タイムスリップ
--second chance--

第9話
予期せぬ出来事

1976年夏
進路の面接があった
順矢は担任に言った
北大に行きます
そして僕は北大の
中村雅俊になります

井之頭公園はないけど
大通公園がある
江ノ電はないけど
路面電車がある
モテモテで
ウハウハの
エモい事になります
バズります
お世話になりました

北海道に住んでいる
人間にとって
北大は頂点だ
チャンピオンだ
本人も親も鼻高々だ
道外に出る考えは
全くなかった
札幌が好きだった

巡矢は運がいい
遺伝した能力
父は勤勉でやさしい
市役所勤めの
真面目な男
特待生で奨学金を貰い
大学に行っている
スポーツでも
北海道選抜選手

やっぱり
北大を受ける事にする
念のため私大を1校
滑り止めにしよう
東京に行かず
札幌で試験が受けられる
大学を選んだ
模試の合格率は90%以上
まづ間違いない

入試の前夜熱が出た
寒い頭が痛い
雪が降っていた
翌朝親には何も言わず
札幌行きの特急
すずらんに乗った
だが試験会場には
たどり着けなかった

タイムスリップして
やり直した人生だが
予期せぬ事は起こる

1番大事な時に

つづく