■タガタメ■

ディカプリオの出世作なら
さっき僕が録画しておいたから
もう少し話をしよう
眠ってしまうにはまだ早いだろう
この星をみてるのは
君と僕と あと何人いるのかな
ある人は泣いているのだろう
ある人はキスでもしてるんだろう

子供らを被害者に 加害者にもせずに
この街で暮らすため まず何をすべきだろう?
でももしも被害者に 加害者になったとき
出来ることと言えば
涙を流し 瞼をはらし
祈るほかにないのか?

タダタダダキアッテ (ただただ抱き合って)
カタタタキダキアッテ (肩叩き抱き合って)
テヲトッテダキアッテ (手を取って抱き合って)

左の人 右の人
ふとしたばしょできっと繋がってるから
片一方を裁けないよな
僕等は連鎖する生き物だよ

この世界に潜む 怒りや悲しみに
あと何度出会うだろう それを許せるかな?
明日 もし晴れたら広い公園へ行こう
そしてブラブラ歩こう

手をつないで 犬も連れて
何も考えないで行こう

タタカッテ タタカッテ (戦って 戦って)
タガタメ タタカッテ (誰がため 戦って)
タタカッテ ダレ カッタ (戦って 誰 勝った?)
タガタメダ タガタメダ (誰がためだ? 誰がためだ?)
タガタメ タタカッタ (誰がため戦った?)

子供らを被害者に 加害者にもせずに
この街で暮らすため まず何をすべきだろう?
でももしも被害者に 加害者になったとき
かろうじて出来ることは
相変わらず 性懲りもなく
愛すこと以外にない

タダタダダキアッテ (ただただ抱き合って)
カタタタキダキアッテ (肩叩き抱き合って)
テヲトッテダキアッテ (手を取って抱き合って)
タダタダタダ (ただただただ)
タダタダタダ (ただただただ)
タダタダキアッテイコウ (ただた抱き合っていこう)

タタカッテ タタカッテ (戦って 戦って)
タガタメ タタカッテ (誰がため 戦って)
タタカッテ ダレ カッタ (戦って 誰 勝った?)
タガタメダ タガタメダ (誰がためだ? 誰がためだ?)
タガタメ タタカッタ (誰がため戦った?)


  計算外だった。
  メロディーが頭に浮かんだ時点でまだ歌詞はなく、
  カントリー調のアレンジで、
  ほのぼのとした歌になればいいと思っていた。
  そのつもりでレコーディングしようとしていた日の朝、
  テレビを点けながら朝食を食べていると、
  またしてもやりきれない事件が起こっていて、
  僕はただ父親として、胸がしめつけられる思いでそれを見ていた。

  スタジオに着いてしばらくして、僕はこの「タガタメ」の歌詞を書いた。
  そして、それを見た仲間によって
  アレンジは今の方向へシフトチェンジされた。
  良くも悪くも、偶然が重なり合って世の中が出来ている。
  生まれた場所、育った環境、出会った人、
  歩いた道、見てきた景色、食べてきた物・・・
  その内のどれかが違っていたら人生は別のものだったろうし、
  あの日の悲しい事件もきっと起こらなかっただろう。

  幸運にも僕はプロとして今も音楽を鳴らしていられる。
  それも偶然だし、
  このメロディーに、この言葉がのったのも偶然。
  僕は音楽を通じてたくさんの「素敵な偶然」を体験する。
  でも志を持っていなければ、
  「素敵な偶然」を呼び寄せることが出来るのだと、
  僕はのんきにそう信じている。
  もちろん、そうでないこともたくさん起こるけれど・・・

  ラジオで「タガタメ」を耳にした人たちにとって、
  この曲との出会いが「素敵な偶然」であるよう祈っています。

  ■桜井和寿■