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ちょうど今は撮影の休憩中で、
Georg、キーボードのKjartan Sveinsson、ドラムのOrri Dyrasonは
ビデオに出演している12歳の少年やみんなとサッカーをしているところだ。
音楽家がすぐに彼らの風を失ってしまうように、この即席の試合は長くは続かない。

Kjartanは疲れてピッチから離れ、
もじゃもじゃのヒゲと乱れた髪の上から厚い羊毛のセーターをかぶった。
「もう終わり?」と訊くと、
「12歳じゃないからね」とそっけなく答えた。

この3つの単語(I'm not 12)が彼が私に話してくれた全てである。
彼にインタビューする時間があるかと尋ねた時に言った、"No"という言葉を抜かして。

同じ感じが、バンドのリード・シンガーJonsiにもある。
彼が写真家に向かってポーズをとった後に(バンドは写真を撮る時間がある)
Jonsiに近づいて、彼に簡単なインタビューをお願いしてみたのだが、
彼はこうつぶやいた。
「たぶん後でね」
もちろん「後」が実現することはなかった。
Orriはピッチでは子どもたちと同じくらいの年に見えて、話しやすい。
とても丁寧で愛想がいいのだが、彼が仲間の元に戻るのを熱望しているのは明らかである。

しかしながら、彼は行ってしまう前に私に少しだけバンドの前のツアーについて
なんとか話してくれて、自分がどんなにサンフランシスコが好きかを聞かせてくれた。
彼はSigur Rosが英語で歌を演奏したことがあることを否定し、
私が彼らの新しいアルバムはどんなことについてなのかを知るためには
少し待たなければいけない、と話してくれた。

ありがたいことに、そこにはGeorgがいる。
少なくとも公では、Georgがこのバンドの事実上のリーダーとして出ている。
洗練された話し方をするこのベーシストは、自分がバンドのスポークスマンと
任命されていることについて何の不安もない。
事実彼はプレスと話すことをむしろ楽しんでいるようであり、
また彼は、他のメンバーが人目に立たないようにすると言い張る中で
自分が唯一公の場とバンドとを本当につなぐものであることを理解しているように、
間違いなく賢い人間だ。

「僕らはヴォーカル・バンドじゃないんだ」とGeorgは言った。
うるさい蚊たちが、ビデオで窓を飾るために少しだけ使われていた
ピンクのImpallaの暖かさによじのぼってセットに群がっている。
「もちろん人々がバンドや音楽を知っていてくれてるなら、僕らは気にしない。
でも僕らは、自分たち自身を売り物にするためにここにいるんじゃないんだ。

僕らの外見は音楽とは全く関係がない。音楽こそが重要なことなんだよ。」
今撮られている、歌とは全く関係のないビデオに出演することについて。
「出るのは本当にちょこっとだけさ。ビデオをより楽しくするためだよ。
ほら、変な髪型でレフリーの格好して走り回るだけ。
僕が年を取ってもこのことは覚えてるだろうし、思い出して笑うことが出来るだろう。
音楽は楽しいものでなきゃいけない。そして、僕らは自分たち自身を笑うことが出来るんだ。
つまり、少なくとも僕らはサッカーの競技場にいるわけではなくて、
吹いてくる風とともに楽器を奏でているような、そんな想像をしているんだ。」

Sigur Rosは絶対に、安っぽいものなんかではない。
どんなことがあろうとも、彼らは彼ら自身を売るようなことは間違いなくしない。
それは、彼らのウェブサイトに行くことでも理解出来る。
そこには何枚かのTシャツとわきに置かれたボタンがあるだけ。
けれどもこのバンドは、Georgが言うように、音楽についてのものなのだ。
Melody Makerという雑誌ではこのことについて滑稽にのべていたけれど、
Sigur Rosの心休ませる音楽は、確かに音楽ファンと共鳴しているのである。

彼らの音楽はアイスランド語で歌われる(いくつかの曲は造語である"Hopelandic"という
言語で歌われている。これはアイスランド語と英語を混合したもの)。
アメリカやイギリスのファンたちは今なおAgaetis byrjunを買い求め、
Sigur Rosの演奏を聴くために集まる。

「最近ずっとツアーをしていて、観客の中で一緒に歌ってくれている多くの人々を見た。
彼らを見て考えるんだ、彼らは何を一緒に歌っているんだろう?って。
でも人々は明白な言葉を聞かなくても、音楽の中から言葉を聞き取ることが出来るんだ。
彼らは彼ら自身の言葉を創っているんだよ。
それに、歌詞はそんなに重要なものではないんだ。音楽が自分自身で語るわけだから。」

音楽が自分自身で語っているであろう一方で、
Sigur Rosがここ2〜3年あまり触れなかった曲もAgaetis byrjunの中にある。
しかしながら、バンドは実験的にコンサートで新しい曲を演奏していて、
そしてそれはスタジオでレコーディングされるのを待っている。
Georgが次の夏あたりに出せればと思っているアルバム用だ。
Sigur Rosのファンは何を期待できるだろう?

「僕らの新しいアルバムは、よりシンプルな曲がつまったものになるだろう。
よりドラマティックではなくて。たぶんもっと正直な、裏表のないものになるよ。」
Georgがその新しいアルバムについて推測している時、
ビデオのプロデューサーが撮影を再開するために彼をピッチに呼んだ。
彼は車から出る前にバックミラーで彼自身をチェックして、
そして私にSigur Rosにとって何が本当に重要なのかを知らせてくれた。
「みんなはきっと新しいアルバムを嫌うだろう。ただ新しいからという理由で。
これは多くのバンドに起こることだ。
でも僕はただ、人々が僕らの音楽の真実を見てくれることを願っているんだ。

そして彼は、レフリーのふりをするために、
12歳の少年の仲間たちとともにサッカーのピッチへ向かった。

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