タイムスリップ
--second chance--
第7話
人生とはそういうもの
1972年中2、13歳
巡矢は人見知りな
少年だった
シャイな1人っ子
sensitive boy
今とまるで違う
オヤジギャグ
大好き爺ちゃう
って誰が爺やねん!
(独りノリツッコみ)
クラス以外の友達は
あまりいなかった
ある日同じクラスの
アッキの友達の家に
遊びに行った
ユージと下の名で
呼ばれるその少年
部屋の中に
ドラムセット ベース
ギターがあった
初めて見るその物体
楽器、何コレ?
歌謡曲は好きだったが
音楽の授業は嫌だった
クラシック鑑賞
リコーダーの練習
ユージが3枚の
レコードかけてくれた
ビートルズ
矢沢永吉
吉田拓郎
どれも知らない
テレビに出ない
歌手がいたなんて
聴いた事のない音
歌謡曲のそれと違う
それはギターの音
皆カッコ良かったが
1枚のレコードが
巡矢の胸に刺さった
肩まで伸びた
長い髪の横顔
LP元気です
その日の夜
巡矢は父さんに
ギターを買って
欲しいと頼んだ
父さんは巡矢の頼みを
効かなかった事がない
小学生の頃
馬を買って欲しい
と言った時以外
あの日ユージの家に
行っていなかったら
巡矢は音楽をしていない
音楽は聴くもの
だったに違いない
人生とはそういうものだ
つづく