タイムスリップ
--second chance--
第6話
秀才達が待つ場所へ
1974年4月
山には雪が
まだ残っている
タイムスリップから
3ヶ月が経った
巡矢は8:10分
幌別発の汽車に乗った
札幌のデパートで
買ってもらった
丈の長いガクランに
裾幅の広いズボン
厚底で踵の高い靴
1番端の座席に
3人の女子が座っていた
センターの娘に
目が釘付けになった
中学2年間
片想いだった女子は
過去の思い出になった
東室蘭駅から
駅前通りを
海に向かって歩く
誇らしい
胆振地方の
中学の秀才達が
一堂に集まる高校だ
町の大人達が皆
新入生を見ている
気がした
決められた教室に入り
席に座ると
巡矢の呼吸は
一瞬止まった
SLの中真ん中に
座っていた女子が
そこにいた
頑張って勉強した
ご褒美か
巡矢は思春期
真っ只中だ
DNAに組み込まれた
好みのタイプの
顔を見ると
好きになってしまうのは
やむを得ない
本能だから
落ち着け巡矢
今日は入学式だ
これから3年間
楽しい事ばかり
待っているハズだ
何せ青春なのだから
前途有望な未来が
待っている
ガリ勉なんかしなくても
北大に行って道庁だ
つづく