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精霊がささやく夜


これは、ネットによる“時間差セッション”である。

僕は、なんの具体的なイメージも持たずに、Am-G-Fmaj7-Em7/Gというコードでギターサウンドを中心にしたインストロメンタルを作っていた。ちょっと音楽を知っている方ならおわかりと思うが、このようなコード進行は、なにをやってもほとんど許される自由な空間を演出しやすい。ただ、それは逆に具体性が乏しく、独りよがりの散漫な代物にもなり得るわけで、なにかしらの具体性(テーマ)が必要だったわけである。

音楽を作る場合、ふつうはこうだろう。
まず、なにを描きたいかがあり、そこで音像がイメージされ作品になっていく。ただ僕の場合、逆のことも多々ある。とにかく音を作っていく。なにも考えずに、ひたすら音を作っていく。すると漠然としたある種の世界があぶり出てくる。ただ、今回のサウンドに関してはそこまでたどり着けず、曖昧なまま凍結していたわけだ。

そこで、泣く子も黙る“言葉の万華鏡・超高速コラボリアン・多重人格・軟体グルーヴ歌手”ことKin'sRooさんに渡して、彼のアイデアと合作してみようと企んだわけだ。

まず構成だが、既成のサウンドを大胆に分断し、それぞれの間に同じコード進行のリフを設け、ヴァーチャル・セッションの形にした。つまり、−なにも具体的なことを知らされずに、突然セッションに呼ばれたKin'sRooさんが、前後のサウンドを聴きながら即興で空間に言葉をはめていく−そんなかんじだ。かなり無責任といえば無責任な方法論である。なにしろメロディさえもない、サビもない、のだから。ただ、一貫した循環サウンドは、ある意味でグルーヴを作りやすいのでは?と、ふんでいた。

あとは、「行ってらっしゃ〜〜〜い!あっち行って遊んでおいで♪」である。

彼がいくら超高速コラボリアンでも、今回は前回までと比較して趣がだいぶ異なり、尺も長いし、さすがに一週間くらいはかかるかなッハッハッハ…悩め悩め!と思っていたら、3日で帰ってきた。(゚o゚;;)
“精霊”を題材にした独自な世界を創造し、メロディもサビもないことを逆手に取り、朗読とタイトルフレーズのハーモニー・ボーカルを絶妙に配置した、見事な“うた”が挿入されていた。“うた”と書いたのは、漢字変換のしようがないからだ。“歌”でもあり“詩”でもあるからだ。

「音には言葉を呼び寄せる魔法がある」 そんなことをKin'sRooさんがBBSに書いていた。
ひろ@ウンダラのサウンドに触発されて言葉が出てきた−との身に余るハナシだが、魔法は魔法使いにしか見えないし、当然使うことも出来ない。

2002.6.24

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