動機と展望 - 宝の地図 -



 今から4年前、あるマスターに出会った。店名は「サンセットブルージー」。
大きな通りからずっとずっと奥へ行ったところにある。
こんなところにバーがあるのか・・・そんな場所にあった。

 小さなガレージを改造してマスター自身が店内の壁からステージ、
ロフトにいたるまでを手作りで完成させた店だ。

 当時の自分は毎日のように原付に乗っては、長居公園に唄を歌いに通っていた。
その帰り道にブルージーによるとただでビールをゴチソウしてくれ、
マスターはいろいろな話を聞かせてくれた。

 いつも店に一人で遊びにでかけている自分。初対面のお客さんが入ってくる。
「こいつ、静岡から出てきて、今、大阪でこんなんしてんだぜ。」と、
マスターはいつもお客さんに紹介してくれた。
だからブルージーに来るお客さんとは、すぐに仲良くなれた。

 そんな店の雰囲気とマスターの人柄に強く憧れをもち、自分もいつかこんな店を
もち、あんなマスターになりたいと思った。

 自分の性格上なのか、高校を卒業して社会という新しい世界に出てからというもの、
なにかと仕事ってやつが苦手で嫌でたまらなく、せめて精神面だけでも仕事って
やつを克服したいという思いがありながら悩み続ける日々は7−8年の間、結局解決
することができなかった。
 
 しかし、そんな中でも一人で行動することに関しては、自信があり活動力があっ
た。中学生の頃はなにかと絵を描く分野で活躍していたし、自主で勝手にアホな学級
新聞を作ったりしてた。

 過去2回、19才と23才の時に「100日間世界一周」を成功させている。自分の部屋を
BAR風に改装することや、2002年3月からは本物思考でおもしろく、内容を重視した
ライブ企画「LIVE吟遊詩人」を、月一回のペースでやり続けている。

 その延長線でこうして今年の3月に自分の店を出すことになった。
たとえれば今、あの時のように世界旅行をしている感覚だ。自分が中心になって
つくっていく店といっても過言ではない。大成功させるという、変な自信がある。

 今までのように「はい。わかりました。すみませんでした。」と、毎日のように頭を下げる
必要はない。たまに人生の先輩や友達から言われることはアドバイスになる。
いいと思ったことは取り入れて、時には反省し、全部において自分を曲げる必要が
なくなった。

 それなりに、自分には人にはない想像力と行動力があることを信じている。
今の気持ちとして、とてつもなく大きなしがらみから解放されたようで心が軽い。

 この店においてしたいことは山ほどある。しかし、この店で生涯を終えるつもりは
これっぽっちも思っていない。すべては次のステップのための経験と
実績をつくるためだ。

 それにしても店の舞台になる、この加藤汽船ビルという環境はあまりにも変わって
いるのでおもしろすぎる。まわりの友達やこのビルの住人達からは、9割くらいの割
合で「ここで利益や成功を考えることは場違いなことだ。」と言われ続けている。

 逆にここで成功したら、どこに行っても成功を収めることができる。」とも言われた。
自分はこの変わった環境と場所を逆手にとることで、すごく大きな成功を収めることが
できる可能性があることを信じている。今まで誰もがやっていない宣伝計画と営業形態
をつくりあげればいいのだ。

 この店で求める理想の客形態は完全なる地元密着型。約週一ペースでしていく
ライブでは、できるだけミュージシャンがお客さんを呼ばずとも知らない人達に演奏を
聞いてもらう方向にもっていきたい。

 究極の原点は誰もが理想としている店をつくること。個人的に「より自然に近づくこと」、
「退化による新化」がテーマだ。

 ココで成功するには、ハンパじゃない努力と奇抜な発想をどんどん取り入れ、実行
に移していかなければならない。すごく難しいそうなことだが、なんとなくできそうな気が
するから不思議だ。
 
 これから自分は地球という大きなステージの上で、「人生ゲーム」というライブを
楽しんでいきたい。その出発点になるのが、ここ「SOUNDBAR吟遊詩人」だと、
強く願っている。


                     2003年1月25日   西尾泰光