旅人を襲い、人肉を食べて生活する47人のソニー・ビーン一族




記述 1

イギリスとフランスの100年戦争がまだ続いていたころ、イギリスのグラスゴーの町に、馬にまたがったまま、ぐったりとしている男がたどり着いた。
男は頭から血を流し、身体のあちこちに切り傷もある。誰かに襲われたのは間違いない。


人々が駆け寄って行くと、男は血だらけの顔をあげて「助けて下さい! 妻が・・妻が食われてしまう!」と叫んだ。
助けてくれというのはまだ理解出来るが、「食われる」というのはどういうことだろうか。

男に事情を聞いてみると、この先の海岸で、何十人もの人間に突然襲われたというのだ。
棒で殴られ、馬から引きずり下ろされて、相手は完全に自分を殺すつもりだったのが、はっきり読み取れたという。

この盗賊たちの中にはなぜか女も子供も混じっていた。
そして彼らの目は一様にギラギラし、明らかに普通の人間とは違っていたという。
まるで食べ物に群がる動物のような目をしていたため、直感的に「食われる」と感じたというのだ。

たまたま馬が暴れてくれたため、男は一瞬のスキをついて馬に飛び乗り、なんとか逃げてきたらしい。
だが妻までは助けられなかった。



それにしても男の真剣な訴えは、まんざら誇大表現でもなさそうだ。
そういう盗賊団がいるのなら、町の人間としても放ってはおけないということで、
すぐに400人の兵と猟犬まで用意して大捜索隊を組み、男の言う海岸まで捜索に行くことになった。


その海岸はひっそりと静まり返ったところで、普段は人を見かけることは滅多にない。
盗賊団は女も子供もいて馬も持っていなかったというから、この付近で生活しているに違いない。
だがそこは、それらしい建物もテントも・・そして船も見当たらず、ただ漠然と岩と海が広がっているだけであった。

しばらく捜索を続けていると、ある方向から異様な匂いが漂ってきた。
それは誰にとっても大変な悪臭で、その方向に何らかの異常があることは誰にでも判断出来た。
捜索隊はみんな一様に、その匂いのしてくる方向を目指し、歩く。
するとまもなくぽっかりと口をあけた大きな洞窟の前にたどり着いた。



中からは異様な体臭と死臭、そして何かが腐ったような匂いが漂ってくる。
この中に踏み込むのは相当の度胸が必要であったが、何十人もの兵士が意を決していっせいに中に踏み込んでみた。
中にいたのはやはり男の言った盗賊団であった。
盗賊団たちは別に抵抗することなく、あっさりと捕まった。


次々と洞窟から出て来る盗賊団の人間はちょっと変わっていた。
髪は伸び放題になっており、新しいスカートをはいている少年、聖職者の服を着ている男、ボロボロのズボンをはいている女・・。
いかにも襲った人間から剥(は)ぎ取った服を身につけているという感じだ。
とすると、あの少年がはいている新しいスカートは、男の妻から剥ぎ取ったものだろうか・・?

彼らはみんな一様に異常な体臭を発し、着ているものも男女の区別がなく、
盗賊団のわりには男と女の比率は同じくらいであった。そして老人から赤ん坊までいる。



町の広場まで連行された盗賊段は全部で47人。盗賊団は捕らえた。あとは男の妻を捜さなければならない。
兵士たちは再び洞窟の中へと入って行った。
しばらくすると洞窟の中から凄まじい悲鳴が聞こえてきた。ほどなくして兵士たちが次々と走って洞窟から出て来る。
彼らの顔は引きつり、中には激しく吐いている者もいた。


洞窟の奥には男の妻の変わり果てた姿があったのだ。
胴体も手足もバラバラに切り離され、腹は切り裂かれて内臓はきれいに食われていた。
これからもっと食べるところだったのだろう。
また、奥の方には、人間の手や足を干し肉にしたものが吊るされており、人体の塩漬けや肉片、腐りかけた頭、干物などが大量に発見された。


この47人の集団は、ここで旅行者などを襲っては洞窟で解体し、食べていたことは間違いない。
そしてもう一つの事実が分かった。
この47人は、一人の老人を長(おさ)とする一つの家族であったということだ。
長である老人の名前はソニー・ビーンという。



ソニー・ビーンは、若いころ故郷を出て妻と共にこの地に流れ着き、洞窟で生活し始めた。そしてそれから25年。
妻との間に出来た子供たちは子供同士で近親相姦を繰り返し、ここまでの集団に成長してしまったのだ。
そして彼らは外部とは一切接触を持たないで生活してきた。

25年間で彼らが食べた人間は推定で300人という。
ソニー・ビーン一族は兵士たちの手によってエジンバラに護送された。
事実が全て判明すると、彼らは裁判もなしにリースの港町で全て処刑された。

男は両手両足をオノで一本ずつ切り落とされていき、そして最後に殺された。
女はトロ火で足元からあぶられ、死ぬまであぶり続けられた。
処刑の方法も、これまで一族が行ってきたことに負けないくらい残酷なものであった。



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ソニー・ビーン
記述2

今から600年前である・・・余程の未開地域以外では食人族は存在しなかった。

しかし、スコットランド・ギャロウェイに文化地域に食人族が存在していたことを多くの人が知らない・・・
この主役はソニー・ビーンという男である。




庭師の息子だったが、働くことが大嫌いでセックス好きの女性と町を出た。
そこで住んだのがギャロウェイの海岸近くの洞窟である。
この洞窟は1.6Kmの深さを持ち2日に1度は入り口が海に沈むという場所であった。

ソニー・ビーンは当然働かず、妻と、洞窟前を通る旅人を殺し、その金を奪い生活をしていた。
死体は隠し、持っている高価な物は売ると、そこから足がつく可能性があったため洞窟奥に山積みにされた。

しかし、奪う金には限度があった。
スコットランドの風習では金品を多く持つ習慣が無かったからである。
当然やってくる食料不足・・・

そこで、ソニー・ビーンは殺害した人間に目を付けた。
そう、ここに食料があるではないか・・・
それからソニー・ビーンは妻と殺害した人間を食い始める。
最初は血をすすり、生肉を食っていたが火で調理し、塩漬けするまでに至った。

当然、セックス好きで洞窟ではやることが無いし働くことが嫌いな二人には子供ができる。
生まれた子供たちも旅人を襲い食うのが当たり前に思っている。
また、親子、子供同士といった近親相姦を続け最終的には47人家族になってしまった。

47人の食人族である。






旅人をまるで狩をするかのように襲い、約300人の命を奪い食ったと考えられる。
近辺で行方不明になる事件に対し調査が行われたが、満ち潮で隠れる洞窟が邪魔し、ソニー・ビーンは捕まらなかった。
しかし、ソニー・ビーンの代わりに犯人にされ処刑された人は数多く居た。

しかし、25年後、ついにソニー・ビーン軍団は夫婦の狩に失敗する。
奥さんの腹を裂いた瞬間、夫が火事場の馬鹿力で対応、偶然通った旅人に助けられ、それがビーン逮捕に繋がった。
ソニー・ビーン軍団を捕まえるのに400人の軍隊が導入された。

ソニー・ビーンをはじめとする男性は斧で両手足を切られ、失血死させられた。
女性は、男性の死を見せられた後、火炙りの刑に罰せられた。
そう、子供から全てである、一族の血をそこで終結させたのである。

しかし、ソニー・ビーンの子・孫は自分たちが悪いことをしていた意識は無かった感じであった。


この食人は、どういった位置づけになるのであろう?
猟奇・趣向の食人では無いと思える。
といっても、危機的飢えによる食人に結びつけるのも短絡的であろう。

単に人肉を食料という考えに基づく行為、つまり食人族や野生の動物と同じ感覚なのである。
つまり人間的文化を外す生活を自らソニー・ビーン軍団は選んだのである。

ソニー・ビーン軍団は食人、近親相姦といった2大タブーは犯しても、軍団同士の殺人は無かったとされている。
これは、まだ人間的考えが残っていた(狂人では無い)のか?

資料によれば人肉の塩漬けを腐らせ捨てる事もあったそうだ。
もし、食料が無ければ軍団同士の共食いもあったのであろうか?
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別の記述 2

ソニー・ビーンはスコットランドの田舎で生まれた。

もともと乱暴な性格で怠け者だったソニーは、働ける年頃になると退屈な仕事に就くのを嫌って、さっさと家を出てしまったという

   

しばらくしてソニーは自分と気性の良く似た彼女を見つけた。そして彼女を生涯の伴侶と決め、一緒に暮らし始めた。
しかし二人が新居に選んだのは普通の“家”ではなく、奥行きが1マイル(1.6km)以上もある巨大な洞窟だった。

   
その洞窟の入り口はギャロウェイ海岸に面しており、干潮時には細長い砂浜が現われて前庭になった。
二日に一度の高潮の日には、洞窟入り口から数百ヤード(百ヤード=約91.44m)に渡って水没するが、おかげで侵入者を防ぐこともできた。

あちこちに曲がりくねった暗い横道がある不気味に広い洞窟内は真っ暗で、空気はいつも湿っていたが、二人にとっては居心地の良いねぐらだった。


そうして所帯を持ったものの働く気などないソニーは、旅人を襲って強盗した金で生活しようと考えた。
近くの村を繋ぐ人通りが少ない狭い道で旅人を待ち伏せして襲うのだ。
ひょっとすると、もうずっと以前からそのようにして生活していたのかもしれないソニーは、難なく旅人を襲い、足がつかないように必ず犠牲者を殺した。

    
旅人の所持品は全て洞窟に持ち帰ったが、ソニーが利用できると考えたのは現金だけだった。
宝石・時計・衣類などを売ればいい金になるのは分かっていたが、そこから足がつく危険を考えて手をつけなかったのだ。
旅人たちの所持品は洞窟の奥にただただ積みあげられていった。

そのような金に換えられない在庫が増える一方、旅人から奪った現金だけでは満足な生活費は得られず、食糧を買う金にも事欠き、飢える日もあった。
ソニーと妻の目下の悩みは、この食糧問題だったが、ある日、ソニーが食糧問題を解決する良策を思いついた。

   
「なぜ殺した人間の身体を食べない?せっかくの肉を無駄にすることはないじゃないか」

  

ソニーと妻はそのアイデアをすぐ実行に移した。

いつものように旅人を襲って殺し、自分たちの洞窟まで死体をひきずっていき、犠牲者の内臓を取り去り、バラバラに切断した四肢を干して塩漬けにした。
そして洞窟の壁に備え付けたフックにかけて保存し、骨は洞窟の別の場所に積んでいった。
彼らは以後、20年間にわたってこの方法を続けることになる。

  

連続して起こる誘拐とも失踪とも知れない事件を警戒した人々は、気味悪がって田舎道のひとり歩きを避けた。
犠牲者と犯人の捜査もされたが、ソニーたちの洞窟は誰にも発見されなかった。
二日に一度は入り口が水没する洞窟で生活している夫婦がいて、人を殺して食べているなどと誰が想像出来ただろう?


ソニーたちの生活は順調で、妻は洞窟の中で次々に子供を産んだ。

食糧問題が解決されたので、次は盗品をなんとか売りさばく方法を試してみた。
買い物で町に行った時、用心しながら売ったり交換したりしたが、それらはこれといって特別目立つことのない、
ありふれた品物だったため、不信に思われたり疑われたりすることはなかったという。

ソニーの子供たちは、洞窟の生活に何一つ疑問を抱かず、元気にすくすくと育っていった。

ビーン家では、強盗・殺人・食人は生活習慣であり、生きるために必要な仕事という認識だった。

   

ビーン一族は大所帯になっていたが、一族同士で共食いすることは決してなかった。

  

何ら教育を受けていなかったため、原始的な話し方しかできなかったというビーン一族の子供たちの知識といえば、
殺人と食肉の解体、それを保存する加工技術だけだった。
また子供たちは家族以外の人間が食糧として殺されても疑問に思ったことはなかった。

  

大きくなった子供たちは誘拐と殺人の仕事を手伝うことになっており、代を重ねるごとにビーン一族の家業の規模は拡大していった。

  

殺人や誘拐の技術は長年の経験の中で洗練され、素早くスムーズに実行する術を次々に体得していった。

おかげで、40人もの食いぶちがいるにも関わらず、一族が飢えることはなかった。
それどころか塩漬けにして保存した人肉が食べ切れずに腐らせてしまうこともあったため、腐った部分を捨てることもあった。

   

これだけ多くの子供や若者が洞窟のまわりをウロついていたのに、誰もこの奇妙な一家を不審に思ったり、調べようとしなかったのかというと、実際はそうでもないらしい。
何人かは彼らの存在を不審に思う者もいたようだ。
しかし彼らは無防備に洞窟に近づいた結果、殺されて食べられた。


塩漬けにされた人間の肉に、誰もが常識では計り知れない不吉なものを感じていた。

そんな中、犯人逮捕を焦る風潮もあったかもしれない。
行方不明者の足取りを追うといった捜査方法は、最後に犠牲者たちに会っただけの無実の人々の逮捕や死刑という別の悲劇を生む結果になった。

   

そのあいだビーン一家は誰にも疑われることなく、洞窟の中で安全に暮らしていた。
何度も大掛かりな捜索が行われたものの、誰も洞窟を探索しようとは思わず、ビーン一族の犯行は見過ごされ続けた。
そして手がかりがないまま、さらに数年が経過した。

   

年を重ねた一族の犯行はさらに大胆さを増していた。

時には6人以上の男女を、その倍以上の人数で待ち伏せして襲った。
彼らに狙われた者は例外なく、あっという間に命を奪われた。
「しかし中には、彼らから逃げることに成功して助かった者もいるんじゃないか?」という疑問の声が上がるのも当然だが、答えは「ノー」である。

   

彼らの犯行の手口は通常の強盗とは程遠い、軍隊のような組織だったものだったのだ。

彼らはつねに道の両脇に獲物を包囲する部隊を置き、攻撃をしかける中心部隊が獲物に切りかかる。
急襲に驚いて逃げようとしても逃げ道は固められており、袋のネズミ同然だった。

 

このように誰にも怪しまれることなく犯行を重ねてきたビーン一族だったが、たった一度の失敗が命取りになった。
それは、タイミングの悪さと判断ミスによって引き起こされた失敗だが、驚くべきは、それが今まで一度も起こらなかったということだ。


それは実に単純な失敗だった。

ソニーと妻が洞窟で暮らし始めて25年目のある晩、ビーンらは、近隣の町フェアから馬で帰ろうとしていた夫婦を襲った。
攻撃部隊が最初に女を捕らえ、次に男を馬から引きずり下ろそうともみ合っている間に、別の部隊が先に捕らえた女を裸にし、
その場で内臓を引きずり出し、洞窟へ持ち帰る準備を整えた。
それらの残虐行為を目の当たりにした夫はパニックに襲われ、半狂乱になって無我夢中で暴れた。

火事場のなんとかというが、彼のすさまじい抵抗でビーンらの何人かは転倒した。
ちょうどその時、同じフェアから帰る20人以上の集団が偶然に通りかかったのだ。

 

不意に大人数の集団に出会ったビーンらは、自分たちが不利なのを悟ると攻撃を中断し、切断した女の死体をその場に残したまま、慌てて洞窟に戻った。
これがビーン一族にとって、最初で最後の、そして最大の失敗になった。

 

ビーン一族から逃れることに成功したのは、記録上、この男性ただ一人である。

彼はグラスゴーの最高行政官に連れて行かれ、自らが体験した事件について記述した。

その記述に長官は衝撃をおぼえた。自分たちが長年追っていた犯人は、おそらくギャロウェイ地区近辺に集団で暮らしており、
被害者の妻の内臓を抜いた後で持ち帰ろうとした事実は、犯人らが明らかに人食い集団であることを示していた。


きわめて異常な事態に、最高行政官はスコットランド王に直接報告した。

報告を受けたスコットランド王は事の重大さを認識し、400人の武装軍隊と多数の追跡犬を伴いギャロウェイへ向かった。
そうしてスコットランド王、将校、随行員一同と地域の民間人による歴史上類を見ないスケールの大捜索が開始された。

 

彼らは初め、ギャロウェイ地方や海岸全体を調査したが、なにも発見できずにいた。

しかし犬を連れて海岸を捜索していた男が入り口の浸水した洞窟近くを過ぎようとした時、犬が何かの匂いを嗅ぎつけ、うなり声をあげはじめた。
やがて犬は激しく吠えながら、浸水した暗い洞窟の中へ走っていった。

犬の反応にただならぬものを感じとった男は「ここだ」と確信した。
犬を追って洞窟に入れば、たちまち犠牲者の仲間入りをすると察した男は、ただちに仲間を呼び集めた。

 

洞窟の前に集められた捜索隊は、トーチの灯りを頼りに洞窟の狭く曲がりくねった通路を用心深く進んだ。
そして彼らはとうとう食人一族ビーンの棲み家である洞窟の一番奥にたどり着いたのである。


そこには想像を絶する恐ろしい光景が広がっていた。
洞窟の壁には、切断された人間の手足や胴体、男性や女性の肉片が、肉屋のように掛けられており、
少し離れた別の場所には、時計や指輪、宝石などの貴金属と一緒に衣類などが無造作に積んであった。
そしてすぐ脇の穴の中には、25年にわたって溜め込まれた無数の人骨が散らばっていた。

 

捜索隊が洞窟に乗り込んだ時、ビーン一族は誰一人欠けることなく、全員洞窟内にいた。

驚くべきことに、この25年間で一族の人数は50人にまで膨れ上がっていた!

はじめビーンらは逃げるスキを伺って抵抗し、戦う姿勢すら見せていたが、いかに彼らであっても400人の軍勢が相手では勝てるはずもなく、
洞窟の入り口を武装した人々に閉鎖されて逃げ道を失った彼らは一網打尽となった。

    

長年にわたる殺人と食人の証拠がうず高く積まれた洞窟に暮らしていたソニー・ビーン一族に対し、人々は憎悪に燃えて報復を叫んだ。

   

元々の親であるソニーと妻の二人をのぞく27人の男と21人の女は、すべて洞窟で生まれ育っており、
生まれた時から人肉を食べ、また近親相姦を繰り返して子を産み、強盗と殺人を生活習慣として育ってきたのだ。
彼らは許しを乞うどころか、罪を認識している様子もなかった。

    

呪われた人食い一族に慈悲を唱える者は1人としてなく、ビーン一族の犯した罪は、法と証拠と司法によって
排除されるべき不快極まりない悪魔の所業であり、
よって裁判の必要もなしとみなされた。
独断的な判決により、ビーン一族は幼児であれ赤ん坊であれ、すべて根絶やしにするべしとされ、全員に死刑が宣告された。

 

翌日、全員の刑が執行された。

彼らが犠牲者を切り刻んだように、男たちは生きたまま腕と足を切断され、切り刻まれた。

女たちは彼らが死んでいく姿を見せられた後、火あぶりの刑に処せられた。

しかし死の間際にあっても、ビーン一族は誰一人として罪を後悔する色を示さなかったという。

 

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別の記述 3 

  ソニー・ビーンは、スコットランド人で、エジンバラから東へ150キロほどの田舎に生まれた。
父親は生け垣つくりや、どぶさらいをやって働いていた。
ソニーもその職につくことに疑念はなかったが、普通の職が性に合わないことに気付く。
彼は怠惰で、ずる賢く、乱暴で反社会的な性格であった。
自分ひとりで生活するのに十分な年になると、彼はすぐに家を出て、自分のやり方で生きていくことを決めた。
彼は自分と同じくらい無責任で性悪な若い女を連れていき、「ホーム」を作るために、ギャロウェイの海岸へ行った。
  「ホーム」は、潮がひくと、黄砂の細長い前庭が現れる海に面した崖の洞窟だった。
そこは屈折し、曲がりくねった多くの横道のある、野生の奥地といった感じの岩の中の、一マイルを超える巨大な洞窟だった。
入口から少し奥は、完全な闇。二日に一度の高潮の日には、洞窟の入口から数百ヤードに及び水に埋もれ、侵入者を拒んだ。
この暗く湿った穴に、彼らは「ホーム」を作ることに決めた。全く人目に付かず隠れ家として申し分なかった。
  実際、洞窟は、家というよりはむしろねぐらといった感じだった。
そしてこのねぐらから、ソニー・ビーンは四半世紀にわたる恐怖の時代を送り出したのだった。
ソニーの計画は、強盗をして生活をすることだった。
近くの村をつなぐ、人気のない狭い道で旅人を待ち伏せする。
難しいことではなかった。決して足のつくことのないように、ソニーは必ず犠牲者を殺した。
  ビーンは村や店、市場で食糧を買うための金銭が欲しかった。
宝石、時計、衣類の他、金になりそうなものも盗んだが、足がつきそうな品々を売るコツを知らなかった。
これらの品々は換金できない財産として、洞窟の中に積まれ、埋もれていた。
そのうち在庫はどんどん増えていった。
強盗と殺人から得た現金では、十分に生活できなかった。
スコットランドの田舎の人々は、多額の現金を持ち運ぶ習慣がなかったのだ。
どうやって十分な食糧を調達するかが問題だった。
かといって、殺した犠牲者達から奪った品々を売ることは、絞首台送りの危険性をはらんでいた。
・・・そこで彼は簡単なことに思い当たった。
何故、殺した人々の身体を無駄にする?何故それらを食べないのだ?
  ビーンと妻は早速取り掛かった。待ち伏せのあと、海岸の道から洞窟へ犠牲者の身体をひきずっていった。
スコットランドの岩盤の奥深く、牛脂ロウソクの青白い光のもと、彼らは犠牲者のはらわたを取り除き、分割した。
四肢と食用魚は乾燥し、塩漬けにした。
そして人肉保存庫の洞窟の壁に備え付けたフックにかけられた。
実に20年の間、それは続いた。骨は洞窟の他の部分に積まれた。
  当然、この誘拐事件は地域に極度の警報をもたらした。
連続して起こる殺人は大変な脅威であり、人々の失踪は、村人たちに田舎道をひとりで歩くことを避けさせた。
犠牲者および、殺人者を捜索すべく、努力したが、ソニーは決して発見されなかった。
洞窟はスムーズに捜索するには深すぎた。
誰ひとりとして、ギャロウェイの目に見えない略奪者が、二日に一度水で氾濫する洞窟に住むことが出来るとは思わなかった。
また、誰ひとりとして行方不明の人々が実際食べられているとはしばらくは想像もしなかった。
  彼らの生活はそのパターンに落ち着いた。
彼の妻は洞窟の中で、子供を産みはじめた。
家族は決して洞窟の中に閉じこもってはいなかった。
食糧問題が十分に解決されたので、他のものを買うのに、盗んだ品々を使うことができるかもしれない。
時々、買い物で近くの町に行った時、慎重に、用心しながら、それを試すことができた。
疑われることはなかった。
盗んだ品物自体は、殺された人達と同じで、目立たないものだったため、決して不信に思われたりすることはなかった。
  ビーン一家の子供たちは、洞窟の前の荒廃した波打ち際で、昼の光に疑問を抱くことなく遊び、父と母が侵入者を見張る間、身体を鍛えた。
恐らく食糧とするために。
  殺害、及び、食人は習慣になった。それは生き残るためであり、正常なことであり、仕事であった。
このような異常な状況下で、彼らは14人の子供を産んだ。
そして次々と成長した子供たちは、近親相姦により、8人の孫と14人の孫娘を生んだ。
そのようにしてビーンは一族を存続し、増やしていった。
一族のもの同士で食べることはなかった。
  驚くべきは、非常に多くの子供たち、さらには若者達が、洞窟のあたりをウロウロしていたにも関わらず、
誰もこの奇妙な現象に気付かず、調べようとしなかったことだ。
時々機会はあったのだが・・・近づき過ぎて、殺され、食べられてしまった。
ビーン一家の子供たちは、他の人間が食べ物として連れてこられるのを疑問に思わなかった。
  若いもの達は、十分な教育を受けていなかった。
原始的な話し方と、殺人、そして人食い料理についての技術を除いては。
それらは飽くことのない欲求と飢えとともに、餌食を求める自給自足の集団として発展した。
子供たちは大きくなると、誘拐と殺人に参加することになっており、ビーン一家は恐るべき規模に拡大していった。
殺人と誘拐は科学(芸術ではないにしても)的経験と、数年来の技術により、洗練されていった。
  食いぶちの増加にも関わらず、人肉が不足することはなかった。
増え過ぎて、塩漬けしているにも関わらず、腐っていく部分は捨てなければならなかった。
このようにして、時々洞窟から遠くはなれた海沿いの国で、奇妙に保存されているが、腐った人間の残骸が海岸に打ち寄せられた。
これらの不気味な遺物は切断された四肢、および乾いた塊の肉から成ったので、出所を特定することはできなかった。
また、いつ死んだかを推測することも不可能だった。
しかし、当局により、行方不明者のリストとそれらに関係があることはすぐに明白になった。
当局は事件の情報を収集することを開始した。
殺人と四肢切断はひとつのものである・・・
しかし、塩漬けにされた人間の肉ははるかに不吉ななにかをほのめかしていた。
  行方不明者の足取りを辿り、殺人者を追いつめる努力は、最後に犠牲者たちに会っただけの、無実の人々の不運な逮捕、及び死刑に帰着した。
ビーン一家は疑われも見つかりもせず、洞窟の中で安全に暮らしていた。
  数年が経過、家族は年をとり、大きくなり、そしてさらに飢えていた。
誘拐殺人計画はさらに野望を持って組織された。
それは需要と供給の問題--穴居人として生きていくためのロジスティクス--だった。
時には6人より多くの男女をも倍以上の一家で待ち伏せし、殺した。
その肉は、女性たちの待つ洞窟の食料品庫に引きずられていった。
  彼らの攻撃から誰ひとりとして逃げ帰ったものがいなかったのは一見奇妙に思える。
しかし、ソニー統率化の待ち伏せは、軍隊そのものだった。
道の両脇にガード部隊が控え、攻撃の中心部隊が蛮勇をもって獲物を切り崩す。
この三又の方法は有効だと立証された。生き残りはいなかった。
また、大掛かりな捜索が、これらの大虐殺の犯人をみつけるため行われましたが、誰も、深い洞窟を探索しようと思わず、見過ごされた。
  しかし、そのような状況はいつまでも続かなかった。
やはり失敗はあった--たったひとつの失敗が、ビーン一家を社会の激怒と復讐に引き渡した。
失敗は、単純なものだった。驚くべきは、これが今まで起こらなかったことだ。
それが事件の終わりではなかったものの、25年間で初めて、判断ミスとタイミングの悪さによって、
ビーン一家は自分たちを超える数の集団を相手にしたのだった。
それはビーン一家の種族の存続と絶滅にとって大変重要な出来事だった。
  それはこうして起こった。ある夜、ビーン一家は近くのフェアから馬で帰ろうとしていた夫婦を攻撃した。
まず女を捕らえ、男を馬から引きずり下ろそうともがいてる間、女を裸にし、はらわたを引きずり出し、洞窟へひきずっていく準備を整えた。
夫はあっというまの残虐行為に我を失い、完全に無慈悲な悪魔が自分より数が多いことに望みを失って、逃げようと必死で戦った。
ビーン一家の幾人かが倒れた。
  しかし、最終的には彼も同じように連れて行かれ、殺されていただろう。
が、そうはならなかった。同じくフェアから帰る20人を超える集団が、
予期せず到着したのだ。ソニー・ビーンは自分たちを不利とみて、勇気は最も顕著な美徳でないことを悟った。
短時間の猛烈な小戦のあとに、彼らは戦いを放棄し、切断した女性の死体を残し、ネズミのようにあわてて洞窟に戻った。
それはビーン一家の戦術と方針において、最初で最後の重大な失敗だった。
  ソニーらの待ち伏せから逃れた記録上ただひとりの男は、彼の痛ましい体験について記述するため、グラスゴーの最高行政官に連れて行かれた。
長官が長年待った証拠は飛び抜けて衝撃だった。
行方不明者のリストは最終ページに達するかに見えた。
彼らは明らかにギャロウェイ地区の近辺にすんでおり、発見は彼らが人食い人種であることを示唆していた。
証拠が必要なら、女性がはらわたを抜かれた現場が証明する。
  問題がきわめて重要だったため、最高行政官は王に直接報告し、王は直にその重大さを認識した。
彼が武装した400人の小さな軍隊と、多数の追跡犬とともにギャロウェイへ向かったとき、ソニー・ビーンは危機にさらされた。
  王、そして将校及び随行員一同と、地域の人々により、歴史上最も大きな捜索のうちのひとつが開始された。
彼らはギャロウェイ地方及び海岸全体を調査したが、なにも見つからなかった。
しかし、海岸のパトロールが犬を連れて浸水した洞窟を過ぎようとした時、犬は死と腐食の弱い匂いを嗅ぎ付け、
うなりながら吠え声をあげ、ばしゃばしゃと暗い洞窟へ入っていった。
  まさしくここであるように見えた。追跡者は賭けにはでなかった。
それは長い間殺人を糧としていた恐るべき輩とのやり取りになるとわかっていた。
ゆらゆらする光を燃やすトーチと即席の剣で、彼らは洞窟の狭いよじれる通路に沿って、用心深く一定の方式順序を保ちつつ進んだ。
やがて彼らは食人族ソニー・ビーンの行動拠点、「ホーム」である奥深い洞窟の終点の死の家へたどり着いたのである。
  恐ろしい光景が目に焼き付いた。
洞窟の湿った壁には、人間の四肢及び身体、男性、女性の断片が肉屋の冷蔵庫のように、列をつくって掛けられていた。
別のところには時計、指輪、宝石などのを含む、衣類や貴重品が積んであるのを見つけ、隣接した空洞には、多くの骨が約25年にわたって集められていた。
  ビーン一家の全員、48人は全てここにいた。
彼らはチャンスを伺っていた。400の屈強な軍隊がその後ろにいることを知っていた。
彼らは戦った、しかしビーン一家に文字どおり逃げ道はなかった。
洞窟の出口は武装した人々に閉鎖された。
彼らは罠にかかり、逮捕された。
王と一行は、エジンバラに向い行進した--練習ではなく。ソニーのような食人族は、教養ある裁判官と陪審員にとって価値あるものではなかった。
元の親である二人を覗いて、27人の男と21人の女の囚人の全ては、穴の居住者として育てられており、
子供の頃から人間の肉で育ち、強盗と殺人が正常な生活様式であった。
このスコットランドの不愉快な近親相姦の人食い一族への慈悲はなく、いかなる正義に値する裁判もなかった。
  ビーン一家は男女ともに独断的な様式により、死刑を宣告された。
なぜなら彼らの罪が、世代を超えて正常な法と証拠と司法によって排除されるべき悪名高く、不愉快だったからだ。
彼らは社会のはみだしものであり、最も年の若い無邪気な子供さえ権利はなかった。
  翌日、年齢の手続きと全会一致で全員の死刑が執行された。
丁度彼らが犠牲者を切り刻んだように、男は切り刻まれた。
生きたまま、腕と足を切断された。
また女は彼らが出血で死んでいくのを見て、それから魔女のように大火で焼かれた。
  しかし、ビーン一家は誰ひとりとして後悔の色を示さなかったという。