めんこい通信2017年11月30日号

 もくじ

 政治と言葉がぐっと遠くなった
 Kindle
 義母の他界
 しぶとくしぶとくしぶとくCD販売促進
 これまでの出来事
 この間に読んだ本
 これからの出来事

 めっきり寒くなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

◉政治と言葉がぐっと遠くなった

 10月は総選挙がありました。あれはなんだったんでしょうかねえ、未だによく理解できない選挙でした。議会解散権は首相の専権事項とマスコミでは言われていましたが、憲法にそんなことは明確に規定されているわけではないのに既定事実かのように言われるのはおかしいし、何よりもコクナンなどという解散理由が理解できないものでした。ま、一部で言われているように、モリカケ問題の解明がこれ以上進んでいくと嘘をついていたのが完全にバレてしまう。野党とくに民進党はまとまりがなく弱体化しているのが目に見えている。都議会議員選挙では大敗したけど、今だったらまだ勝てる。よし、一つここらで選挙をしてスッキリさせよう。理由? そんなのはどうだっていい。それっぽく適当にでっちあげればいける。どうせ選挙民は何も考えていないんだから・・・こんな感じだったのかもしれない。
 で、その後がまたまたダサい劇を見ているようでした。なになに、いきなり希望の党だって、えっ、民進党をその希望の党が吸収、希望は希望に沿わない候補者は公認しない・・・などというドタバタが始まり、その間に小池女史の排除発言のせいか希望から希望がしぼみ始め、終わってみれば(議席数で)自民党の圧勝。力が抜けました。もう、どうなってもいい気分です。もはや人々はわずかな変化も望んでいないかのように見えます。ま、変化というのは頭使うわけですからね。できるだけ頭を使わずこのままじっと今の生活を続けたい、ということなんですかねえ。政治も言葉もどんどん虚しくなってきました。いいのかなあ、こんなんで、などと言いつつ我々の生活もほとんど大きな変化もなく続いているのでした(実は少しありました)。

◉Kindle

 今ならKindleが5000円引き、というのをamazonで見たのでつい買っちゃいました。いまのところ、まあまあ満足しています。電池はかなり長持ちするし、紙のようなディスプレイは美しく、文字を簡単に拡大縮小できるので読みやすい。
 難点はいくつかあります。まず、気になった人名や項目を見直そうとページを戻るとき、そのページまで一枚一枚(Kindleでは一滑り一滑りですが)やる必要があること。紙であれば見当つけてさっと戻れます。目次もばさっと戻れる。Kindleだと一回画面を叩くと出てくる場所指定のところでもう一回叩くという手間がかかります。この一手間必要だというのが紙と電子版の大きな違いと言えるかもしれません。ちょっと慣れが必要です。
 次の難点は電子化された本のリストにワダス好みの本が少ない。これはきっと将来は解決されるに違いない。何しろ最近の本はたいていまずコンピュータで書かれるので、紙に印刷というプロセスが省かれる分だけ安くなるはずです。もっとも、電子化されたデータを紙以上の寿命で保存できるかどうかはまだなんとも言えません。CDが何年保つかわからないし、サーバーに保存されると言っても主要な記憶媒体のハードディスクは壊れることがあります。
 さらなる難点として、今のところ紙より安いとはいえ電子本は必ず購入しなければならない。無料のものももちろんあるのですが、読みたいと思うものは皆無です。図書館を頻繁に利用するテイシューニュー読者としてはこの辺りが辛い。
 とはいえ、木をバサバサ切って細切れにし煮詰めて化学薬品を投入して薄く伸ばして乾かしてようやくできる紙の消費をできるだけ少なくするという環境的意味では電子書籍の意義は大きい。今よりもずっと電子書籍が普及してくると、図書館というものはどうなるんだろうとふと気になるのでした。というわけで、読んだ本の中に電子版が登場して来たのでした。

◉義母の他界

 「お母さんが亡くなったのよ。家に帰らないで直接明石に来て」
 龍谷大の授業中の久代さんからの電話からにわかに慌ただしくなりました。
 11月21日(火)昼頃、定期的に訪れるヘルパーさんが呼び鈴を押しても応答がないと久代さんが連絡を受け、近くに住む妹の駒井夫婦に確認しに急いで行って発見されたのでした。遺体が安置されている明石医療センターへ行くと、亡くなった独居老人が発見された場合、刑事事件の可能性がなきにしもあらずということで、遺体の横に警察官が座っていたのにはちょっと驚きました。考えてみれば当然その可能性はあります。
 ともあれ、主治医との連絡がつかず検案医師が来るまで時間はかかりましたが事件性なしとの判断で、夜遅くに遺体は葬儀会場に運ぶことができました。その日は当然家には帰れず、義父のときにもお世話になった大和会館に2泊し、家族だけで慌ただしく翌22日通夜、23日葬式を行いました。
 認知症的傾向はあったものの、88歳の義母は亡くなる1週間前に一緒に赤穂に牡蠣を食べに行けたくらい食欲もあり体は元気そうだったので、突然といえば突然です。亡くなったこと自体は悲しいことではありますが、年齢からいえば大往生といえます。定期的に訪ねて日常生活の手助けするのがいつまで続くのかとか、入所すべき施設についてあれこれ悩んだりということから解放されたこともあり、ある意味ではほっとしたともいえます。これで、ワダスと配偶者の両親がこの世界からいなくなり、いつかは分かりませんがつぎはいよいよわれわれ自身の番ということですね。
 偶然ですが、霊安室にいるとき「松井高男さんが今日亡くなった」と植松奎二さんから電話をもらいました。松井さんというのは、かつての六甲「ハプリ」での飲み友達にして大先輩、「六甲村人会」村長でした。2年前に松井さんを囲む宴会をしたときすでに90代とおっしゃっていましたから、こちらも大往生でした。あとで聞くと、享年95歳だったそうです。
 こうした訃報に接する機会が増えてきたということは、われわれもいよいよ年を取ってきたということです。

しぶとくしぶとくしぶとくCD販売促進

 去年作ったワダスのソロCDは、おかげさまで残りわずかになりましたがまだたっぷり在庫はあります。というわけで、ワダスの願望をしぶとく繰り返したいと思うのでした。
「ま、それなりに好評のようなワダスのCDの購入をみなさまにお願いしたいなあ、と強い願望を持っているわけでありますが、もちろんそう願われる人々にもさまざまな事情があり音楽の好みがあり、必ずしも中川家の生活向上にはご関心があるわけではないということも理解してはいるのですが。はい。とはいえ、残りはわずかです。ぼやぼやしていると、ひょっとしたら生前のHIROSを偲ぶ唯一の音源が売り切れになるかもしれませんよ」。んなことないか。
http://sound.jp/tengaku/CD/ragamusic.html
 1枚2000円で販売しています。ふと思いついたらメールでご連絡ください」
 というわけで、中川家で一定の面積を占めているCDの速やかな退去にご協力ください。

===これまでの出来事===

◉8月19日(土)〜8月24日(木)/島原、吉野ヶ里、別府温泉
 久しぶりの九州演奏旅行。同行したのは、タブラー演奏はもとより車両提供、運転、音響機材提供及び操作、簡易舞台資材提供及び設置をすべて一人でこなした藤沢バヤンくんでした。どこで何をしたかについては、この通信の付録として別ページにしましたので、ご興味とお時間のおありの方はこちらでご一読ください。

◉8月29日(火)〜9月13日(水)/ネパール
 九州ツアーから帰って1週間後、ネパールへ2週間の旅行しました。ネパールは、1972年、1978年、1981年以来4度目の訪問でした。今回はほとんど観光らしいことはせず、習いに来るネパール人のバーンスリー奏者たちへのレッスン、2回のコンサート、幼稚園、小学校、障害者施設での音楽授業参加という日々でした。その辺のことは下記の写真付きよれよれ日記で詳しく書いていますので、九州ツアーよれよれ日記ともども、ご興味とお時間のおありの方はご一読ください。

◉9月15日(金)/岡田淳の世界 児童文学作品原画展/兵庫県公館兵庫の文化展示室
 20代の頃からの知り合いの集まりである短足友の会のメンバーで、児童文学作家の岡田淳さんの展覧会に出不精の久代さんを誘って行ってきました。場所は兵庫県公館。明治時代に建てられた堂々とした建物ですが、兵庫県に関わる展示物の展示の仕方や案内板などが役人的でダサい。それほど広くない展覧会場では岡田さんの著作や原画などが並べられ、彼のこれまでの仕事が一望できるようになっていました。ほとんど飲み会でしか会わない淳さんですが、児童文学の世界では数々の受賞歴もありエライ人なのだと再認識しました。
 展覧会の後、近くの旧知の中華料理店「良友酒家」で久しぶりに食事。押し付けがましくなくキビキビとしてかつきちんと気を配るお母さんは相変わらずだし、料理も美味しかった。
 
◉9月16日(土)/佐久間新+ウィヤンタリ、ウニ来宅

 ジャワ舞踊の佐久間くんからいきなり電話。
「今日そちらに伺おうと思いますが大丈夫ですか。今、ジョグジャのISI(インドネシア芸術大学)の先生が来ていて神戸案内なんです」
 というわけで佐久間夫妻に連れられて我が家にやって来たのはとても元気の良いインドネシア人女性ウニさんでした。ウニさんはISIの舞踊科の先生で佐久間夫妻は教え子。短いスカートなのに胡座をかいて大声で笑う楽しい人でした。大阪市立大学で半年間滞在することになっているとのこと。

◉9月17日(日)/映画「エミリー・ディキンソン」/「ロバート・フランク展」KIITO/
 19世紀アメリカの女性詩人、エミリー・ディキンソンの生涯を描いた映画を見ました。ワダスは全く知らなかったのですが、久代さんが知っていてかねがね興味があったとのこと。映画は、ま、よくできていたと思います。
 外出ついでにKIITOで行われていた「ロバート・フランク展」にも行ってみました。そこでひょいと岡田淳夫妻に遭遇。前々日に彼の展覧会を見に行ったのでその偶然にちょっとびっくりでした。

◉9月23日(土)/Autumn Equinox 〜Kenny Endoと仲間たち〜公演/西宮市プレラホール/大町たけし:チェロ、久保比呂志:津軽三味線+キーボード、ケイコ・フジイ:ダンス、ケニー・遠藤:和太鼓、HIROS:バーンスリー

リハ中の大町、久保、ケニー

 以前2回ほど東京のソロ公演に参加したことがあるアメリカ人和太鼓奏者ケニー遠藤さんからのお誘いで演奏しました。ワダスの出番はそんなになかったのですが、ダンスとの絡みも関係し二日間の念入りなリハーサルのため園田にあるケイコさんのスタジオに通ったのでした。ハワイやニューヨークでの公演活動が多かったこととアメリカ人のケニーがいたせいか、ボス的貫禄のケイコさんの指示はほとんど英語です。ケニーがそれに日本語で応えているのがなんとも妙でした。
 公演そのものは、みな手練れのミュージシャン、ダンサーたちだったので安定してレベルの高いものでした。聴衆も大満足だったのではないかと思います。
 
◉9月25日(月)大谷大学/ケニー遠藤・チズコ夫妻とのミニ宴会

 ケニー遠藤さんとチズコ夫妻と京都で食事。彼らが泊まることになっていたのはゲストハウス三条高倉響なので、近くの「五けんしも」へ行きました。近所の堺町画廊の伏原納知子さんのおすすめ。その日、比叡山観光をして来たケニーは持病の膝関節が悪化したらしく歩くのに苦労していました。
 まず伏原さんに挨拶した後、彼女の一押しの店に行くと閉まっていました。で、仕方なく3押しの「五けんしも」へ。大きな店ではないのですが、和風の洗練された雰囲気が京都っぽく、この種の店はわれわれビンボー人には要警戒なのです。われわれはアメリカの音楽生活もなかなかに大変だなどとケニーの話を伺いつつ、上品な空間で上品に摂食飲したのでした。

◉10月8日(日)/芋煮会/江見山荘、神戸
 江見山荘での2年ぶりの芋煮会でした。


◉10月9日(月)/片山旭星独演会/筝の内貴2階、京都/焼肉屋
 旧知の片山旭星さんから独演会のお知らせを受け、それがたまたまジュギョーのために京都で宿泊する月曜日だったので聞きに行きました。
 会場は祇園に近いお琴屋さんの2階。20人くらいの客で埋まっていました。
 彼の琵琶語りを聞くのも久しぶりでした。出し物は「高松城」と「敦盛」。けっこう地味な琵琶の弾き語りをずっと続けている片山さんの固定ファンの見守り方が暖かい。


「飲みに行こう」ということになり、近所のホルモン屋「京もつ鍋ホルモン 朱々」で打ち上げ。姫路からだという女性と京都でタウン誌を編集しているという女性も参加しました。片山さんがけっこうなスピードでたくさんアルコールを摂取するので、けっこうな勘定になったのでした。己を飾らず細かいことには気にしないストレートな片山さんと飲むのはなかなかに楽しいなあ。

◉10月13日(金)/神戸文化支援基金設立25周年記念交流会/北野ガーデン、神戸
「一人で行くのは心細いので一緒に行きませんか」という下田さんのお誘いで結構な大宴会に参加しました。場所は北野町の高級レストラン、北野ガーデン。ガラス張りの建物に囲まれた芝生の中庭と背景の高い木々のながめが素晴らしい。
 神戸文化支援基金というのは、ギャラリー島田の島田誠さんを中心に運営されている組織です。アクト・コウベの活動などで支援していただいことがあります。25年前、亀井純子さんという一人の女性の遺志で始まったこの活動は大きく広がり、そのユニークなあり方が注目されています。
 集まったのは神戸周辺の文化的活動に関わっている人たちが中心で、見知った顔もたくさんいました。

◉10月14日(土)/須磨水族館
 夕方6時からの科学講演会に申し込んだついでに水族館も見て回りました。とは言え、閉館30分前で本来は入場できないところを無理を言って入れてもらったので駆け足でした。ま、いわゆるフツーの水族館ですが、それぞれの展示水槽が小さくて、展示されている魚などが気の毒に思えて来ます。王子動物園の動物たちと似た環境と言っていいかもしれません。閉館時間の5時ギリギリに外に出て講演の始まる6時までの時間をつぶし方のアイデアが出ず、久代さんと夕闇迫る須磨の海岸で海を眺めて結局そのまま帰宅しました。講演は確かアシカについてだったかな。

◉10月15日(日)/エバーグリーン管理組合理事会
◉10月16日(月)/大谷大学/野中家泊/ゲスト女性2名
◉11月13日(月)/坂越牡蠣ツアー/海鮮問屋 城、赤穂市坂越

 いつも自宅に引きこもっている義母を連れ出し、2月に下田さんたちと行って盛り上がった坂越の牡蠣食堂へ。レンタカーのカーナビがけっこうアホで行くのに予定以上に時間がかかってしまいましたが、晴天でかつ紅葉で色づく海岸沿いの山と海の景色と牡蠣三昧で義母は満足していました。義母はけっこうな食欲でしたが、これが彼女の人生最後の遠出になろうとはそのときはまったく思ってもいなかったのでした。

◉11月16日(木)/CAPメキシコ会議/角正之(ダンス)、岩本象一(パーカッション、ガムラン/在岡山)、Hiros、森田優希子(美術家、パンの照明オブジェ)、平林沙也加(美術家、飾り羽子板/押絵羽子板)、淺野夕記(美術家、ドローイングやインスタレーション/在ベルリン)、下田展久(C.A.P./制作担当します)
 文化庁への助成金申請書類の確認、出来上がったばかりのCAP音頭(作詞:岩本象一、作曲:HIROS)の練習などなど。ベルリンの浅野さんにSkypeでつなごうとしたらいきなり本人がその場に現れてびっくりでした。浅野家に代々伝わる瞬間移動の術を使ったようです。
 申請が通るかどうかがわかるのは来年3月とのこと。下田さんの完璧な申請書類は、ものすごく意義の深い大プロジェクトに見えてなんとなく通るような気がします。ともあれ、通れば来年8月はメキシコです。

◉11月21日(火)/龍谷大学/義母死去
◉11月22日(水)/通夜/大和会館、明石
◉11月23日(木)/告別式/大和会館、明石

◉11月25日(土)/TON PLACERオープニングイベント/TON PLACER、神戸/角正之:ダンス、田中りこ:タブラー、HIROS:バーンスリー
 TON PLACER(トンプラッセ)というのは、ダンサーの角さんが自宅スタジオを改造したパフォーマンス空間の名前です。天井の高いスタジオの壁面に貼られた小さな三角錐の突き出た吸音素材の市松模様が美しい。簡単な照明設備も備わっていて、ちょっとしたパフォーマンスには最適です。これを全て奥様と自前で作ったというから、その意欲と実行力には頭が下がります。
 で、この空間のお披露目イベントに呼んでいただき、久しぶりにタブラーの田中りこさんと演奏しました。演奏したのは、インド古典音楽、ついで角さんの即興ダンスに即興の音と秋田長持唄。長い木の棒を持った角さんのダンスは迫力でした。角さんはワダスよりも年上なんですが、おしゃべりも行動力も相変わらずSumish的にエネルギッシュです。打ち上げのおでんがおいしかったなあ。

===これまでに読んだ本===

『文明は<見えない世界>がつくる』(松井孝典、岩波新書、2017)
『邪馬台国と初期ヤマト政権の謎を探る』(塚口義信、原書房、2016)
『鉄の骨』(池井戸潤、講談社文庫、2011)
#1『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』***(ルイス・ダートネル/東郷えりか訳、河出書房新社、2015)
『大学とは何か』**(吉見俊哉、岩波新書、2011)
#2『世界の測量 ガウスとフンボルトの物語』***(ダニエル・ケールマン/瀬川裕司訳、三修社、2008)
#3『ラデツキー行進曲』***(ヨーゼフ・ロート/平田達治訳、鳥影社、2007)
『街場の読書論』*(内田樹、太田出版、2012)
『名声』(ダニエル・ケールマン/瀬川裕司訳、三修社、2010)
『フェルマーの最終定理』***再読(サイモン・シン/青木薫訳、新潮社電子版、2016)
『学校では学べない世界近現代史』*(文藝春秋編、電子版、2017)
『啓蒙とは何か』**他3編(カント/中山元訳、光文社古典新訳文庫電子版、2013)
『世界で最も美しい量子物理の物語』*(ロバート・P・クリース+アルフレッド・シャーフ・ゴールドハーバー/吉田三知世訳、日経BP社、2017)
『大予言』(吉見俊哉、集英社新書、2017)
『別冊NHK100分de名著 大乗仏教』**(佐々木閑、NHK出版電子版、2017)
『「文系学部廃止」の衝撃』*(吉見俊哉、集英社新書、2016)
『クラウド・テロリスト』上下(フリーマントル/松本剛史訳、新潮文庫、2017)
#4『セカンドハンドの時代』***(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ/松本妙子訳、岩波書店、2016)
『別冊NHK100分de名著 維摩経』**(釈徹宗、NHK出版電子版、2017)
『人類の星の時間』**(シュテファン・ツヴァイク/片山敏彦訳、グーテンベルク21電子版、2017)
『重力波は歌う』**(ジャンナ・レヴィン/田沢恭子+松井信彦訳、早川書房電子版、2016)
『茶箱広重』(一ノ関圭、小学館、2000)
『鼻紙写楽』(一ノ関圭、小学館、2015)

#1・・・ネパールへ持って行った唯一の本。ネパールでは毎日が忙しかったので帰国前日に読了。核戦争や大気候変動などで人類が破局を迎えたとき、生き残った人間はどうやって科学文明を再興するかというのがテーマです。実際は、いまわれわれが使っているモノがいかに多くの専門化した多くの人間の手によって成り立つのかを思い知らされる本でした。例えば包丁やハサミといったわれわれが当たり前に使っている鉄製品が、もともとの岩石からどのようにして選り分けられ集められて鉄という材料になるのかなんて普通の人は知りません。あるいは刈り取った羊の毛を持たされて、今着ている濃紺の毛糸のセーターを作れと言われてもできません。生の毛からセーターまでは無数の加工プロセスが必要だからです。文明度が高いほどモノの構成要素の集積度が高いということは、破局が仮に起こった場合、最も生き延びにくい。というようなことを色々と考えさせられる本です。おすすめです。
#2・・・頭脳の中で数の世界を旅する数学の天才ガウスと、実際にいたるところを旅して世界を把握しようとしたフンボルトの話。ガウスの、自分よりも頭の悪い人間を見下すいやらしさとか、フンボルトの世界を知りたいという意思の強さと絶対になんとかなるという思い込みの楽天性、最初はそれぞれの人生に焦点を当てて物語が進行しますが、次第に二人の人生が交差してきます。簡潔でテンポの早い描写が現代的と言えるかもしれません。ネパールで会ったオーストリア人女性エヴァのおすすめ本でした。大当たりの本です。
#3・・・やはりエヴァのおすすめ。ヨーロッパの一大勢力だったハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国が次第に力を弱め、第一次大戦の敗戦で完全に崩壊してしまうわけですが、その崩壊の過程をある一族の3代にわたる男たちの生き方を通して描いた物語。ディテールのレトリックが濃密なので物語の進行スピードは遅いが、その描写力で物語世界に引きずり込んでしまう。久しぶりに、読み終わって「ふう」と一息ついたのでした。それほど充実した読書でした。
#4・・・600ページ近い分厚い本ですが、楽に読めました。村上春樹の『アンダーグラウンド』と同じような全編インタビューの記録。ソ連時代のかつての英雄たち、ささいな理由で死刑になったり拷問を受けりした人やその家族、極寒の収容所から帰還した人たち、ソ連時代に共産主義教育を受けた人たちの、ソ連崩壊後の社会の激変に戸惑う人たちの言葉が延々と続く。政治体制の激変がいかに人々の生き方に影響を与えるか考えさせられます。敗戦によって鬼畜米英からアメリカ的民主主義に変化した日本でも似たようなことが多くあったはずで、人ごとではない。

===これからの出来事===

 世間の人々は大忙しかもしれませんが、週2日のガッコのジュギョー以外、われわれは基本的に絶ヒマです。ボーネンカイとかクリスマスとかオショーガツとかもほとんど関係ないのでした。もっとも配偶者は義母死去後の残務整理でちょっとバタバタしていますが。
 とはいえ、1月はトークと演奏があります。
 また、2月と3月には今年もやったラーガ音楽講座の依頼も受けていますがまだ具体化していません。

◉1月21日(日)/トーク「90年代の神戸の音の実験〜XEBECの試み〜」/
芦屋市立美術博物館、芦屋/スピーカー:下田展久、藤枝守、HACO、HIROS
 90年代にXEBECホールで行われた多様な催しを振り返りつつ、その社会的文化的意味を問い直すというイベント。藤枝さんが「アメリカ実験音楽の精神」、HACOさんが「a sound & art exhibitiion」、ワダスが「アジアの音楽シリーズ」というタイトルで、当時のプロデューサーの下田さんと話をします。

◉1月28日(日)/インドの笛と津軽三味線(仮)/CAP STUDIO Y3、神戸/久保比呂志:津軽三味線+キーボード、グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー
 久しぶりのCAPでのワダスの演奏会です。今回は、9月にケニー遠藤さんらと一緒に演奏した津軽三味線の久保さんです。三味線とのセッションも予定しています。タブラーはオーストラリア人のグレンさん。