アンサンブルコンテストでの楽曲の演奏について

従来アンサンブルコンテストにおいては,コンテストの人数制限や技術的難易度,楽器の有無などを理由に,楽譜の指定とは異なる編成や楽器の利用が行われてきましたが,全日本吹奏楽連盟通常総会においてこの件について議論された経緯もあり,意思統一をはかっていただきたいと思います.

 【大前提】どのような曲も楽譜に指定された編成で演奏すること.

(1) 編成や楽器の変更は編曲行為にあたる

楽譜と異なる方法で演奏する場合には,その曲の著作権がある時には著作権者(外国曲の場合には日本での代理店)の承諾を得なければなりません.
ところが特に外国曲の場合,こうした申請に対してすべて許諾書を出すということは膨大な数になるため,事務手続き上不可能です.従って,日本の代理店はこうした申請に対して承諾書を出していません.
つまり,編成や楽器を変更して演奏させて欲しいという要請には基本的にはOKとは言ってくれません.
自身で編曲したスコアを提出し,編曲許諾申請をするのであれば話は違ってきますが・・.
しかし,現状ではコンクールにおける代替楽器の使用(自由曲,課題曲ともにその楽器が無い場合,スコアに指定された編成の中にある別の楽器委で演奏することを認めている)や楽曲のカットなど,本来は著作権に触れるような部分を暗黙のうちに容認していることもあり,アンサンブルコンテストにおいては編成や楽器の変更はこれらと同様に暗黙のうちに容認されているのです.
コンクール,コンテストという特殊な場であること,中学や高校では教育活動の一環として行われていることなども考慮されているようです.
あまり深刻に考えすぎない方がよいと思いますが,大原則は「楽譜に指定された編成・楽器で演奏すること」であることを忘れないでください.
なお、バッハやガブリエリなどの既に著作権が存在しない作曲家の曲は,自分の団体の実情に合うような編成・楽器で個人が編曲することは全く問題ありません.

(2) 原曲と異なる人数で演奏することも(1)と同様である

原曲で指定された人数より多い人数で演奏することは次の(3)に抵触しますので認められませんが、原曲で指定された人数よりも少ない人数で演奏することも編曲行為にあたると考えられますので、著作権が存在する曲の場合にはどのようにして演奏するのかをスコアで示し、著作権管理者の許諾を得る必要があります。
現在、アンサンブルは8名までとなっていますので、著作権が存在する金管十重奏の曲(「葡萄酒を讃えて」「ロンドンの小景」など)を8名で演奏する場合には著作権管理者に許諾を得る必要があります。但し、場合によっては許諾が得られないこともあります。

(2) 1つのパートを2人で演奏することは不可

これは規定で禁止されています.
特に打楽器アンサンブルの場合,1人では演奏困難なために1パートを2人で演奏することが考えられますが,これはアンサンブルコンテストの実施規定違反ですので認められません.
どうしてもアマチュアでは演奏不可能なので,1パートを2人で演奏したい場合には編曲をしてスコアを著作権者に提出し,その許諾を得ることになります.
単に1パートを2人で演奏したいと申し出ても,(1)と同様で許諾書を出してはもらえません.

これらの点について疑問がある場合には静岡県吹奏楽連盟事務局 青木保文 にお問い合わせください.