『Marrowbones』(骨の髄) traditional

我らの町に一人の女がいた 我らの町に住んでいた
古旦那に惚れてはいたが 別の男にその倍惚れた

女はお医者の所に行った 上手い具合にいかぬものかと
この世に古旦那を盲にする手立てはないものかと

オー 旦那に十六本の骨髄を与えなさい 平らげさせなさい
喰い終った時 アンタがすっかり見えぬよう 旦那は盲になっている

それからお医者は手紙を一通認めて 自らの手で封緘した
バラして仕舞おうとその古旦那に送りつけた

だが古旦那は狡賢い奴 先刻お見通しであった
すっかり平らげてこう言った 「愛しい人よ お前が全然見えないよ」

古旦那は言う
「ならば川まで行って身投げして仕舞おう」
女は言う
「ならアンタの傍に付いて行って 落ちないように見ておきましょう」

二人揃って川の縁まで歩いて行った
そうして女は優しく口づけし そうっと後ろへ回った

女は焦る 女は後ろへと焦る 古旦那を突き飛ばそうと
ところが古旦那は聞きつけた そして身を翻し そして女は転げ落ちた

女は声を張り上げ張り上げ慈悲を乞う
だが古旦那はこう答えた 「俺はお前が全然見えない盲だよ」

女は泳いだ 女は泳いだ そして向こう岸まで辿り着いた
だが古旦那は艀の船竿を引っこ抜き 女をもっと遠くへ突き押した

オー 十六本の骨髄は アンタの古旦那を盲にするだろう
でも古旦那を殺したければ 後ろから息を殺して忍び寄らなきゃならない


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