第5回 南海その1
2004年も明け初ライブ出演も決定しバンドメンバーのモチベーションも上がって来ていた。
そんな中バンドと言えばやっぱりお楽しみは練習終わりの飲み会ビール偶然ながら
お笑い好きが集まってる事もあり、お笑い批評が話題になる事も多かった。
ある日ギターの店長が「オールザッツに出てた南海キャンディーズっておもろかったですね」と言う。
私も全く同感だった。
関西のお笑い好きが必ずチェックするTV番組「オールザッツ漫才」の新人トーナメントで
初見した男女コンビが強烈なインパクトを我々に与えた。
あまりやる気のなさそうな大女をキザな出で立ちだがどこか様にならない
赤眼鏡のスカーフ男がハイテンションで突っ込む。
「なんじゃこいつら」ネタでは年に1、2回しか声を出して笑わないこの私がTVの前で転げ回った。
この反応が錯覚でなかった事は年明けのABC新人お笑いグランプリで見事立証された。
2回目のTV出演にもかかわらず友近、千鳥という既に売れていた先輩と並んで優秀新人賞を受けたのだ。
「私も南海キャンディーズ好き」「いやぁアイツら凄いですよね」メンバーは口々に彼らへの賛辞を語った。
「南海キャンディーズと何か一緒に出来たら最高っすね」その言葉を聞いて私は決意した。
人脈を駆使して何とか彼らと知り合いたい。お笑い見続けて何十年、
こんな気持ちになったのは初めてだった。
ようやく彼らと接点のある人を見つける事が出来た。私の携帯番号を教えてもらい連絡を待つ。
数日して留守電を確認すると「はじめまして。南海キャンディーズというコンビの山里と申します」
彼らとの初めての接触であった。
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