<未知なる体験>

・・・プロローグ ボクのプライド論・・・

プライドさえ捨ててしまえば楽になれる、解っているが出来ない事は数多い、、。
特にボクは、超異常に、、、プライドが高い、数ある欠点の筆頭だ
つまり、カッコ悪い自分を、絶対他人に見せたくないのだ、自分で納得いかないと、、。

例えば、病気で寝ているところ、年老いて入院してるところ、この世との別離の瞬間、、、、、
病院で家族に見守られながら...な〜んてゾっとする。。
ゾウのように独りで死にたい

雪の降る夜、何となく外を歩いていて突然意識が薄らいできて、ひざまずきうつ伏せに倒れる
痛くも、苦しくもなく、穏やかな気持ち
過去の想い出が、走馬燈のように流れる
頭に浮かぶのは、楽しかった事ばかり
子供の頃の自分や、たくさんの恋、妻との出会い、子供の誕生、音楽、スポーツ etc...
雪がどんどん降り積もり、辺りは真っ白になり、ボクは自然、地球、宇宙の1部へ戻る、、、、、

最初は誰だって出来ないに決まってる
生まれた時は、しゃべれもしない、歩けもしない、それを笑うものなどいない
けど、カッコ悪くへっぴり腰でコケまくってる自分、知らない人にも見られたくないんだなぁ
それが上達を妨げてる第1の原因にして、最大の原因
見栄っ張りのええカッコしぃ、、なかなか捨てられない

・・・本論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ひとつの事が出来るようになる為には、色々試行錯誤を繰り返したり多くの時間を必要とする
そして、絶対に出来ない事はない、人間は、、。
ボクが今年どうしてもやり遂げたいと思ってしまった事、モーグル
コブだらけの坂をハイスピードで滑り降りる、皆さんも五輪で見たことでしょう

何を選んでもいいのだ、皆さんの自由
とにかく何かに挑戦し、それを自分のものにしたい、、、そう思う事ありませんか?
勿論選んだには、理由、キッカケがある
しかし、やり遂げるのは辛いけど楽しい、楽しいけど苦しい

モーグルでは板の先落とし、とかトップを落とし込む、っていう考え方がある
コブの表(ふくらみ)を通過した後、その裏側へ板を押し付けるように踏み込む動作だ
これがいいとされている、接雪とかダウンプレッシャーなんて言葉でも表される
コントロールする為には雪を踏み、加重する必要がある、しかしこれは非常に難しい
初めて滑ったら、必ずコブを越えた後、トップは上を向いたまま
テールから次のコブの頭に向かって落ちていってしまう筈、コブに弾かれるってやつだ
それは当然だ、ふくらみで板は水平になっている
そして直後に70度近く落ちているのだ、次はまた水平、この連続
ブーツより先の方の板は宙に浮いたまま移動し
次のコブのふくらみにブーツからドンと当たってバランスを崩し転倒する、これが初心者や、今のボクだ

ところがある日、3/3ひな祭りの日、ボクは未知の体験をした
その日は大会があり、その表彰式の為、3時頃アルペンコースからほとんどのモーグラーがいなくなった
残っているのは表彰式と無縁のフリーの人達だけだ、チャンスだ、チャンスがやってきた
プライド捨てた筈のボクだけど、やっぱりカッコ悪い所見せるのは、心が砕ける
ボクの事なんか誰も気に止めてないだろうと思いつつ、、、

生まれて初めてスタート台に立った
誰もいないスタート台に立った
エア台のない真中のラインだけど、、、
そしていつもならたくさんいるライン待ちの列が、誰ひとりいない
1度も滑った事のないスタートからの練習、、、こわい、、。

突然風が止み、周りの音が何ひとつ聞こえない
まるで時間が止まり、地球が自転や公転さえやめたように感じる
足が、震える
今シーズンの目標は、いくらカッコ悪くても、見っとも無くても
転ばず、止まらず、諦めず
このライン、180m、50ターンを下まで滑り降りる事、自分でそう決めていた
その為に、ここに来た、毎週、200kmの距離を、独りきりで、、、

スタートした、自分の為に、、自分らしく生きる為に
ひとつ、ふたつ、コブを越える、3ターン、4ターン、5ターン
その瞬間、不思議な力を感じた、今までに1度も感じた事のない力

コブが板を押したのだ
コブが板のテールを押したのだ
雪が板を押したのだ
雪が板のテールを押したのだ

テールを押されたボクの板は、自然にトップが下がりコブの裏側へ落ちていった
今まで出来なかった姿勢、板の乗り位置、加重のタイミングが偶然出来たのだろう

ボクはあたかもスローモーションで滑っているように感じた
いつもならすぐ迫ってきて追いまくられる次のコブが、、、
待ち遠しく感じられた
いとおしく感じられた
ミドルセクションを滑っている時、もう完走できる、、そんな気持ちになっていた
いつも妨げられ、邪魔されていたコブが、ボクに力を貸してくれたのだ
自分でターンしたのではなく、コブが板を回し、重力に引かれてゴールまで落ちて行った

ボクはやっとモーグルの入り口に辿り着いたのかもしれない
やっとスタートラインに立ったのだろう、ここからが始まりだ

100回やってもわからなかったのに、101回目に気付く事がある
ならば102回目に何があるのか、やってみる価値があるだろう
何故なら、それが人生ってもんだから、、、つづく ^_^

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