from ProjeKct to KC2000
King Crimson ProjeKct 2 Space Groove King Crimson ProjeKct 2 Live Groove King Crimson ProjeKct 1 Live At The Jazz Cafe King Crimson ProjeKct 4 West Coast Live King Crimson ProjeKct 3 Masque
1〜4と出揃ったキング・クリムゾンの分裂プロジェクト・シリーズ。→ amazon.co.jp で検索

発表順に整理すると、

ProjeKct 2 : Fripp, Gunn, Belew -「Space Groove」「Live Groove」
ProjeKct 1 : Fripp, Gunn, Levin, Bruford -「Live At The Jazz Cafe」
ProjeKct 4 : Fripp, Gunn, Levin, Mastelotto -「West Coast Live」
ProjeKct 3 : Fripp, Gunn, Mastelotto -「Masque」

 ※ ProjeKct シリーズ のライヴ盤は KC Collectors' Club でも数枚リリースされている。

最初に出た「ProjeKct 2 - Space Groove」はイマイチよくわからなかった。2枚に渡ってダラダラ即興が続くだけって感じで曲らしきものが聞けない。ところが、「ProjeKct 2 - Live Groove」は意外にも楽しめた。ライヴならではの荒々しさがあって、スタジオ盤よりハード&ヘヴィ。曲と言える部分はかなりクリムゾン的だ。"21st Century Schizoid Man"(“21世紀の精神異常者”という邦題は自主規制により現在“21世紀のスキツォイド・マン”となっている)のセルフ・カヴァーもあって、これが笑える。中間部のユニゾン・パートをラウンジ・テクノ風 (?) にアレンジした自虐的なヴァージョンで、70年代を至高と崇め奉ってるような者は小バカにされてるような気分になるんじゃなかろうか。90年代“ダブル・トリオ”クリムゾンのライヴ(1996年)で取り上げた時はまともなアレンジだったが。

ProjeKct 1 は、Bruford が普通のドラム・セットを叩いているせいか、ProjeKct 24 に比べて音の感触が古い。70年代クリムゾンのインプロ部分を抽出したようでもあるが、あの狂ったような熱気とダイナミクス(盛り上がり)がなく、単調で、醒めている。

ProjeKct 4 & 3 は、暗黒ドラムンペース・アンビエント・ジャズロック(←なんじゃそら)。確実に新しい音だ。ProjeKct 4 では Levin の重低音がスゴイ。ProjeKct 3 はライヴとスタジオ録音が混在していて、音色も多彩。

●プロジェクト・シリーズ総括

このシリーズで鍵となるのは、ProjeKct 2 で Belew が使って意表をついた "V-Drum" であり、ProjeKct 4 & 3 の Mastelotto の働きである(Electronic Trap & Buttons というクレジット)。"V-Drum" というのは、単に電化ドラムと言い切れないほど多彩なことができる新兵器で、ProjeKct 2 ではベースの役割も果たしたりしてるし、ProjeKct 4 & 3 では、サンプリング音を鳴らしたり、それをループさせたりして、ドラムン・ベースのような性急で複雑なリズムを一人で叩き出している。Belew のプレイはシンプルだが、Mastelotto はさすがに凄い。「太陽と戦慄」期の Bruford と Muir を一人でやってるようにも聞こえる。実際に ProjeKct 4 & 3 での主導権は Mastelotto が握っているようだ。

「1〜4」どれもほとんどが即興演奏主体であること、ちょっとしたテーマらしきものは "Thrak" とよく似ていること、から「THRaKaTTak」のリリースが伏線になっているように思う。はっきり言ってそれもツマラナイものだったし、プロジェクト・シリーズも、73〜74年頃の即興と違って、聴いていてあまり楽しくない、燃えない。ダラダラと音を垂れ流してるだけで、盛り上がらないんだよね〜。ProjeKct 14 すべてに参加してる Fripp と Gunn のプレイが平坦で、困ったことにどれも同じに聞こえてしまうのが大きな問題か。プラス面としては、今まで地味な存在だった Mastelotto の地位がここにきて浮上してきたことが挙げられる。他のメンバーからの信頼も厚いようで、彼が今後のクリムゾンにおいて大きな存在となりそうだ。

●次期クリムゾンへの展望

プロジェクト・シリーズの終了(継続するという話もあり)に伴い、次期クリムゾンも始動した。人員構成は、Fripp, Gunn, Belew, Mastelotto の4人。Bruford が不参加の理由は "V-Drum" を使うのを渋ったため、Levin が不参加の理由は単に多忙だから。但し、この2人がクリムゾンから脱退する、という訳ではないらしい (?)。(プロジェクト・シリーズ番外編のような Bruford Levin Upper Extremities はそこそこ良かった。)

音の感触は ProjeKct 4 or 3 で、作曲された構成のあるもの、というのが ぼくの予想する次期クリムゾンの姿。ドラムは Mastelotto 一人で充分だろうが、ダブル V-Drum なんて場面もあるかも。プロジェクト・シリーズのように即興ばかりではクリムゾンとは呼べないからカッチリした構造がある曲とか歌モノは絶対持ってくるはず。歌モノがなくなってしまうと、今回のクリムゾンでは Belew の存在意義が危うくなるのではないかと...(笑)

DGM のサイトで公開されている Fripp や Gunn の日記によると、1999年12月現在、Nashville で新作アルバムのレコーディングが進行中。バリバリヘヴィでメチャクチャ複雑なものになってるらしい。“太陽と戦慄パート4”も準備されている。楽しみに待とう。

2000.1.11


●追記

King Crimson / The ConstruKction of Light(2000/5/3発売)
Discipline Global Mobile/Pony Canyon PCCY-01455/\2,548(\2,427)

HighField による全曲メモ(第一印象)

1. ProzaKc Blues
I woke up this morning... ブルースのパロディ
Elephant Talk の読み過ぎ」(笑)
2-3. The ConstruKction of Light
ディシプリン路線
4. Into The Frying Pan
"Vrooom Vrooom"
5. FraKctured
"Hope" (The Robert Fripp String Quintet)
6. The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum
"Sex Sleep Eat Drink Dream"
「音の感触は ProjeKct 4 or 3 で、作曲された構成のあるもの」の予想通りの音
7-9. Larks' Tongues In Aspic - Part IV
ノー・コメント
10. Coda: I Have A Dream
ビートルズの影
忌まわしき20世紀へのレクイエム

ProjeKct X
11. Heaven And Earth
意外に作曲の比重が高い
ProjeKct X による次作が楽しみ


King Crimson / A Beginner's Guide To Projekcts: The Deception Of The Thrush(2000/5/3発売)
Discipline Global Mobile/Pony Canyon PCCY-01456/ \2,100(\2,000)
シリーズの作品からベスト・トラックを抜粋して構成した、キング・クリムゾン・プロジェクトへの入門サンプラー。

1-7. Masque...ProjeKct 3
8. 4i1...ProjeKct 1
9. 2ii3...ProjeKct 1
10. 4ii4...ProjeKct 1
11. Sus-tayn-Z...ProjeKct 2
12. The Deception of the Thrush...ProjeKct 3/4
13-15. Ghost (part1)...ProjeKct 4
16-17. Ghost (part2)...ProjeKct 4

last updated: 2006.9.1

Home