Jimi Hendrix studio sessions ヴァージョン違い検証 (Part 5)

前回まででジミの生前に発表(完成)された曲は終了。今回以降は死後に発表された(未完成な)曲となる。ここからがややこしい。同一曲でも時期を隔てて何回にも渡ってやり直したり、オーバーダブやミックスを何度も繰り返したりして、未完成のまま残されたテープは膨大で、さらに死後(勝手に)編集・ミックスされて出た音源も数多いのだから。

【通しNo./曲名/時間/収録アルバム名/録音日・場所(演奏者、ゲスト、オーバーダブなど)】
New Rising Sun
ゆったりと広がりのあるメジャー・キーのギター・ソロに、逆回転など加工を施してシンセのように聞こえるアンビエント的ギターと自ら叩くドラムを重ねた、スペイシーなインスト。このドラムを聴くと、やはり "Have You Ever Been (To Electric Ladyland)" もジミが叩いているに違いない、と思える。完全版とされている【No.130】はギター・ソロに入る前のイントロが10秒足らず。【No.128】はもっとイントロが長く(約50秒)、3:10〜3:17にエンジニア?の声が入り、エンディングも【No.130】より10秒ほど長い。【No.129】は途中がカットされた短縮版だがイントロは【No.130】より長い(約30秒)。
「Crash Landing」に入ってる "Captain Coconut" エンディング部分に、この演奏の一部が使用されている。ちなみに、そのイントロ部分は、ライヴにおいて "Hey Baby" への導入部として弾いていた("Woodstock Improvisation" にも近い)、スパニッシュ風マイナー・キー無伴奏ソロの一部("Bolero" か?)。どこから持ってきた音源なのかは不明。"Captain Coconut" については Part 6 でも取り上げる。

Hey Gypsy Boy / Hey Baby (New Rising Sun)
【No.131】は【No.134】の初期の姿。【No.132】は【No.131】をベースに、バックを差し替え女声コーラスまで加えて仕上げたもの。【No.134】とミックスが微妙に違う【No.133】は、前奏曲として "Bolero" があり、実はそこから続いていた、ということを明らかにした、つまりはフェイド・インしない完全版、ということになるか。
副題に "New Rising Sun" と付いてるが、上記 "New Rising Sun" とは曲としては無関係なのでは? 

Peace In Mississippi
ディストーションばりばり、めちゃくちゃヘヴィなインスト。ビートルズの "Helter Skelter" みたい。【No.136】は途中がカットされた短縮版。【No.137】はバック差し替えヴァージョン。右側で応答するギターはジェフ・ミロノフと思われる。後半に聞こえてくる口笛のような音は何だろう? イントロ部分が少しカットされて【No.136】より短い。

Here He Comes / Lover Man
モンタレーのライヴでも取り上げていたB.B.キングの "Rock Me Baby" を改作。晩年に至るまでライヴでもスタジオでも何度も取り上げていて、録音時期の違うスタジオ・ヴァージョンは6種類もある。【No.140】は take 4 の頭に take 1 のイントロを付け足したもの。【No.141】は他に比べて遅いテンポで重みがある。パーカッションが入った【No.142】は途中からテンションが落ちてしまう。【No.143】は中間のギター・ソロで “熊蜂の飛行” を引用(ライヴでも頻出)。最後の【No.144】ではアレンジに変化があり、ギターを何本も重ねたりしている。これはこれで面白いが、勢いにまかせた初期のアレンジの方が良かったような…

Room Full Of Mirrors
後のヴァージョンほどテンポが早くなる。ルーズな【No.145】、ミディアム・テンポ【No.146】、"Killing Floor" みたいにスピーディなカッティングで始まる【No.147】でファンク・ロック化、最終的な形【No.148】ではスライド(?)がピュンピュン飛び交い、独自の洗練された曲に変貌。さらにギターをオーバーダブして完成させたのが【No.149】。95年のリミックス【No.150】では、元 The Knack の Bruce Gary によるドラムに差し替え。元のスムーズなグルーヴの方が良いのに。エンディングの余韻も省略されている。
1995年に出た「Voodoo Soup」は、2年後の「First Rays of the New Rising Sun」に先駆けて晩年(「Electric Ladyland」以降)の録音をまとめた編集盤。多少のミックス違いが入ってるとはいえ現在では存在意義が薄く、マニア以外は無視して良い。

It's Too Bad / Shame, Shame, Shame
"Voodoo Chile" と同系統のスロー・ブルース・ジャム【No.151】のオルガンは Larry Young とされていたが、実際は Buddy Miles のバンド仲間 Duane Hitchings によるもの、と判明している。【No.152】は【No.146】から間を空けず続いたもの。どちらも "Room Full Of Mirrors" から即興的に派生したと思われ、歌詞にも共通点があるが、曲としてはそれほど似ていない。

Sunshine Of Your Love
クリームの有名曲をインストでカヴァー。ライヴでしばしば取り上げていた。後半で同じくクリームの "Outside Woman Blues" のリフを取り入れている。【No.156】はドラムがバシバシと80年代の音を出すオーバーダブ・ヴァージョン。途中のベース・ソロの部分を短くカット。

Hear My Train A Comin'
別名 "Getting My Heart Back Together Again"。"Voodoo Chile" と歌詞の面でも兄弟関係にあるブルース・ナンバー。"Red House" とともにライヴで長尺のソロを展開する際の定番であり、名演が生まれやすい曲である。古いスタイルの素朴なブルース・シンガーのような、珍しく12弦アコで弾き語る【No.155】は写真スタジオで映像収録されたもの。まだ曲として固定する前の段階か。【No.156】はリハながら緊迫感のある凄演。バック差し替えの【No.158】は【No.157】を元にしているが、2番のヴァース("tears burning my eye...")とギター・ソロの前半部分をカット。【No.159】は Band of Gypsys の初セッション。この頃はまだ Experience は存続しておりライヴ活動を続けていた。中途半端に終わった take 3 に take 2 のエンディング部分を繋げたとのこと。

last updated: 2013.4.24

Part 6 に続く
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