と歌いだす。並行してセッションしていたせいか、歌詞に通底する部分があるためか。
バック差し替えヴァージョン【No.234】は【No.233】を元に、ヴォーカルやギターをいくつも重ねて混沌とさせ、迫力を増している。このオーバーダプは成功と言えるのではないか。
【No.235】は一瞬 "Machine Gun" で始まるが、すぐにブルース・ロック調のジャムとなる。後に "Stepping Stone" となる歌詞が盛り込まれているものの曲としては似ても似つかぬ別もの。6:20 あたりから "Earth Blues" のようなリフを繰り返してるうちにうやむやで中断。

Stepping Stone
別名:Trying To Be。主要なリフは【No.58】"Look Over Yonder" 中間部リフの発展形。3種とも全てドラマーが異なるが、元は同一テイクのミックス違い。ギター・ソロの途中(2分あたり)に編集跡があり(明らかに音質が変化する)、そこから先【No.236】【No.237】のギター・ソロは【No.238】とは別テイクになっている。
【No.236】:【No.231】同様に生々しいミックスのシングル・ヴァージョン。イントロのギターが【No.237】【No.238】より一本少ない。最後にエンジニア(?)の声が一瞬聞こえる。2分過ぎのギター・ソロは中央、相の手を入れるサイド・ギターは始め(2:13〜)右中間に小さく、途中(2:27)から左に移動してやや大きくなる。
【No.237】:元 The Knack の Bruce Gary によるドラムに差し替え。マイルスの力まかせに突っ走るような叩き方を踏襲しているがパワーは落ちる。差し替える意味がよくわからない。2分過ぎのギター・ソロは左中間、相の手は最初から(2:13〜)右に大きめに入る。
【No.238】:ミッチェルによるドラムに差し替え。ビート感(乗り)が前2者とは異なり、洗練されたというかスムーズな感じになっている。2分過ぎのギター・ソロは一瞬右からすぐ中央に移り、相の手は 2:33 から一音ずつ左中間・右中間に入れ替わりながら小さく入る。

Burning Desire
ジャムではなく、きっちり決められた複雑な構成を持つ曲で、随所にキメが入り次々とムードが変化していく。
【No.239】は歌とコーラス入り。曲の構成を詳しく見ていくと、
1st verse [long] (0:00) > riff (1:03) > 2nd verse [short] (1:27) > riff (1:36) > fast g-solo (2:10) > ds-solo (3:37) > slow interlude (3:57) > 3rd verse [short] (8:00) > riff (8:09) > coda (8:27)
【No.240】は "MLK" のようなイントロが付いたインスト・テイク。構成は、
intro (0:00) > 1st verse [long] (0:26) > riff (1:21) > 2nd verse [short] (1:43) > riff (1:52) > fast g-solo (2:31) > ds-solo (3:56) > slow interlude (4:18) > 3rd verse [short] (6:45) > riff (6:55) > coda (7:12) (fadeout)
【No.239】と【No.240】ではコーダのリフが違う。2nd verse は "Come Down Hard On Me Baby" のイントロに少し似ている。

Freedom
【No.241】:耳馴染みのないイントロが付き、歌詞・歌メロ・曲構造などあらゆる面で後の姿とは大きく異なる、不定形な初期テイク(デモ?)。ブリッジ部は "Dolly Dagger" に近い。
【No.242】:オーバーダブが無くシンプルなインスト版。"Crash Landing" から引き継いだブリッジ部も出来、曲構成は正規ヴァージョンに近づいた。まだ後半がまとまっていないが、エンディングは正規ヴァージョンと同様。
【No.243】【No.244】それぞれヴォーカルの歌い回しとリード・ギターのフレーズが違う別テイク。【No.242】と同様、ブリッジの後に正規ヴァージョンでは省略された第二のブリッジ的な部分が付いている。
【No.243】:イントロわずかに頭欠け。2番に入るとすぐ歌を止めてしまったりして、ところどころ歌が入らない。ギターのオーバーダブは少なくコーラスも入らない。エンディングの後にスタジオの会話が少し入ってる。ステレオ。
【No.244】:イントロの前にスタジオの会話などが20秒くらいあり、演奏後にも声が入る。オーバーダブのリード・ギターが大きく入るがコーラスは無し。モノラル。
【No.245】:【No.246】で右端に小さく入るリズム・ギターがなく、スッキリしている。各楽器の定位も異なる。例えば【No.245】はコーラス中央、【No.246】はコーラス左、など。
【No.245】【No.246】には隠し味的にピアノが入っている。2:22〜2:30 のギター・ソロはここだけ音色が異質で、編集で差し込まれたかのようだ。

Valleys Of Neptune / Cherokee Mist
【No.250】はインスト・テイク【No.249】の上に別の日のヴォーカルを乗っけて完成させたものらしい。これも最新技術により可能となったシンクロ手法。元あるテープだけを利用してどうにか完成させるという考え方は、新たに別のミュージシャンを使ってアレンジするアラン・ダグラスより正攻法とは言えるが、アウトテイクを寄せ集めてパッチワークするというのはフランケンシュタイン的で、大げさに言えば“データの改ざん”ではないのか。素のまま無編集では商品化しにくいからだろうが。
【No.247】は2本のギターが対等に絡む。ウッドストック・バンドでジミが目論んでいたのは、こういうツイン・ギター体制だったのかも。でも結局は、自ら弾いて重ねる方が早い、ということに。【No.248】はスピード感とパワーのある別テイク。
【No.251】はコックスと二人だけのデモ的録音。何度もやり直しを重ねる長いセッションから最もまとまったテイクを抜き出したもの。力の入った【No.250】とは違ってゆったりと気怠いムード。なぜこの時期にこんなデモを録る必要があるのか? たぶん日付の間違いだろうが。
【No.252】:インディアン風ビートのところが "Cherokee Mist" で、他に "In From The Storm", "Valleys Of Neptune" の素材が組み込まれて取り留めなく移り行く、気ままなジャム・セッションという感じ。

In From The Storm
【No.253】:微妙なミックス違い。【No.254】で最初と最後に聞こえる声が入らず、3:14 から 【No.254】には無いヴォーカルが入る。1:48 からスピードアップするとドラムが左右で大きく響く。(【No.254】【No.255】では嵐のようにギターが左右に動き回る)
【No.255】:これも微妙なミックス違い。【No.253】と同様に、最初と最後の声が入らず、3:14 からヴォーカルが入る。

Drifter's Escape
"All Along The Watchtower" に続くディランのロック化。リフのパターンは "MLK" あるいは "Astro Man" のエンディングに似ている。双方でギターのオーバーダブが異なる(弾いてるフレーズが違う)ミックス違いだが、ゴチャゴチャしていて相違点を聞き取りにくい。

Drifting
【No.258】:ヴォーカルが入らないベーシックなインスト。別テイク。
【No.259】:ヴァイブと2つのギター(ひとつは逆回転)のオーバーダブが入る前の状態。イントロ前に「海の音」と言うジミの声が入る。
【No.261】:ヴォーカルにエコーがかかっている。逆回転ギターが出だしからすぐ入り、後半も【No.260】より多く大きく聞こえる。ヴァイブは左の方に位置(【No.259】は中央からやや左右に広がる)

Dolly Dagger
【No.262】はコーラスとハンドクラップが入らないラフ・ミックス。モノラルで聞き取りにくいが、【No.263】でイントロなど数カ所で右チャンネルに聞こえるファズ・ギターも入ってないようだ。【No.263】とは別ヴォーカルで一部歌詞も違う(間違えてる?)。ギター・ソロは【No.263】と同じテイク。イントロの前にチラッとジミの声が入り、最後は早めにフェイドアウトする。

Pali Gap
"Dolly Dagger" から引き続いたジャムの延長に、ギターをオーバーダブして出来たメランコリックなインスト。【No.265】は【No.264】の冒頭20秒ほどをカット。ギターは【No.265】の方が太くくっきりと聞こえる。

Belly Button Window
【No.266】:気怠いジャズ風4ビートのブルース・インスト。
【No.267】:弾き語りにもう一本ギターをオーバーダブしたデモ的な録音。
Voodoo Soup」では前曲の "New Rising Sun" とクロスフェイドで繋がっているが、ミックス自体は【No.267】とさほど変わらないので省略。

2013.5.9


終盤は難産だったが、やっとこさ最終回にこぎ着けた。どこがどう違うか表記するのが第一目的だから、文章としてはゴチャゴチャ分かりにくくなってるのはご勘弁。聴取メモとして自分で分かればいいと開き直ったようなところもある。これまでのページも後から気づいたことなど書き足したりマメに加筆修正してるし、これからも再検証していくつもり。なお、(unofficial) と付いてる非公式アルバムは購入する必要なし。ネットで検索すれば音源は見つかるはずだから、それで十分。
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