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東京モーターショー 09
VWの『L1』というハイブリッド。
ドイツのVolkswagen(VW)社が、
自動車の定義を変えようとしている。

『L1』は弾丸のような形をしたディーゼルエンジンのハイブリッド車で、重量は400キログラム以下、
燃費はなんとリッター70キロメートルを超える。
早ければ4年以内に製品化される見込みだ。




VWの『L1』というハイブリッド。

燃費70キロ、重量380キロ:独VW社の独創的なハイブリッド

フォルクスワーゲンは14日、『L1コンセプト』を発表した。
効率的なディーゼルハイブリッドを搭載し、エアロダイナミクスと軽量化に徹底的に取り組んだ結果、
欧州複合モード燃費72.46km/リットル、
CO2排出量36g/kmという、EVや燃料電池車を除いて、世界トップの環境性能を実現する。
フォルクスワーゲンは2002年4月、1リットルの燃料で100km走行できる
超省エネの試作車『1リットル』を初公開。
当時のピエヒ社長が自らステアリングホイールを握り、ヴォルフスブルクからハンブルクまでの約230kmを走行。
約2.1リットルの燃料を消費しただけで、100km当たり0.89リットル(112.36km/リットル)という驚異的な燃費性能を実証した。
今回発表されたL1コンセプトは、その進化形である。
パワートレインはターボディーゼル「TDI」に「Eモーター」と呼ぶ小型モーターを組み合わせたハイブリッドシステム。
モーター単独、エンジン単独、モーター+エンジンの3つの走行モードを持つ、
フルハイブリッド(いわゆるシリーズパラレル方式)である。
エンジンは0.8リットル直列2気筒TDI。
これは欧州向けの『ゴルフ』や『ポロ』用の1.6リットル直4TDIの2気筒版だ。
最大出力は27ps/4000rpm、最大トルクは10.2kgm/1900rpm。
スポーツモードでは、最大出力は39psへ向上する。
最大出力14psの小型モーターは、エンジンと7速DSGの間にレイアウト。
2次電池はリチウムイオンバッテリーを搭載する。
アイドリングストップや回生ブレーキも装備されたこの結果L1コンセプトは燃費72.46km/リットル(100km当たり1.38リットル)、
CO2排出量36g/kmという、EVや燃料電池車を除けば、世界トップの環境性能を達成。
0‐100km/h加速14.3秒、最高速160km/h、最大航続距離670kmという実用性も兼ね備える。

世界一の環境性能を実現した大きな要因が、軽量化とエアロダイナミクスの徹底追求だ。
ボディのほとんどがCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製。
シャシーにもアルミが使われ、車体重量は380kgに仕上げられた。
フォルクスワーゲンによると、
この重量は1200ccクラスの2輪車と同等だという。
380kgの内訳は、ドライブトレインが122kg、シャシーが79kg、内装が35kg、電装系が20kg。
残る124kgがボディ単体重量と、圧倒的に軽い。
エアロダイナミクスに関しては、2002年の1リットルと同様に車体前面の面積を減らすために、
乗員が前後に座るタンデムシートを採用。
L1コンセプトのボディサイズは全長3813×全幅1200×全高1143mm。全長は同社の小型車『フォックス』、
全高はランボルギーニのスーパーカー『ムルシエラゴ』に近いが、4輪車で1200mmのナローボディは類を見ない。
リアタイヤはボディに隠され、アンダーフロアのフラット化も実施。
これらの取り組みにより、空気抵抗を示すCd値は0.195を達成した。
もちろん安全性も確保されており、エアバッグやABS、ESP、衝突安全ボディなどを採用する。
乗降はガルウイングドアを開けて行い、運転席からの視界は180度の見晴らしが保たれるという。
驚くのは、フォルクスワーゲンがこのL1コンセプトを2013年には市販するとしている点。
EVとは異なる究極のシティコミューターとして、欧州では受け入れられる可能性がありそうだ。



L1のアイディアは、2002年から温められてきた。
当時の取締役会長Ferdinand Pietch博士が、マイクロカー『1-Liter』でドイツのヴォルフスブルクからハンブルクまで走ったことがきっかけだ。
1-Literという名前は、100キロメートル走行するのに燃料を1リットルしか使わなかった事実に由来する。
1-Literは炭素繊維とマグネシウムで作られ、まさに最先端技術の結晶だったが、あまりにコストが高かったため、現実的でないと考えられていた。

その後2008年に1-Literが再び登場(日本語版過去記事)し、『Britain’s Car』誌は、VW社がプロジェクトにゴーサインを出したと報じた。
今回発表されたL1はさらに洗練されている。
エンジンは2気筒のターボディーゼルで、排気量はわずか800cc。
10キロワットの電気モーターを併用し、7速のデュアル・クラッチ・トランスミッション(DSG)を搭載する。

電気モーターは優れたトルクを発揮する。
VW社によると、L1のモーターは走りを重視したモードでは最大40%パワーアップするという[リリースによると、
最高速度は160キロメートル]。モーターのみで走ることも可能だが、VW社はその場合の走行距離を明らかにしていない。
回生ブレーキでリチウムイオン電池を充電する仕組みだが、電池の仕様も不明だ。

アイドリングストップ技術も燃費の向上に貢献している。
燃料タンクの容量は6.5リットル足らずだが、VW社によると、1.38リットルで100キロメートル走ることができるという。
燃費に換算すると、リッター72.44キロメートルだ。
また、1キロメートルの走行で排出する二酸化炭素はわずか36グラムだという。
ちなみに、トヨタ自動車の2010年式『プリウス』は89グラムだ。

L1はさらに、0.195という驚異的な抗力係数を誇るという。
これまでに製品化された車で最高の空力特性を誇った米General Motors(GM)社の『EV1』に匹敵する。
ただし、初代の1-Literにはわずかに及ばない。

炭素繊維のモノコックと外装は、フォーミュラ1(F1)や宇宙航空の技術を採用しており、380キログラムという超軽量が実現した。
車体のみの重量はわずか124キログラムだ。

L1は安全性も完ぺきだと、VW社は胸を張る。
運転手と同乗者は炭素繊維でできた安全な空間に座り、頭部とサイドカーテン式のエアバッグが守ってくれる。
車体の前部は衝突時の安全を考慮したアルミニウム構造となっている。









ドイツVolkswagen社は、2009年9月15日から報道関係者向けに公開した第63回フランクフルトモーターショーに、
燃費72km/Lの2人乗りハイブリッドコンセプト「L1 Concept」を出展した。
2002年に試作した1Lカー(100km当たり1Lの燃料消費)「L1」の2代目となるもので、
前後に2人が乗るレイアウトを踏襲している。CO2排出量は36g/km。

 リアに搭載する排気量0.8Lの2気筒ディーゼルエンジンに出力10kWのモータを組み合わせている。
モータはエンジンと変速機の間にあり、変速機には 7速DCT(Double Clutch Transmission)を用いた。
エンジンとモータを補助クラッチで切ることによりモータのみでの走行も可能。
フロントにはLiイオン2次電池を搭載し、電池電圧は130V。





















( PHOTO:CORISM編集部/レポート:松下 宏 )



すごいハイブリッド車だ! と、思えたのはフォルクスワーゲンのL1のみ?

一昔前まで「ハイブリッドなんかダメ」と言っていたヨーロッパのメーカーが、
フランクフルトショーで続々とコンセプトモデルを登場させてきた。
 けれどハイブリッドに多少詳しいと思っている私が「これは凄い!」と感じたメーカーはVWだけ。
 ベンツとBMWが共同開発しているハイブリッドなど、環境や燃費という観点からすれば、どうしようもない。
なんたって400馬力を越えるエンジンにモーターを組み合わせているのだ。
LS600hやRX450hのようなもの。
 プジョーは前輪に普通の駆動系(ディーゼルエンジン)を持ち、後輪にハイブリッドシステムを組み合わせたモデルを提案していた。
理論上は成立するものの、このシステムだと燃費が向上した分でコストアップ分をペイすることは難しい。
ディーゼルハイブリッドは、絵に描いた餅なのか?
 よく「ディーゼルとハイブリッドを組み合わせれば最高」みたいな意見を述べる人もいるようだけれど、
いずれも単独で30万円程度のコストアップ要因となる。
どちらか一つなら、8万kmも走れば30万円分を燃料コストで穴埋め可能。
 参考までに書いておくと、日本のカタログ燃費より実用燃費に近い欧州モードで、プリウスは25km/L。
VWゴルフの新型ディーゼルが26km/L。
それぞれガソリン車だと半分くらいの燃費です。走行1万kmあたり4万円くらいの燃料代差。
 ディーゼルハイブリッドを作るとなれば、60万円くらいの上乗せになるだろう。
もちろんリッター50km走ればいいのだろうけれど、そんなこと不可能。
つまり実用車の場合、ディーゼルのハイブリッドなんか絵に描いた餅なのだ。
 唯一「これは凄い!」と感心したのが
VWの『L1』というハイブリッド。
システムとしてはホンダ式なのだけれど、車重380kgと軽いため14馬力のモーターだけでも走れてしまう。
燃費も70km/Lを越えるそうな。













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【'09フランクフルトショー:現地レポート】ルノーはEV一色!
4種類の電気自動車コンセプトを一気に披露!

日産アライアンスのEV(電気自動車)技術をフルに活用!

 ルノーは日産とのアライアンスの中で電気自動車に積極的に取り組んでいるが、
今年のフランクフルトショーでは、シティコミューターからファミリーセダンや商用車まで4種類の電気自動車を一気に出展した。
バイクにも似たシティコミューターのTWIZY(トゥイーズィー) Z.E. Concept、コンパクトなスポーティカーである
ZOE(ゾエ) Z.E. Concept、160kmの航続距離を持つファミリーカーの
FLUENCE(フリューエンス) Z.E. Concept、70kw/226N・mの電気モーターを搭載する商用車のKANGOO(カングー) Z.E. Conceptの4台がそれだ。
 これらの電気自動車のリアリティというか実現性はさまざまだが、
ルノーは日産とともに2011年には普通に買える電気自動車を発売すると表明している。
電池を除いた部分をディーゼル車並みの価格とした上で、クルマを走らせるための
電気代などのランニングコストをガソリン車以下にするというから、かなり意欲的だ。
 その充電方法は3種類が用意され、8時間かける家庭での一般的な充電方法、
急速充電器を使った20分間で80%までの急速充電、そして3分くらいでできる電池の交換だ。



ルノー「TWIZY Z.E. Concept」[コンセプトカー]












( PHOTO:CORISM編集部/レポート:松下 宏 )