田村アキヒロ

三「最初会った時ね、俺、ホッピングしてたの、原っぱで。そしたらこいつがそばに来て“やらしてよ”って。
  “いいよ”ってホッピング貸したら、こいつ狂ったように暗くなるまでひとりでホッピングやってました。

草「その頃からそういうヤツだったんだ」
三「あと昔、“ゼビウス”っていうファミコン流行ってて。俺少しかじってて、で、やってたら“貸して”って。それで賭けて5回くらい勝負した
  の。そしたら5回とも俺が買った。タコ焼き5箱買ってもらった。(笑)で、こいつ負けず嫌いだからさ、その日友達に“ゼビウス”借りて
  徹夜で練習してさ、次の日俺に挑戦してきたの。俺は受けなかったですけどね。小学校のときは、一緒に将棋クラブ入ってたけど、
  こいつ強かったもん。負けず嫌いだから。俺なんか歩の進み方しか知らなかったから、将棋倒ししてた(笑)」

草「田村は勉強でも何でも負けず嫌いだよね」

▼バンドを組んだキッカケは。
草「最初は共通の友達に紹介してもらって。“田村となら合いそうだ”って。俺、その頃オタッキーなハードロック・ファンで、
  話したらすごい合ってね」

▼崎山君が会ったのは
崎「やっぱ、文化のスタジオで。田村、ピンクのベース持ってて、その上それに“CHAO!”って書いてあるわけ。(笑)
  おぉ、と思って。ピンクでCHAO、びっくりしました。(笑)初めて見る色のベースだったから(笑)

▼この負けず嫌いの田村君を総すると。
草「けっこう、冷めてる。田村を知らない人はひょうきんで優しい人とか思ってるかもしれないけど。太宰治の『人間失格』のようなヤツ。
  本当は(笑)」

三「いや、実際は冷めちゃいないんだよ。それもポーズだと思うな、俺は」
草「ああ、そうかもね。冷めてるフリ。負けず嫌いだしな(笑)」

▼物とか動物に例えると。
三「ハコ(箱)」
田「なんでだよ(笑)」

草「猫とも言われてますよ」
崎「田村屋猫丸(笑)」
▼第一印象は?
三「暗いヤツ(笑)」
田「俺はそうは思わなかったけど。マニアックなヤツだなって・・・・今で言うオタクとは違うんだけど」
草「オタクだよ」
田「草野は、美大生っぽかったな。大学行くまで美大生て知らなかったんだけど、こいつ見たとき、思ったんだよね。
  “あ、美大生ってこうなんだー”って(笑)」

▼へえー
田「でもこいつは案外ルーズなんですよ。例えば・・・・朝8時の授業、それ絶対行かなくちゃってやつ、タイマーかけて起きて
  “オイッ草野起きろ!”とか言っても寝る。そうやって学校行かないことがすごいありました(笑)」

三「すべてに言えるね」
田「何よりも睡眠を優先してるヤツですね」
草「食うもの食わずに、寝れるだけ寝ちゃうんです」

▼田村君と草野君でバンドをやり出した頃は?
草「最初3人で。ギター、ベース、ドラム。そこにテツヤが入ってきた」
田「テツヤがバンドやりたがってるの知ってたけど、草野と会わない気がして、紹介しなかったんだよね」
▼性格が?
田「っていうか、2人ともリーダーシップとりたがるタイプだし」
草「でもテツヤはいちばん最初の日、文化の門の所に迎えに来てくれて、こーんなに手を振って“こっちだよー”って。
  “いいヤツじゃん”なんて(笑)」

▼当時の曲で、今でもプレイしてる曲ってあります?
田「ない。今考えるとけっこう笑えると思うんだけど、最初にコピーした曲が「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」だったから(笑)」
▼18の頃?
田「そう。で次がステッペン・ウルフの「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」だしね(笑)
▼草野君はどんな人ですか。
崎「天邪鬼っぽいな」
田「意外と常識人だよね」
三「でも、いばってる」
田「サル山の大将みたいなんだよな(笑)」
崎「あと、車に乗ると悪い人になる」
田「回りの車とか、信号にも怒るからね。助手席に乗るヤツは大変」
三「咄嗟の判断は全然ダメ(笑)」

草野マサムネ

崎山龍男
三「いや、すげえ好きなドラマーだったんだ。文化にはあんまドラマーいなくてね。だから崎ちゃん、ひっぱりだこだったんだ。
  人間的には全然わかんなかったけど。ドラム叩いてるとこしか見たことなかったから」

▼サークルのとき一緒に飲み行ったりしなかったの?」
三「1回あったけど、あんま話さなかった。もともと人種が違うしね。バンドやってなかったら、友達にもなってなかったと思うし」
▼へえ
草「それは、俺も、この3人のなかじゃ田村ぐらいかなぁ、バンドやってなくても友達になってたと思うのは。田村は3人全員と友達にな
  ってる可能性あるけど。(笑)やっぱりバンドやってたっていうのは大きいよね」

▼リズム隊コンビとしてどうです。
田「やっぱり、うまい人だなあ、って思った。金髪で、(笑)怖かったけど」
草「最初は茶色だったよ(笑)」
田「とにかく崎ちゃんが来てくれたころみんな下手くそで、崎ちゃんドラム叩いて、音があんなにまとまって聞こえたの初めてだったから」
草「俺も思った、すげぇって」
田「崎ちゃんに負けないように、頑張んなくちゃって思った。正直言って」

▼人間的には?
田「一緒にバンドやり出してからもあんまり話したことなくて。でも半年くらいしてライブの前の日家に泊まりに着たときあって、
  話してみたら“なかなか話せるじゃん、こいつ”って感じになって。・・・・それからあと意外と単純な人だなって。(笑)
  ストレートなんですよ」

三「すぐ怒ります(笑)」
田「隣の車がブーッなんて鳴らしたら“バカヤロー!”って(笑)
三「すぐ怒る」
田「ヤンキーだったって噂も(笑)」
崎「ヤンキーじゃないですよ」

(一同笑)
▼でも学内のバンド10のうち5バンドでドラム叩いてて、なんでスピッツに?
崎「いやぁ、田村のピンクの“CHAO!”で(笑)」
田「こいつとなら一生やれるって?(笑)」
三「崎ちゃんはすごい人です。でもギャグのセンスがいまいちかな(笑)」

三輪テツヤ

▼三輪君と田村君は小学校の頃からの知り合いという。
田「初対面の時って覚えてないんです。転校生で双子だっていう・・・・」
▼なにっ双子?
田「女の人と、双子なの(笑)」
三「ネェちゃんの方に興味あったんだ!?」
田「じゃなくて、双子っていうイメージだけで。転校生が来た。双子だーって。オレ6年2組で、テツヤは5組だから。
  5組は関係ねぇなって。中学入って一緒の班。後ろの席で」

▼どんなヤツだったの?
田「案外、正義感とか強いヤツ」
▼それに関して何かエピソードは。
田「いっぱい知ってるからな」
三「おまえ、何言うだよ。」
田「(口パクで三輪に伝える)」
三「(笑)わかったもういい、参った」

草「この二人には二人にしか通じない言語がたくさんあるんですよ」
田「テツヤは真面目で、そのかわりいつもクラスの中心でいたいような人物だった気がする。高校別々だけど生徒会長やったりしてっか
  らな、この人は(笑)」

三「一度降ろされたことあるけど」
▼バンドとかは
田「中2のとき、3年生が謝恩会かなんかでやったのを見て、アリスのコピーから始まった。そのフォークバンドはポシャっちゃったけど、
  すぐロックバンド組んで。7.8人メンバーいたんです。そのうちギターが3人で、僕はジャンケンで負けてベースになりました(笑)
  あ、そういえばこいつ、昔から女にはマメでしたね(笑)」

三「そこでやめとけ(笑)」

▼次三輪君に会ったのが、崎山君。
崎「文化(服装学院)のサークルで。遊びでバンドしてるヤツ多かったけど、おお、結構気合入ってんなって。て言うか。
  結構ビートポップ系のオシャレなヤツん中で、こいつだけ皮ジャンに“SEX、DRUG、R&R”なんて書いてあって(笑)」

草「自分でペイントしたってやつ」

三「今度着て行こうか(笑)」

▼今もビール飲んでるけど、酒好きなんですか?
三「好きです」
田「でも飲むと暴れるから」
草「今は違うよ。飲むと説教ジジイになる(笑)」
三「なんでそんな滅茶苦茶言うの」
(一同笑)

春の風によじれて君のこと

PATIPATI91年5月号の他己紹介。笑えます。