復刻版・千夏 VS 美園(壱)



□第1話□
千夏 「あーら、秘書課の皆さんお揃いで」
美園 「あーら、ショムニの皆さんもお揃いで」
千夏 「社内の男漁りかしら?」
美園 「うちは、おたく程暇じゃありませんの」
千夏 「可愛そうに・・・」
美園 「何かおっしゃった?」
千夏 「男漁りも出来ないなんて可愛そうにっつったの!」
美園 「っ(笑)・・・、あたし達はあいにく、
    そういう低次元のレベルじゃ生きてませんの・・・、行きましょ、みなさん」

千夏 「・・・レベル振り切って行くとこまで行っちゃってるからねぇ」
美園 「どう言う事・・・?」
千夏 「女もこうなったらお終いって事よ!キレイ事でがちがちに固めてると
    売れ残りのただの年取った秘書になるだけだよ!」
美園 「ちょっと・・・」
千夏 「皆さーん、憧れの寿退社目指すならイイ男は早いもん勝ち。
    こんなんなっちゃう前に本音で勝負しなきゃね!」
美園 「皆さーん、こんな人の言う事聞くこと無いから行きましょ。
    じゃ、新人研修の途中ですので、失礼・・・」

千夏 「あーら、偶然ね。こっちも新人研修なのよ」
美園 「新人研修?ショムニに新人なんていたかしら」
千夏 「塚原佐和子、21歳!うちのニューフェイスよ」
美園 「入社早々何をしでかしたの?」
千夏 「秘書課には逆立ちしても出来ない事よ。それじゃぁ、ご機嫌よう」

□第2話□
千夏 「うわっ、何だこの節操を知らない暑苦しい香水の匂いは
    ・・・やっぱり秘書課。
    あーら、どこの仮装パレードかと思えば秘書課のみなさぁん」

美園 「私達はあなたみたいに、肌を露わに腰をくねらせる事なんて出来ないわ」

千夏 「美園さんは殿方の前で肌を露わにするのは
    かれこれ2年もご無沙汰だって話しですから。
    昨日も1人淋しく池袋で焼肉を食べてたんですって?」

美園 「私、誰かさんみたいに日替わりで男を乗りかえる趣味ありませんの」

千夏 「美園さん!・・・女の価値は男の数で決まるのよ!」
美園 「千夏さん・・・?じきに思い知らせてあげるわ。
    女の価値は男の数なんかじゃ決まらないのよ?」
千夏 「・・・着飾りゃ男が振り向くってもんじゃないでしょーに」
美園 「あーら、退職間近のショムニの皆さーん。再就職先は見つかったの?
    お仕事なんかしてる場合かしら・・・?」
千夏 「仕事とプライベートは区別してますから。あたし達には出来ないわ
    あなたみたいに仕事に託けて男漁りだなんて真似・・・」

美園 「お陰様で成果は着々と・・・」

千夏 「社長の手配も出来なくて何の成果かしら?」
美園 「ご心配には及びません。例えこの契約が失敗に終ったとしても
    私は彼の心を救ってあげられますから」

千夏 「あなたに救われる程度の心とは随分単純な構造です事」
美園 「千夏さん、女の価値は男の数じゃないのよ?
    女の価値は、男の総資産額で決まるの」

□第6話□
美園 「あーら、千夏さん・・・新しい彼氏?
    随分若い子に手ぇ出したのねぇ」

千夏 「あーら、美園さん。あんまり男に相手にされないと
    こんな子まで欲望の対象に見えてくるのかしら?」

美園 「気をつけた方がいいわよ、この人男と見たら見境無いから」
千夏 「あなた達こそ気をつけた方がいいわよ?
    この人みたいに男日照りが長いと
    挙句の果てには女にまで手ぇ出し始めたりするんだから」

□第7話□
美園 「あたし達が女子社員の選抜チームなら、あなた方ショムニは会社のお荷物。
    あなた方の仕事は暇つぶしと大して変わらないでしょうけど
    あたし達のは重要な責任ある仕事なの!」

千夏 「あーら、ご主人様に頭撫でられて喜んでるのが?」
美園 「っ(笑)、何とでもおっしゃい。どちらが必要な存在かは一目瞭然」
千夏 「そんなに人に命令されるのが楽しい訳?」
美園 「命令もろくに聞けない人にそんな言われ方される覚えないわね。
    あなたみたいに好き勝手やってればいいってもんじゃないのよ!」

千夏 「ご主人様の命令なら裸踊りもするってか?」
美園 「何ですって・・・?」
千夏 「杉田さん、よぉく覚えておく事ね。自分のご主人様は自分でしかないんだよ。
    所詮番犬は野生の狼には勝てないって事」

美園 「狼って絶滅寸前じゃなかった?」
千夏 「それだけ希少価値って事よ!」
千夏 「あーら、花嫁斡旋業のみなさんがいらしたわよ〜」
美園 「あーら、言葉は正確に言って頂きたいわね。
    斡旋じゃなくて人探しのお手伝いよ?」

千夏 「同じ事じゃん!加賀美の花嫁斡旋してんだろ?」
徳永 「うちだけまたメールが入って無かったんだけど」
美園 「いずれにしても、あなた達に合う条件は無いと思うけど・・・」
徳永 「わかんないじゃぁ〜ん!うちの誰かが専務夫人になるかしんないし〜」
美園 「もしそんな事になったら、10階から逆立ちして降りてあげるわよ!」
千夏 「面白いっ!やってもらおうじゃない!」
美園 「そんなの地球が爆発しても無いと思うけど?
    んもう、こんな所で油売ってる時間無いのよ!行きましょ。
    ・・・あ。3階の女子トイレの蛍光灯切れかけてたわよ?
    あなた達にお似合いなのは専務夫人じゃなくて
    蛍光灯とトイレットペーパーの交換くらいでしょ・・・?」
美園 「昨日はメールがお宅だけ行ってなくて、ごめんなさいねぇ」
千夏 「別にいつもの事でしょ?」
美園 「あなたとは色々誤解があって失礼な目にもあったけど
    今となればいい思い出・・・許してあげるわぁ」

千夏 「許す?ふっ、それはこっちのセリフでしょ?」
美園 「あなたとこうやって話すのもあとわずか・・・仲良くやりましょうよ」
千夏 「あんたと仲良くする位なら、人事部長とキスした方がよっぽどマシだね!」
美園 「まぁ、坪井さんったら冗談がお上手ねぇ・・・おほほほほほほほ。
    ・・・突然こんな事になっちゃったでしょ?加賀美グループの専務夫人が
    いつまでも満帆の秘書やってる訳にもいかなし、今月いっぱいで
    退社する事にしたの・・・いわゆる寿退社ってやつかしら?」

徳永 「自分で言ってりゃ世話無いわ」
美園 「え?何か?・・・でもぉ、あなた方とお別れすると思うと、残念だわぁ〜」
千夏 「あーら、こっちこそあなたに会えなくなると思うと
    淋しくてお腹の皮がよじれそうよ!」

□第8話□
美園 「あーら、ショムニの皆さん・・・気付きませんでしたわ。
    お仕事中に占いですかぁ。そんなの信じるなんて頭の程度が知れてるわねぇ。
    さすが社内のお荷物と言われてるだけの事はあるわね」
千夏 「あーら、秘書課の皆さん。占いの効力も確かめもせずに
    知ったかぶりはやめてくれない?」
美園 「そんなの確かめる必要ないわ。あたし達秘書課は
    そんなものにすがらなくても女子エリートの王道を歩んでいますから」
千夏 「まぁ、お気の毒に・・・。仕事にばかり運を取られて
    すっかり男運をすり減らしてしまったようね」
美園 「何ですって?」
千夏 「占いの力でも借りて、たまには男に持ててみたら?」

□第9話□
美園 「あーら、そのポスター曲がってんじゃなーい?
    この程度の仕事くらいきちんとやって頂きたいわ」

千夏 「あーら、右京を追い掛け回してコーヒー1杯って逃げられた杉田さん」
美園 「あら、何の事?」
千夏 「とぼけても無駄だよ。あたしの耳は地獄耳なんだから」
美園 「あっそ、ならいっそ地獄へいらっしゃれば?」

□第10話□
美園 「千夏さん、どういうつもり?あたし達秘書課を差し置いて
    右京さんの秘書気取りだ何て・・・、迷惑よ」

千夏 「あーら、心外ねぇ。あたしはこいつに秘書として
    会議に出てくれって、頼まれただけよ」

美園 「誰が信じると思って?右京さんがそんな大事な仕事
    ショムニなんかに頼むもんですか」

千夏 「香水を振り撒くだけの秘書課に頼むよりは
    よーっぽどマシだった気付いたんじゃない?」

美園 「ふざけないで頂戴!!」
千夏 「じゃ、本人に聞いてみる?」
美園 「なぁに?その自信は・・・、まさか右京さん
    本当にこんな人に秘書を?」

右京 「・・・あ、あぁ、僕が頼んだ」
千夏 「ほーらね」
美園 「そんな・・・」
右京 「でもこれには事情がっっ」
美園 「そうですよね!事情がなきゃ頼むはずありませんよね!
    ・・・で、どういう事情なんですか?」

千夏 「あたし達・・・、離れられない関係になっちゃったのー」

□第11話□
千夏 「あーら、社内お茶くみ対決〜?」
美園 「あーら、肉体労働1本のあなたにそんな言われ方される筋合いないけど?」
千夏 「体も使わないとどんどん老化しちゃうからねぇ
    ・・・あんたも相当きてんじゃないの?」

美園 「失礼ね!冗談じゃないわ。もとのお仲間の昇進で
    嫉妬に狂ってるんでしょうけど八つ当りはやめて頂きたいわね」

千夏 「こいつが何処に行こうがあたしらには関係無いね」
美園 「あーら、本当は羨ましいじゃないの?
    普通のOLに返り咲こうってったって、あなたには無理な話ですものね」

千夏 「っ(笑)、普通のOLってぇ〜、爪楊枝上達用員の事かしら?」
美園 「あーら、いくら爪楊枝だった上司が必要なら
    アラスカに行ってでも用意するのがOLの鏡ってものよ!」

□最終話□
千夏 「あーら、凄い振動・・・ゴジラかと思った」
美園 「あーら、相変らず能天気ね、この一大事に」
千夏 「あーら、うちが全日本超ウルトラOLクイズに出るの知ってたの?」
美園 「は・・・?何ですって?」
千夏 「うちが優勝出来るとこ・・・TVで見れるわよ?」
美園 「バカバカしい・・・誰が全日本超ウルトラOLクイズ、
    なんて知るもんですか!」

千夏 「あら?密かに応募してたって噂よねぇ?
    代わりにうちが満帆OLの代表として全国ネットで
    ばーっちりTVに映ってきてやるよ!」

徳永 「アレに出たOLは玉の輿の確立も高いのよねぇ!」
千夏 「出たけりゃ、明日の創立記念・満帆祭りの選抜大会で優勝すれば
    6人目の挑戦者として連れてってやってもいいわよ」

美園 「ふっ、全日本超ウルトラOLクイズですって?
    出れるもんなら出てみなさいよ」

千夏 「だから出るって言ってんだろ?」
美園 「会社が倒産しても出れるかしら・・・?」
塚原 「倒産!?」
丸橋 「そんな情報入ってきてません」
美園 「だからこれから発表されるのよ!
    んまったく、どこまでおめでたいのかしら。
    超ウルトラOLクイズなんかに出るより
    ちょ〜能天気コンテストにでも出た方がいいんじゃない?」

□スペシャル1□
美園 「あーら、お熱い事・・・ラブラブだわねぇ」
千夏 「あーら、相当妬けてるみたいねぇ」
美園 「何ですって?」
千夏 「そうやって他人の事に口を出すのは、相手がいなくて
    嫉妬に凝り固まってる証拠でしょ?」

美園 「そんな事あなたに言われる筋合いないわ。それより、さっきはよくも
    社長の奥様にあんな失礼な事言ってくれたわねぇ」

千夏 「あの程度の事で怒るなんて・・・チッチッチッ、社長の奥さんもまだまだね」
美園 「まぁ、マダムサユリ様に向かって何て事!
    あのままだったらあなたクビになってたわよ?」

千夏 「クビっ?今クビって言った?クビにしたけりゃすりゃいいじゃぁん」
美園 「えぇ、えぇ、えぇ、あなたの場合、時間の問題でしょうけど?
    とにかく、今度奥様に向かって失礼な事したら
    このあたくしが、許しませんからね!」

千夏 「別にぃ?許してもらう必要ないもぉん!」
美園 「まったく、あなたって人は・・・も〜う、とっととクビになればいいのよぉ!」