LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇


LCAC エルキャックと読むLanding Craft Air Cushion(ed)の頭文字を取った名称。
日本語に訳せばエアクッション(ホバークラフト)型揚陸艇。


 LCACは1977年から81年の間、米海軍でテストされ、87年6月に生産が認められた。
LCACの最初の配備は1987年、(佐世保に配備される前)ジャーマンタウンだった。
LCACの最大の配備は1991年の湾岸戦争の時で、11基がクウェート沖のイラク軍が占領していた島の奪還に投入された。
さらに、ソマリアへの上陸作戦及び国連PKFの撤収作戦において、首都モガデシオに上陸、海兵隊の装甲部隊を展開し、任務を遂行したと言われている。


1.高速性
 4基のガスタービン・エンジンを装備し、合計出力は15,820馬力。船体を4基の遠心力浮揚ファンで水面、または陸地から浮かせ、
後部についている二基のシュラウドつき推進用プロペラを駆動させ推進力をつける。

 この強力な馬力によって、戦車など重い荷物などを搭載し、高速性を発揮できる。その結果、騒音はすさまじいものとなる。

2.水陸両用
 LCACは従来の上陸用舟艇などと違って、完全な水陸両用である。
従来型上陸用舟艇では、世界の海岸線の17%でしか、上陸作戦ができなかったが、LCACでは80%以上になると言われている。
また甲板の装備が整っている艦船からも発進可能。浮上距離は約4フィートで海の深さ、海面下の障害物、浅瀬、逆流に関係なく走行できる。
また陸上も4フィート以下の障害物であれば(沼地、砂漠、溝、土手などの地形に関係なく)走行できる。

 ソ連崩壊後の世界情勢の中で、米海軍は、空母機動部隊どうしが真っ向から渡り合う「洋上」から「海から陸」を目指す軍事戦略に転換した。
これが「フロム・ザ・シー」(From the Sea)戦略と呼ばれている。

 一方、アメリカのこうした軍事戦略に備えて、相手国では、アメリカの上陸作戦を阻止するために、機雷、地雷、対艦ミサイルなどの装備が高性能になってきた。
アメリカはこれをさらに打ち破ろうと掃海任務から内陸進攻までを見通した揚陸戦兵器システムを開発。その中心がLCACである。

 水陸両用戦とは、佐世保に配備されている強襲揚陸艦ベロー・ウッドなど水陸両用部隊が(沖縄の)海兵隊を海から殴り込み作戦を行う戦闘形態のこと。
この殴り込みを米海軍・海兵隊の消耗を最小限にくいとめるために、空母起動部隊グループが海上からも空からも強力な火力支援を行う。


3.LCACの役割
 この水陸両用戦(揚陸作戦)におけるLCACの役割は、船から陸へ、また陸上も走行できる特徴をいかして、海岸の上を戦車などの兵器、各種機器及び人員を、
海兵隊航空/地上機動部隊の基盤である小部隊へと輸送すること。

 LCACの典型的な任務には、機器、部隊、補給物資の積み込み、上陸用艦船からの発進、急襲下における海岸への高速輸送、荷物を降ろすため
適切な場所を求めて内陸まで進攻、迅速な荷おろし、再び積み有するため、上陸用艦船への帰艦、及び出撃の続行などがある。


 紛争地への強襲揚陸作戦は、相手国の反撃を受けないようにできるだけ沖合いから実施される。
海兵大隊上陸チームの海兵隊員はベロー・ウッド搭載のCH−46輸送ヘリコプターで空中から送り込む。
戦車、車両、火砲はLCACを使って海岸に陸揚げ。揚陸作戦が成功するか失敗するかは、LCACがこれら戦車などを迅速かつ安全に展開するかにかかっている。


4.海上自衛隊も
 1998年、広島県呉に海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」とLCAC2基が配備された。以降も、大型輸送艦とLCACの配備計画が進められている。
 また1999年には、四国沖でジャーマンタウンと「おおすみ」がお互いのLCACの収容・発進訓練を行っている。

海自輸送艦「おおすみ」(左)と米揚陸艦フォートマクヘンリー(米海軍ホームページ)

 2月5日から8日まで、佐世保基地配備の米ドック型揚陸艦フォートマクヘンリーと海自輸送艦「おおすみ」が
横須賀から駿河湾にかけての海域で日米共同揚陸輸送演習を行なっています。
フォートマクヘンリーは2月2日に2隻のLCACを積んで佐世保港を出港していました。
この演習は今回が2回目で、最初の演習は1999年7月に呉の沖合で行なわれています。

 海上幕僚監部はこの演習を「輸送特別訓練」という名称で呼び、「日米の輸送部隊間における連携要領を演練し、
海上輸送に関する戦術技量の向上を図る」ものとしています。
 演習は人員の交換、通信訓練、戦術的機動作戦、両艦の間でのLCACの相互運用などが含まれ、
8日には米軍の沼津海兵訓練場でLCACなどを使った揚陸演習が行なわれる予定です。
日米間でお互いのLCACをウェルデッキに回収し、発進させるのは初めてのことです。

 フォートマクヘンリーのマイケル・タラガ艦長は「この共同演習はお互いの艦船での交差訓練と揚陸艇の回収を通して、
それぞれのウェルデッキの操作と揚陸手順に慣れ親しむために立案された。
この連携はいかなる不測の事態に対して独自に対応することが求められる状況下で多いに役立つ」と述べています。




輸送艦「おおすみ(LST4001)」はフォートマクヘンリーと同じような形態と能力を持った揚陸輸送艦(LST)で、
米軍と全く同じLCACを2隻、CH-47ヘリを2機、CH-60J哨戒ヘリを2機搭載することができます。
 佐世保の相浦駐屯地に配備されている陸自西部方面普通科連隊はアメリカ本国で米海兵隊から敵前上陸訓練の手ほどきを受けています。
そしてまた海自輸送(揚陸)部隊も米強襲揚陸部隊からノウハウを学んでいます。
まさに自衛隊が米軍と一緒に軍事行動を担えるよう訓練を積み重ねているのです。

性能・諸元

全長:26.4m
全幅:14.3m
自重:87.2トン
最大搭載能力:75トン
速力:74km/時(積載重量、海面状態により変化する)
航続距離:270km以上
最大搭載人員:180名(多目的コンテナ積載時)
メーカー:テキストロン社


●米海軍のエアクッション型揚陸艇LCAC-1級と同型で、平成5.、7年度に各1隻、11、12年度に各2隻が有償軍事援助調達されています。
「おおすみ」型 輸送艦搭載用で、当初は搭載艇の扱いでしたが、平成16年自衛艦(搭載艇→LCAC)に昇格し、同時に1〜6号より成る第1エアクッション艇隊を第1輸送隊隷下に新編しています。
●整備は航空機に準じており、LCAC整備所のバックアップを受けるようになっています。
●操縦は右舷前部のコクピットでクラウト・マスター(艇長)、エンジニア(機関士)、ナビゲーター(航海士)の3名によって行われます。
●軽量化を図るため、上構はペイント重量すらも節約して無塗装になっています。
●ビーチング可能な海岸傾斜は6度まで、車両甲板は全通式で前後にランプがあります。また人員輸送時は、組み立て式の人員輸送コンテナを車両甲板に搭載します。



LCACは上陸用舟艇と違い水陸両用のため、浮上距離約1.5メートルで、浅瀬であれ、
沼地であれ関係なく走行できる。そのため、敵の反撃を受ける前に、沖合いから目的地への戦車、重火器、部隊などの陸揚げを迅速かつ容易に可能とする。


ウェルドックには、付属のエアクッション艇 LCAC を2隻収容することが可能。後部の大型ランプは完成後も可動します。



LCACは「おおすみ」型輸送艦に搭載されているエアクッション艇(ホバークラフト)で、米海軍で使用されているLCAC-1級と同型。「おおすみ」型輸送艦の艦尾から発進するシーンはなにやら「サンダーバード」とか「宇宙空母ブルーノア」(古)を思い出してしまう。(^^; LCAC固有の乗員は操縦、機関操作、レーダー員、見張り員、甲板員の5名で、これに艇指揮のOICが加わる。LCACのクルーは全てアメリカで教育を受ける。最初の2ヶ月は語学、その後8ヶ月を操縦その他の訓練に費やすという。
主機のガスタービンは浮上用2基、推進用2基の計4基から成る。搭載量は通常60トンだが、過積載で75トンまで可能となっている。
輸送艦「くにさき」の就役によってLCACも6隻となったことから、管理の一元化を計る目的で2004年4月8日に呉基地においてLCAC01〜06号による「第1エアクッション艇隊」が第1輸送隊の隷下に新編された。それに伴いLCACも個艦の搭載艇から自衛艦籍に扱いが変更になり、艇の記号も「LA-○○」から「21○○」に変わっている。


海上 航行中






母線 揚陸艦と



LCAC(エルキャック)固有の乗組員は5名で、
クラフトマスター(CM 操縦)、エンジニア(EMG 機関操作)、ナビゲーター(NAV レーダー要員)、ロードマスター(RM 見張り)、デッキエンジニア(DE)がいる。
更に艇指揮にあたるOICが乗り込む。この他に2隻の整備のために8人の専門スタッフがいる。
通常の定員は24名で、運航中は乗員と言えどもデッキに出る事はできない。人員輸送の場合は、
アメリカでは、プレハブ式のハウスを組み上げて、キャビンとして約130名搭載するが、
日本ではまだ導入されておらず、緊急時は、車両(トラックなど)を搭載、固縛し、人員を収容する方式を取る。

クラフトマスター、エンジニア、ナビゲーター、ロードマスター、デッキエンジニアがいる。
LCAC乗員は操作、機関操作、レーダー員、見張り員、甲板員の5名である。











































なお、ガスタービンの排気は前部にある旋回式の排気口から排出することでサイドスラスター的運用を行って前後左右旋回と様々な動作が可能になっている。
しかし、その推進形態から航行時の騒音はかなりのものでもある。






































艦内

















操縦室


























反対側 乗員室







推進エンジン






浮揚エンジン











推進プロペラ





模型







エアクッションによる浮上航行は水の抵抗を廃することができるために、後部にもうけられた大型のプロペラによって40ノット級の高速航行が可能である。



揚陸艦内























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旧型揚陸艦










上陸




























砂浜に乗り上げたLCAC上で、搭載車両の固定用チェーンを外して揚陸の準備を行う
















LCAC(エルキャック)。海自の説明書きでは〜なんたらエアクッション艇〜とかなっていたが、
ようするにホバークラフトのでかいやつ。おおすみ型の輸送艦に装備されている。コイツの導
入でいわゆる艦首を砂浜に乗り上げるカタチのビーチングは必要なくなって、輸送艦そのも
のの性能向上につながった。展示訓練での解説では、「災害派遣の際、人員とトラック等の
支援車両を速やかに上陸させられる。」と言っていたが、当然90式戦車等の戦闘車両も上陸
させられる。つか、本来そっちのほうが主たる目的ではないのか?

砂浜に上陸したLACA












































仮設のLCAC整備施設、新たに建設





佐世保基地の崎辺地区に駐機しているLCAC(06.12.3 撮影)

米海軍佐世保基地・崎辺地区にあるLCAC(ホバークラフト型揚陸艇)の駐機場でLCACの仮設整備場の建設が進められている。

佐世保基地には揚陸艦4隻とともに8隻のLCACが配備され、揚陸艦が停泊中は港内にある崎辺地区にある整備場で保管・整備をおこなっている。
崎辺地区の整備場は旧・日本海軍が水上飛行機の整備場などとして使用していた地区の一角にあり、LCACは露天に駐機し日常の整備など簡単なメンテナンスは毎週2回程度行い、
本格的な整備は米本土に送り返すことで対応してきた。

このため米軍は日本政府の費用負担で、2012年頃を目途に佐世保港内にある西海市横瀬地区に12隻のLCACを駐機し整備できる施設の建設を進めている。
 ところが今回突然、テント式の仮設の整備場建設を米海軍の予算で建設を始めた。
費用はテント式の仮設整備場建設に23万3千ドル(約2500万円)、電気や通信設備などのインフラ整備に30万ドル(約3600万円)を要するという。

LCACの部隊は本体がカリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンにあり、本格的な整備や部品の交換はこの基地で行っていた。
しかし米軍再編に伴う基地の閉鎖・統合で一部部隊が閉鎖されたことがこの背景にあるようだ。
 横瀬地区の施設が完成する待てないことから、今回に仮施設建設になったようだ。