タイムスリップ
--second chance--

第15話(最終話)
No regrets
Born this way

2023年8月
巡矢は41年勤めた
会社を定年退職した
取締役の席も
用意されたが
断る事にした
金はある年金も
生活に困る事はない

とにかく入社してから
忙し過ぎた
好きな趣味は
あまり出来なかった
これから残りの人生
10年あるいは15年

13歳からコツコツ
作り続けた曲を
バンド形式で残したい
少しづつ楽器揃え
沢山の人には聴いて
貰えなかったとしても
せめて子供や孫には
聴いてほしい
歌詞を読んで欲しい

死んだあとでいい

2023.12.31
紅白を観終わって
眠りについた
司会は有吉
歴史は変わっていない

翌朝iPhoneの
アラームで目が覚めた
久しぶりに
子供の頃の夢を見た
まだ若い両親がいた

部屋の中がおかしい
ギターやベースがある
どれもFender/Gibson
キーボードも
少しづつ買って
レコーディング
始めようと
考えていたのだが

Macを開いてみると
ハードディスクに
曲データがある
400以上ある

2日北海道室東蘭での
新年会のお誘いが
ミナミダさんから
来ていた
今回は迷わず
出席に〇をつけた
だが断ろう
羽田で事故が
起きそうで怖い
とか何とか云って

タイムスリップは
夢だったのか
4日から仕事に
行かなければならない

巡ちゃんご飯だよ
麻妃の声が
聞こえた気がして
振り返ると
鏡の中から少年が
巡矢を見ていた

---完---

エピローグにつづく