<遅れてきたオトコ>

モーグルって、、、ただコブ斜面を滑って遊ぶのと、競技、大会ってのがある、、。
スキーをし始めてから、競技に出てみようと思ったことはなかった
スキーは、元はと言えばスポーツじゃなく、レジャーだった
人と競い合うものじゃなく、人と一緒に楽しむものだった
まして、大会にデビューするには、あまりにも歳をとり過ぎた >_<

ボクと同年代で、今でも家族と年に何回かスキーに行く友人達は
「コブだけは滑りたくない…」皆、口を揃えてそう言っている。

モーグルみたいにコブを滑りたくなってふた冬、、、
毎週練習してきたけど、それは大会に出るためじゃぁ、なかった
ただ自分の中で、目指す滑りができればよかったのだ…
あのまともに滑れない、ザウスのレッドコースや
恐怖のコンクリート階段コブのコースを
一般レジャースキーヤーは、決して滑れない人口コブを
カッコよく、自分が納得できるターンで降りてこれればよかったのだ
あくまでも、自分の意識、感覚の中で、カッコよく、、、

<時未だ早し>

3月8日〜9日とホームゲレンデ “シャトレーゼ” で大会があった。
今年は2年目、知り合いの選手も数多い
上位、いや表彰台に上がる可能性のある選手も多い
8日の朝、駐車場に着いた時、妙な気分になった。
き、緊張してる、、、出ないのに、、。
メールを打つ指が震えている
見知らぬモーグラーが、大勢いる

数十人から、「あれ、出ないんですかぁ・・・?」って言われた。
ある意味嬉しい
それって、ボクをモーグラーと認識してるってことですかぁ?
なのに、ビブを付けてないボクは、いったい何物なんだろう?
臆病者か、根性無しか、裏切り者か、スカした野郎か、、、
果たして、大会に出場することを、目標としないモーグラーっているんだろうか?

だいたいボクは、自分のことをモーグラーとは思っていない
まだ、モーグルと呼べる滑りができてるとは思っていない
大会に出るなど、時未だ早し、、、なのだ
人に採点される前に、自分の採点で落第だ

<そして、空へ…>

けど、その特設コースに興味はあった
基本的に、大会出場者しか滑れない、そのバーンに興味はあった
いつもの知り合い達が滑った、そのバーンに興味はあった
大会が終った後、僅か30分程開放されたそのバーンを滑ってみた、4回・・・
ポコジャンコースと言われる、ちっちゃなエア台のある真中のラインだ ^_^;
けど、この日、生まれて始めて2つのエア台のあるモーグルコースを滑った、、、
そして飛んだ、跳んでしまった
もちろん、棒ジャンっていうまっすぐなやつ

自分の中では、身長ほどは上に飛んだ気分
自分の中では、ある一線を越えた気分
自分の中では、空に旅した気分

1本目
滑り出す、トップセクションから1チビエアを勢いよく飛んで、、、
ランディング…増したスピードを自分のコントロール可能な範囲に戻す
2ぽこエアを跳んで、ランディング…
ゴールが見え、コブが縦で斜度がなので、殆どまっすぐ行ってしまう
・・・取り敢えず、通せた、コケず、2回ジャンプして、まるでモーグルのように

2本目
ひと漕ぎして、トップセクションをターン、スピードが出ない、一応飛んで
ランディング…2コブで、いつもの自分のスピードに戻し、ターン、ターン、ターン!
2エアを跳んで、ランディング…
また、勝手に加速してしまう、集中力が切れ、ボトム、まともにターンできない
・・・また、通せた、コケず、人生2度目のモーグルな体験

3本目
隣の選手と一緒に出てみる、ふた漕ぎして、先に1エアに辿りついて気合で飛び出した
ランディング…2コブで、限界の80%のスピードにして、ターン、やがて2エアが見えてくる
思い切って伸びあがり、ランディング…こんなに飛んだの20年ぶりかなぁ
しかし、ボトム、抑えきれない、ターンのふりのみ、手だけでターンしてゴール
・・・けど、通せた、コケず、お、面白い、3度目のモーグルな出来事

4本目
・・・通せた、コケず、難しいけど、お、面白れぇーえ!
ここで、コースクローズ、、、表彰式になってしまった、、。

元々腰痛持ちで、しかも若くもなく、怪我をできる境遇でもない
エアを飛ぶのは、躊躇してた
エアを飛ぶ練習は、したことがなかった
エアを飛ぶ、ガラじゃないと思ってた
エアを飛ぶ、必要などないと思ってた
エアを飛ぶ、なんて気恥ずかしかった

けど、その日、そのコースにはすべてエア台がふたつあった
当たり前だ、大会バーンなんだから
そして、皆普通に飛んでいた、出場選手なんだから
コースを滑ってみたけりゃ、思い切って飛ぶしかなかった
いつもの常設バーンのように、途中で止まり、チェックする状況ではなかった
数十人がスタートで順番を待ち、並んでいた、、、

2回のエアを飛んで、バーンを真っ直ぐ降りてきたなら

それはやっぱり、モーグルだ
それは確かに、モーグルだ
それはれっきとした、モーグルだ

五輪やW杯のそれとは違うけど
それは、紛れもなく、モーグルだ!

その瞬間、ボクは人に「モーグルしてます…。」って言えないだろうか?
その瞬間、ボクは人に「モーグルしてます…。」って言ってはいけないだろうか?
その瞬間、ボクは妻や子供達にも「モーグルしてる…。」って言ってやりたい。
そして、ボクが滑ってるところ、見てほしい
そして、ボクがコケるところも、見てほしい
そして、ボクが精一杯努力してるところを、見てほしい

どんなにダサくても
どんなにショボくても
どんなに、オヤジでも

人と争うわけじゃなく
人に見てもらいたいわけじゃなく
自分の現実を知りたいわけじゃなく
エアの練習をして、大会に出てみよっ...かなぁ、、、

たぶん、遥か昔、、、
学芸会や、運動会や、入学試験や、試合や、コンサートで
ドキドキしたような、緊張した時のような
あのキラキラした感覚を、もう1度経験するために、、、つづく ^_^

けど、ホントに遅すぎたなぁ...

                                  2003.3.11

| TOPMENUON-LINE MUSICおまけトークBBSLINK
自己紹介全曲暴露相性診断♀相性診断♂多重録音唯我独尊直情径行交遊見聞 |