さて 盛りを過ぎた
飲み干さなきゃならないな
一線を越えたなら
埃っぽくて古いワイン
二千年の時を経て
黒い澱の一インチ
残された儘
奴らが言うに お前は眠りに就いたんだな
未だお日様が出ているというのに
お前と一緒だったあの豪華絢爛な女は
十分酒が廻ったよ
彼女はお前を連れて行くってさ
地獄行きか それとも天国行きか
彼女はお前の心を砕いて仕舞うか
それとも大笑いさせるかもな
古い赤ワイン
一文の値打ちも無い
お前とコイツを呑まなきゃな
また今度
飛び切り年代物のワイン
四十年寝かせてある
鼠がラベルを齧った
俺たちが何を買っているかなんて知らない
カリフォルニアに帰ると
温順な者の為にワインがあった
ハリウッド・ボールやフィルモア
カウ・パレスやグリーク・シアターがある
お前はコルクを嗅いだ
ワイン・リストの下の方を選んで
グラスを光に翳し
そして霞の向こうを見詰めた
古い赤ワイン
さて 盛りを過ぎた
お前とコイツを呑まなきゃな
また今度・・・
兎も角 そいつに息をさせろ
おお そいつに息をさせろ
息をしろ 命よ 息をしろ 命よ
そいつに息をさせろ
おお そいつに息をさせろ
そいつに息をさせろ