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情報提供:きゅうさま
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対談:ジョン・フォックス vs 坂本龍一。![]() ジョン ― ジョンフォックス(左) 坂本 ― 坂本龍一(右) この対談はヴァージンレコードのオフィスの近くにあるポートベロ・ホテル内のレストランで行われた。 エレクトロニック・ポップのリーダー達は静かに、しかし、熱っぽく語り合った... |
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坂本 ―
それじゃあ、まずウルトラヴォックスを辞めた本当の理由から知りたいんだけど。 |
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ジョン ―
実は最後のアルバムの「システムズ・オブ・ロマンス」を制作した時に、辞める事に決めていたんだ。
でも、どうしてもメンバーにそれが言えず ― いわばミュージシャンのモラルとでも言うのかな ― とうとうコンサートが
終わる2月まで、つき合ってしまった。それからグッバイって言ったんだ。 |
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坂本 ―
なるほど。
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ジョン ―
要するに自分の目指してる音楽は、ひとりでやることによって初めて出来るもの。それに完璧にエレクトロニックな音楽を
やりたかったからだ。それにグループ内で僕以外に作曲出来るメンバーが居なかった事も。自己表現の努力をしない
ミュージシャンと一緒にやるなんて無意味だ。ワンマン・バンドみたいに思われたくなかったし、
バンドのメンバーも、僕が去ってから、僕の期待が解ったみたいだ。
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坂本 ―
なるほど。次に「メタル・ビート」について聞きたいんだ。作曲、レコーディングについてはキミの特別なやり方があるの?
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ジョン ―
ほとんどウルトラヴォックス時代に作った曲さ。レコーディングは、一週間に一度、グループ活動の合間にやった。
これまで自分が聞いた事の無い音楽をクリエイトする。これが基本ポリシーだった。
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坂本 ―
つまり、実験音楽としてのロック・アルバムが作りたかったわけ?
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ジョン ―
そうだね。最初はクラシックみたいに、リズム無しで作る。完全にノン・コマーシャルな音楽を目指した。
マシーンで何が創造出来るか。これはエレクトロニクスの新しい試みでもあるけど。
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坂本 ―
実は僕もYMOの活動とは別にソロ・アルバムも作ってるけど、共通の姿勢を感じることが出来るみたいだ。
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ジョン ―
ホント?キミみたいに作曲も手掛けるミュージシャンは、それ(ソロ活動)が必要だよ。僕も自分の曲をグループ全員で演奏する為に、
ちょっとレベルダウンするのがとても嫌だった。YMOがそうだとは思わないけどネ(笑)。
ところで、キミのソロの制作法ってどんなの?
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坂本 ―
まず基本トラックを録音して、シンセはもちろん、アコースティックからドラムまで全部僕自身が演奏するんだ。
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ジョン ―
えっ!ドラムもかい?ドラムは僕も出来ないから、とてもうらやましい(笑)
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坂本 ―
それで8月にロンドンに来て、気に入ってるイギリスのミュージシャンの参加してもらって、オーヴァーダブする予定さ。
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ジョン ―
スタジオは決まってる?
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坂本 ―
一応エア・スタジオと思ってるけど、他にいい所知ってる?
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ジョン ―
そうだな。サーン・スタジオがいいと思う。ここはバグルスとかイエスが演った所だけど、
エンジニアのジュリアン(・メンデルスゾーン)が、とても熱心なんだ。
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坂本 ―
あっ、僕バグルス好きだ。
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ジョン ―
だと思ったよ(笑)
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坂本 ―
だけど今は、ダブ・ミュージックにも興味があるんだ。
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ジョン ―
えーっ!やっぱり!僕もそうなんだ。デニス・ボーヴェルがプロデュースしたスリッツのアルバムはすごい。
ダブは、ミュージシャンにとって最高のコンセプトだ。僕もその方法を採用して、レコーディングの後、ミキシングの段階で
遊ぶんだ。ミキシング・デスクはもう一台のインストゥルメンタルだ。
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坂本 ―
ジョン自身のソロ・ツアーはやってないね。
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ジョン ―
近々に予定はしてる。今、ビデオに凝ってるんだ。ロックの種類によっては、ライブよりビデオで楽しめるものも出てくるだろう。
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坂本 ―
僕もビデオ・デスクは注目してるんだ。
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ジョン ―
でもビデオ・デスクは便利だけど恐ろしい存在だと思うよ。ミュージシャンにとって。
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坂本 ―
僕等の場合、バンドが3人で、ライブはセッション・ミュージシャンが3人の計6人で演奏する。コンピューターを増やせば
3人でも演奏可能だけど、それじゃ安定性がちょっと。それと、ステージに僕自身が何人もいたらいいなと思うんだ(笑)
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ジョン ―
そう。そいつが出来ると最高なんだけど。クラフトワークもそんな事考えてるみたいだ。自分達そっくりのロボットを3体作って、
それぞれが違う場所で演奏出来ないかって考えてるらしい。ロボットの数を増やし、東京とミュンヘンとロンドンで、ロボットの
クラフトワークが演奏して、自分達は家にいる。
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坂本 ―
まんざら夢じゃ無いだろうね。8台のシンセサイザーを1台のコンピューターで動かして、僕は歌うだけ。これはもう実験してるけど。
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ジョン ―
ずっと前から、体温の微妙な変化を音楽に出来ないかと実験してるんだ。身体の各部に測定器を取り付け、シンセにつなぐ。
体温の上下でシンセが音を出す。体温が上がると、サウンドもリズミカルになる。
心臓の鼓動はパーカッションのバスドラムだ(笑)
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坂本 ―
セックスしてる時の体温を使うというのもあるね。
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ジョン ―
それは最高のハーモニーだ(笑)。スタートはスロー、やがてクライマックス、そしてまた静かになる。
完成したらセクシャル・アートの新しい分野になるよ。決してポルノチックではない、センシティブで美しいものになるだろう。
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坂本 ―
うーん。色んな事を考えてるんだなあ。ところでジョンはYMOのコンサートを見た事あるのかな?
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ジョン ―
イエス。昨年ロンドンのザ・ヴェニューで。強烈な印象だったな。完璧なエレクトロニクス・ミュージックだ。
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坂本 ―
だけどステージは、何となくスマートさに欠けるでしょう。本当はもっと洗練させたいんだ。
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ジョン ―
僕の感想を言わせてもらえば、YMOはあまりにもオーガナイズされ過ぎてる。時々、僕は音楽にもアクシデントが欲しい。
ハプニングは音楽を生き生きさせる。でもYMOにはそんなスキが無い。
ディストーションや濁った音があってもいいような気がする。これは僕の個人的意見だけど。
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坂本 ―
ふーん。じゃあ僕等のレコードとステージの両方を知ってるわけだ。どっちがいい?
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ジョン ―
僕はレコードの方だ。
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坂本 ―
この秋にまたヨーロッパ・ツアーを予定してるけど、ロンドン公演には是非来て欲しいな。
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ジョン ―
もちろん行くよ。YMOファンのミュージシャンは、みんなキミたちの完璧さの秘密を盗みたがってる。
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坂本 ―
YMOはどんなキッカケで観るようになったの?
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ジョン ―
友人からYMOはいいよと云う噂を聞いてね。日本とドイツは、優れたエレクトロニクス製品を生産してる。
ドイツからはクラフトワークが出現した。日本からも、もう時間の問題だと思っていた。
それまではトミタ(富田勲)のレコードを聞いていたんだ。そこにYMOの登場。僕は飛んでいったね。
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坂本 ―
日本ではYMOのレコードは幅広い層に支持されているけど、
イギリスでもエレクトロニクス・ミュージックの流行は続くと思う?
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ジョン ―
YMOが人気があるのは、時代を上手く表現してるからだ。モダンで、ライバルなんて無いんじゃないかな。
イギリスでも2年ごとにロックのムーブメントが起きるけど、良いものであれば生き残る。モッズの立役者だったザ・フー。
ジェネシスもローリング・ストーンズもそうだった。
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坂本 ―
なるほど。
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ジョン ―
でも、エレクトロニクス・ロックの流行は、プレスリーの出現以来の革命的な出来事だと思う。
この頃の子供はエレキやアコースティックではなくて、いきなりシンセを買う。WHSP(ワスプ)という小型で9万円位の奴だ。
だから5年以内に僕を超えるシンセ奏者が沢山誕生するだろう。
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坂本 ―
そうなるとキミは、エレクトロニクス時代のプレスリー...
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ジョン ―
じゃあキミはチャック・ベリーかい?(笑)
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坂本 ―
仕事をしてない時は、どんなレコードを聴くの?
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ジョン ―
エリック・サティだ。それとロックの作曲をしてるとクラシックは無視出来ない。
最近気に入ってるのは、ヨハン・シュトラウスで「2001年宇宙の旅」を観てからだ。
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坂本 ―
子供の頃は?
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ジョン ―
ビートルズとローリング・ストーンズだ。特に「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」
(ビートルズ)の影響は強烈だった。これは多分最初のエレクトロニクス音楽だったと思う。
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坂本 ―
ブライアン・イーノも同じような事言ってた。
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ジョン ―
彼は年長だから目覚めるのは早かったんだろう。キミは楽譜が書けないのに、どうして作曲が出来るんだ、と聞かれるけど、
今はテープレコーダーがあるから。
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坂本 ―
正式に音楽教育を受けた僕には、その言葉はちょっと困るけど(笑)。ところで「メタル・ビート」の後は、何してるの?
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ジョン ―
本を書いてるんだ。「静かなる男」というタイトルで。
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坂本 ―
実は僕も書いてるんだけど・・・
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ジョン ―
ホント?音楽だけが自己表現の手段じゃ無いもの。もっとも完成まであと半年ぐらいかかりそうだけど。
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坂本 ―
お互いに、音楽だけでなく本の方でもがんばろう。 |
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![]() ジョン・フォックス:バイオグラフィー ゲイリー・ニューマンが最も影響されたと語るウルトラヴォックスのリーダーであった男。 シンセサイザーを多用したエレクトロニック・ポップ・ミュージックのコンセプトを作った男とも言えるだろう。 ソロとなった現在、彼は自分自身のレーベル「メタル・ビート」を設立、 デビュー・シングル「アンダーパス」を80年1月4日に、 そしてデビュー・アルバム「メタル・ビート」を1月18日に発表している。 この掲載記事より引用(週間平凡パンチ1980年8月25日号より) |