Music
DTM講座/マニアへの道
  


 

No.1
<最初に/MIDI制作現場の話>

 
ここではMIDIデータの制作現場の話をします。

 僕はライブやスタジオの仕事以外に、教本や雑誌付属のCD、カラオケ(スーパーマーケットのBGMでも流れてますよね)、ゲームなどのMIDI制作の仕事もしています。同じMIDIを扱っても、通常のレコーディングの現場とはまた違う世界です。仕事によっていろいろなフォーマット(規格など)があります。使用シーケンサー、音源の指定もありますし、同じ音源でもセットアップデータ(SYSEX/システムエクスクルーシブ)が違っていたり、トラック数の制限があったりもします。

 僕の最初のMIDIの仕事はゲームの仕事でしたが、当時はまだスーパーファミコンの時代で、使用音数など6音しか使えないような時代でした。しかもテンポが固定だったりして苦労した記憶があります。

 その後通信カラオケが出てきた頃から本格的にMIDIの仕事を始めるのですが、当時の指定音源はローランドのSC55でした。その後SC88、SC88proと指定音源が進化すると同時に、トラック数は増え、フォーマットが増え、クライアントからの注文が増え、ギャラは減る(^^;という、過酷な仕事でした。

 新規のカラオケメーカーの場合は、立ち上げの時1000曲〜1500曲は揃えないといけないので、当時はもの凄い数の発注があり、僕たちも徹夜の仕事が続きました。一曲を3、4日で仕上げないと間に合わないのです。一曲といってもテープから譜面を起こしながらコーピーをしデータを打ち込む。もちろん全ての音を完全コピーです。それをミックスして完成させた後、SMFに変換してフロッピーで納品します。なかなか大変そうでしょ?これがレコーディングに換算すると「採譜料」「演奏料」「マニュピレート料」「エンジニア料」と、少なく見積もっても1曲30万円の仕事だよな〜って、当時は仲間内でグチってたもんです(^^;



 
僕が使っているMIDIシーケンサーソフトは「カモンミュージック/DOS版」「VisionPro/Macintosh版」です。「DigitalPerformer/Macintosh版」も使うのですが、Audioを扱う時のみなのでここでは省きます(マルチテープから直したい音源を落とし修正等します)。

 「古いソフトだな〜」と驚くかもしれませんが、どちらもMIDI制作の現場では今でも主流なものです。安定性と軽さ重視しますので、バージョンもトラック数に対応してる限りあまり関係ないです(古い方が表示が白黒だったり等、軽いのでサクサク動きます)。

 使い方としては、通信カラオケやゲームなどのデータ納品(フロッピーなどで納品)では「カモンミュージック」だけで済ませます。レコーディング等のスタジオの仕事では、現場で音源(音色)の差し替えをしたり、グルーブやEX(エクスクルーシブデータ)等を変更するので、「Vison」でエディットするという具合に使い分けています。双方のデータはSMF1(スタンダードミディファイル、0と1がある)にコンバートしてやり取りします。720kフォーマットのDDフロッピーでやり取りします(DDなんてこれくらいにしか使わないですよね(^^;)。

 そのとってもオールドな「カモンミュージック」(それもDOS版ですよ、知ってます?MS-DOSってやつです)が、なぜかいまだに主流かというと、安定してる(まず飛ばない)という事以外に、このソフトはパソコンのキーボードだけで入力出来るのです。しかもほとんどテンキーだけで、マウスすらいらないのです。僕たちはそのマウスを持ち替える時間がもったいなかったりします。他のソフトの何倍も速く入力出来て、〆きりや時間に追われている僕達にとっては離せないソフトなのです。(レコーディングでも
ギターやベースの方は、やはりステップ入力の方が便利なのでよく使われています。多くのギター系アレンジャーなどに多く使われています)



 あなたのシーケンサーは何ですか?キーボードは弾くことは出来ますか?それによっても打ち込みの方法は違ってきます。リアルタイム入力、ステップ入力、譜面入力といろいろありますが、わざわざ無理をして難しくやっている人が多いようです。

 はっきり言うと、キーボードの弾けない方には、リアルタイム入力は時間がかかるだけです。その後のデータのゴミ掃除も大変です(ムダないらないデータまでが入ってしまう)。MIDIの仕事では、レコーディングと違い、出音よりもデータの中身を重視しますので、リアルタイムだとそのあたりも大変なのです(出音よりデータが揃っている方が良いと言われる、ちょっと特殊なところがあります)。

 キーボディストはそりゃうまいですからそれでいいのですが、さてうまく弾けない人はどうしたら?そんな人にはステップ入力です。現場でのマニュピレーターは皆ステップ入力です。なぜ?その方が仕事が速いから(^^;専門の方は鍵盤など使わずに要求通り「アッ」と言う間に打ち込みます。それもたいていのソフトならどれでもOKです。恐るべし!

 趣味の方は時間もふんだんに掛けれるし、何度もやり直しも出来ると思いますが、何度も何度もリアルタイムで録り直しするよりは、曲のベーシック部分や安定して揃えたいところはステップ入力、ヒューマンさの欲しい重要な部分はリアルタイム入力してエディット。と、使い分けた方がいいデータになりますよ。僕もレコーディング用ではそうやってます。






No.2へ

DTMのTOPへ戻る