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MQ-9「リーパー」無人偵察機

最初の偵察飛行を終えたMQ-9「リーパー」無人偵察機へ



【Technobahn 2007/3/27 18:52】写真は今月13日、最初の実務偵察飛行を終えて
米ネバダ州のクリーク空軍基地に帰還したMQ-9「リーパー」無人偵察機。

 MQ-9「リーパー」無人偵察機はMQ-1「プレデター」無人偵察機をベースにして作られた中高高度=長距離無人偵察機となる。
外見はプレデターとほぼ同じだが、全長は11m、翼幅は20mとプレデターよりも一回り以上大きく、
積載重量もプレデターの1.02トンに対して4.5トンと4倍以上もある。

 積載重量を大幅に増やすことにより、大量の燃料を登載し戦闘地域で目標が現れるまで長時間に渡って空中待機させ、
攻撃対象が現れたら奇襲攻撃をかけるような運用方法が検討されている。
長時間待機させるというやり方も無人偵察機ならではの運用方法だ。

 操縦はKuバンドを用いた衛星通信網を利用することにより、地球のどの地点を飛行していても
アリゾナ州にある中央管制センターから行う。
ただし、この機体は米軍が運用している航空機の中でも着陸が最も困難な機体の一つとなっているため、
中東などの遠隔地で着陸などを行う場合や攻撃を行う場合などは、タイムディレイが生じないローカルな場所に副操縦士を置く必要がある。

 もっとも、操縦といっても全ての操作は地上から行うため、操縦士はいわゆるパイロットの資格は必要はなく、
オペレターの専門訓練を受けた兵士や外部の企業が担当している。

 U.S. Air Force photo




[ワシントン発11月9日=ジョン・ボスニッチ]米空軍がアフガン戦線で無人攻撃機MQ-9『リーパー』の本格的な地上作戦投入を開始した。精密誘導爆弾、対地攻撃ミサイル等1.7トンの攻撃兵器を搭載し最大14時間、無着陸飛行可能な能力はF-16『ファイティング・ファルコン』、F-15『ストライク・イーグル』に伍して新たな米空軍攻撃戦力の仲間入りを果たしつつある。ネバダ州クリーチ空軍基地で編成された無人攻撃機MQ-9『リーパー』からなる第42攻撃機中隊は米本土での慣熟訓練を終え9月25日、アフガニスタンの米軍特別基地に配属。10月から地上部隊と呼応して本格的な敵掃討作戦で多彩な攻撃機能を見せ出した。湾岸戦争でイラク軍戦車部隊が『悪魔の兵器』と恐れたヘルファイア・ミサイル装備の出撃も無事任務を完了、第一戦部隊の将兵が有人攻撃機と見まごう戦闘振りに唖然とした程だ。11月7日には初めて精密誘導爆弾の目標投下にも成功し実戦兵器として申し分の無い活躍。米中央軍空軍司令官、ゲーリー・ノース中将も『無人攻撃機がアフガン戦線で支援要請に応え何時でも敵を攻撃出来る能力を実証した』と米軍の無人攻撃機投入が間違っていなかった事に自信を深めている。驚くべきは無人攻撃機MQ-9『リーパー』が地球の裏側のネバダ州の運用センターから遠隔操縦されている点。オペレーターがMQ-9『リーパー』から常時送られてくる飛行中の機首から捉えた映像を見ながら巧みにコンピューター操縦をしている。双方を繋ぐのは米軍が宇宙空間に配置した軍事衛星回線。爆撃目標は敵陣地近くに潜むJTAC(合同爆撃目標指示)隊員の情報をデーター通信で入手し攻撃機の頭脳に即刻入力する仕組み。従って前線の戦況の変化に応じ攻撃目標や搭載兵器の選択を自由自在に行える優れものだ。米空軍が無人機を有人戦闘機並みに使用する先駆けとなったのは偵察用に開発したMQ-1『プレデター』。この経験を生かしMQ-9『リーパー』の実用化に踏切った。性能向上は比べるべくも無い。公表データだと搭載兵器の総量は1.7トン。巡航速度は372キロ。無給油で5,952キロを連続飛行可能という。攻撃兵器はAGM-114『ヘルファイア』ミサイル、GBU-12『ペーブウェイ U』、GBU-38JDAMの精密誘導爆弾。有人攻撃機も顔負け。現在10機が空軍に引き渡されているが2009年から量産体制だと言う。価格は1ユニットで5,350万ドル(59億9,200万円)。機体4機分と各種センサーを含んだ値段。米空軍は調達予算の上限を睨んで組織の大胆な構造変革に着手しようとしている。恐らくその中には無人攻撃機という新ジャンルの兵器採用が視界にあるのだろう。"無敵の戦闘機"F-22A『ラプター』の実用化と並び米軍の持つ底知れぬ技術開発力と変革へのたゆまぬ姿勢にはただ脱帽する他無い。