01003/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】0.自主営業の薦め (17) 93/03/16 14:52 コメント数:4  前前前前前田りび高秋です。こんにちは。  今回、miiko.さんのご賛同を得て、在宅ワープロ入力をされている皆さんを対象に、  この場で【営業指南】を連載することになりました。    下請受注の在宅入力での問題点は、一つに納期のこと、もう一つは単価のことに集約  されてきます。元請業者が発注者(以下「顧客」という)から引き受けてきた納期を  下請に引き継ぐ、というシステムであるのが第一の問題点。元請業者が、顧客の支払  った金額から自分の取り分を引いて、下請業者に支払っているのがもう一つの問題点  です。  ちなみに、元請業者が「文字単価」で仕事を請けているケースはあまりありません。  受注時には「××ページ分のデータ入力」とか「×千人分の名簿入力」とか、グロス  で請け負っている筈です。当然単価はそのたび毎に違う筈ですが、いろいろのケース  の中で一番安い単価からさらに取り分を引いたものを在宅者に支払っている、という  構造になっています。僕が(良心的な元請業者もいることは承知で)「中間搾取者」  という言葉を使うのは、そういう事情からです。    自分で営業して取ってきた仕事では、納期と単価の問題はある程度クリアできます。  何しろ「自分で決められる」のですから。さらに、「品質に責任が持てる」というメ  リットがあります。判断のつかないことがあれば、担当者に直接確かめることができ  る。付き合いが長くなれば、信頼関係も生じてくるし、仕事も面白くなってくる。    勝手に屋号を掲げて、自主営業のワープロ文書作成業者として4年目になりました。  偉そうに講釈を垂れるほどには稼いでいませんが、ご参考になればと思っています。  「自分で営業して仕事を取ってくる」というのは、手順としてはそれほど難しいこと  ではないし、上手くいけば楽しい。単価が上がった分だけ自分の時間も増える。試し  にやってみて損はないと思います。 01004/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】1.今後の展開 (17) 93/03/16 14:53 01003へのコメント  実務上の手順とは前後するが、都合により以下の順序で話を進める。    0.自主営業の薦め    ‥‥‥‥1  1.今後の展開(目次)  ‥‥‥‥2  2.顧客応対篇   1)話し方篇      ‥‥‥‥3   2)内容篇    −1.納期篇     ‥‥‥‥4    −2.料金篇     ‥‥‥‥5  3.アプローチ篇   1)内容篇       ‥‥‥‥5   2)禁忌事項篇     ‥‥‥‥6  4.その他準備篇   1)料金表篇      ‥‥‥‥7   2)その他準備するもの篇‥‥‥‥8  5.まとめ        ‥‥‥‥9    2〜3日に1本ずつ掲載の予定で、3月中には書き終える予定。FLEARNはこの会議室  しか読んでいないが、毎日巡回する予定なので、感想/ご批判等あればどんどん書き  込んでいただきたい。 01005/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】2.顧客応対篇 (17) 93/03/16 14:54 01003へのコメント コメント数:1  先ず紹介するのが、顧客応対のノウハウである。  例えば、DMを送付させていただいた先から電話で問い合わせがあったとする。  その場での発注となるケースよりも、問い合わせて雰囲気を見ておいて、後に仕事が  発生した時点で頼んだり頼まなかったりしようとするケースの方が多い。また、特に  営業はしていなくとも、例えば昔の知り合いなんかから仕事の依頼があったと思いな  い。第一印象は大切。その際の応対で、その後の展開がだいたい決まってしまう。    2−1)話し方篇    口頭での受け答えでも方法は同じだが、基本は「おうむ返し」とする。  例えば、  「これこれの原稿だと、納期はどれくらいか」という問いに対しては、  「いつごろお使いですか?」と問い返す。  同様に、  「ちょっと(値段が)高いんじゃない?」に対しては、  「いかほどでしたら宜しいでしょうか」と返す。  応用として、  「簡単なヤツなんだけど」に対して、  「拝見できますか?」  というのもある。ご家族と練習がてら遊んでみると良い。    納期に関しても、料金に関しても、相手にしてみれば「なるべく速く、なるべく安く  」が良いのは当然だ。それに合わせてこちらが「どんどん速く、どんどん安く」して  いっても意味がない。余分な苦労はしない方がいい。  セールス営業マンのマニュアルには、「応酬話法」というものがある。これは、「い  かにしてこちらの主張を押し通すか」のノウハウである。  それと混同しないでいただきたいが、この「おうむ返し」は、相手の頭の中の「なる  べく」とこちらの基準をすり合わせて、具体的な数字にしてやるための作業である。  どちらがサービス業の本道であるかは言うまでもない。 01006/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】2-2)内容篇 (17) 93/03/16 14:58 01003へのコメント コメント数:2  問い合わせには、2種類ある。  漠然としたものと、具体的な内容を伴ったものの2種類である。具体的な内容とは、  この場合「原稿」のことを指す。  漠然とした問い合わせの場合には、こちらの業務内容と標準的な単価を伝えれば良い  。  既に原稿を持っている顧客の場合には、納期と料金を相談する。    2−2)−1.納期篇  ○要求されている納期  ○分量  ○内容  ○現在の自分の状況  の4つによって、納期が決まる。  あまりお付き合いしたことのない顧客からの問い合わせである場合、例えば僕なら「  なんとかなるだろう納期」の3倍くらいで請け負うようにしている。  理由として、  ○同じような分量の仕事がもう一つ入っても、大丈夫。  ○外注さんに出したとして、その外注さんが仕事半ばで死んじゃっても大丈夫。  ○ものすごく沢山の後修正が入ってきても、まず大丈夫。  等が挙げられる。    問題になるのは、「要求されている納期」が、分量や内容に比してあんまりに短い場  合だろう。(料金等との兼ね合いもあるが、)「ちょっと危なそうだな」と思ったら  、それは正直に顧客に伝えることが肝心。問い合わせの段階で既に動かせなくなって  いる納期なんて世の中に無いから、顧客の方でも考えてくれる筈だし、あなたに無理  な納期なら世間一般でも無理な納期なのだから(一般に言うほど、オペレーター相互  の能力差はない)。    最悪なのは、安請け合いしておいて、納品当日の朝になって「出来ませんでした」と  いう場合。お客さんは困るし、あなたも信用を落とす。守れそうもない約束をする時  には、「守れないかも知れません」と正直に言うほうが、あとくされもないし。 01027/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】2-2)-2. 料金篇 (17) 93/03/18 13:58 01006へのコメント コメント数:2 今回は、「料金についての問い合わせに対しての答え方」の話である。細かい料金体  系の設定方法については、稿を改めて解説する。  単に「料金の基準を教えて欲しい」という場合なら、料金表(後にあなたが作る)を  送らせていただけば済む。  具体的に「これこれの原稿をこれこれの納期で、いくら?」というケースなら、自分  なりの料金体系で判断してお答えする。こういう場合というのは、顧客が原稿を持っ  ていて、それをなんとか処理したいと思っているわけだから、上手くやりたい。  上手くやって仕事に結びつけたい。が、納期と同様、自分に不利な条件で受けてしま  ってはなんにもならない。テキは「なるべく安く」と思っているので、その「なるべ  く」にいかに論理的に応えてやるかがポイントになる。そのために、まず情報を収集  する。  聴くべきことをいくつか挙げてみる(詳細については後に)。  ○何を作るのか(文字モノなのか、表組なのか)。  ○何に使うのか。  ○いつ使うのか。  ○分量はどのくらいか。  ○どの程度の品位が要求されているのか。  ○原稿はどの程度きったねえのか。それから、専門用語は出てくるのか。  ○作成手順はどうなっているか。  ○作成中に、担当者に直接問い合わせができるのかどうか。   要素はいろいろある。その要素を総合して判断した結果が料金になる。  料金概算御見積のポイントとして、  ○安くはしないこと。  ○「概算」であることを強調すること。  の2点が挙げられる。    これは、実際に原稿を頂戴してからでないと、仕事の質と量が正確に把握できないか  らだ。貰ってみたら汚かったとか、貰ってみたら少量だったという場合もあるので、  「まあだいたいこのセンで」程度にとどめておく。  最初に安くしてしまうと、あとから値上げするのは至難のわざになる。最初に高いこ  とを言っておいて、あとから値引きすれば、文句を言う顧客はあまりいない。 01087/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】3.準備篇 (17) 93/03/26 15:03 01027へのコメント コメント数:1  顧客応対の方法論はできたことにして、次にこちら側の準備の話をする。  ワープロは、ある。他に必要な物件は、顧客との通信手段(ファクシミリと  封筒、宛て名シール、切手、フロッピー数枚)、自作の料金表、業務フロー、  請求書と領収証(と収入印紙)といったところか。    3−1)料金表を作る。  料金表を自作するのはけっこう面倒くさいものだが、一つ作っておくと便利。  電話応対時の資料にもなるし、希望するお客さんにはファクシミリで送って  あげても良い。また、自分の仕事の内容を把握するためにも、ためしに作っ  てみて欲しい(この欄にアップしてくれるとなお嬉しい)。  大筋では、基本料金を決めておいて、他に「特急料率」や「ややこしい料  率」なんかを決めておけば良い、と思う(個々人によりけりだが)。  基本料金の決め方が、まずいくつかあってややこしい。僕はとりあえず従量  制を採用しているので、ちょっと紹介してみる。  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  (1) 版面作成(一般にいう表組)   コピーをとって、人さまにお見せするもの。プレゼン資料、企画書等。   A4版以下‥‥3,000円/枚   B4版‥‥‥‥4,000円/枚   A3版‥‥‥‥6,000円/枚  (2) 文字打ち(ベタ打ち)   同一フォーマットで大量の、文章入力。   1円50銭/文字(ページ換算)  (3) 宛て名シール作成   名簿、ハガキの束、ご記帳いただいたノート等から、宛て名シールと一  覧表を作成します。   ex.)〒+住所+会社名+役職名+氏名で、   作成‥‥100円/件   再利用‥‥40円/件   ※郵便番号記入と郵便番号順並べ替えがサービスされます。  ※内容、納期によって変動があります。  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  1990年の正月に一生懸命考えたものの改訂版である。対象顧客は絞っていな  い。パンフレットとしての使用も考えて、他に連絡先、能書き、業務フロー  チャート、使用機種等も書き込んである。レイアウトや用紙にもちょっと凝  ってみた。最初に作ったものでは、A4版の料金が2000円だった。その  後、忙しくなると値上げして調整している。  考え方として、まず想定される仕事の内容を考え、それを分類して最終的に  3種類にした。表組とベタを分けているのは、ベタの場合には枚数換算では  意味がないから。金額については、電話帳で拾った何件かのワープロ屋さん  に電話して料金表を送っていただき、それを参考にしつつ設定した。宛て名  シールの料金は、ソートの手間や保存の手間、印刷料金まで考えての設定で  ある。最後の※がミソになっていて、あくまでも「基準」であることを主張  している。  ちょっと高そうに思えるが、半分ハッタリである。実勢価格では平均2割引  くらいか。やってみたら大変だった仕事で値上げするよりは、あとから値引  きさせていただいた方が、文句が出にくい。    従量制以外に、時給制や、梅棹忠夫氏だったかが提唱された御布施理論(相  手の受ける御利益に比例して報酬が増える)等が考えられる。大量注文専門  で、月間のグロスで処理する(本当のドンブリ勘定)、などというケースも  あるだろう。  時給制は、上達すればするほど損をするシステムなので、お薦めしない。  御布施理論は、例えば折込み広告やDM等を作成するときには利用すべきだ  ろう(要求される精度が高ければ、当然苦労も多いから)。    データ入力(カンマで区切ったりするもの)は扱っていないので、料金表に  も出てこない。やりたい人はその項目も設定すべきだろう。その際には、文  字打ち(文章入力)よりも高めに設定するべきだと思う。テニヲハ等の自然  に入力できる部分がないうえに、入力ミスについてもシビアであるはずだか  ら。  さらに、地域毎にどんなお客さんが多そうか、料金設定はどんなものか等を  考慮する必要もある。    この料金表でやっていると、しばしば「値が高い」と言われる。言われたら、  「原稿を拝見してからお見積もりします」とか「ご予算がおありですか」等  と言っておく。もちろん注文を逃すケースもあるが、それでも頼んでくれる  お客さんもいるので、あまり気にしていない。 01110/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】3.準備篇−2) (17) 93/03/29 14:22 01087へのコメント コメント数:1  3−2)作業フローチャート(流れ図)を作る。  続いて、作業フローチャートを作ってみる。  利点その1:作業の手順を整理して把握できる。  利点その2:こちらと顧客との作業分担、責任分担を明確化できる。  要するに、作業に必要な時間と手間が把握しやすくなるので、見積もり作業  や時間配分が楽になる。また、責任分担を明確にすることで、後々のトラブ  ルを回避しやすくなる。  たとえば、僕の作ったフローチャートには「入力ミスは必ずあります。宜し  くご校閲方お願い申し上げます」とずうずうしく書いてあるので、校正責任  はお客さんに委ねられることになる。  これも、作成したものがあるので紹介する。通信画面上なので少々見づらい  とは思うが、ご容赦願いたい。  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  当方                              顧客                                  企 画                                 ↓   準備等←‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Tel.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ご予約     ←‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Fax.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥原稿作成    ご相談←‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Tel.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥→ご相談   作 成   ↓   印 刷‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Fax.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥→校 正                           ↑   ↓ ↓                           ‥   N Y   修 正←‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Fax.‥‥‥‥‥‥‥‥‥ご修正 ↓     ↓                     ‥     ↓    印 刷‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Fax.‥‥‥‥‥‥‥‥     ↓                                 ↓   ←‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Tel.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥Y←    引渡し‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥持参‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥→                  郵送                  宅急便                  バイク便                  通信 etc.  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  実際には色々なテンプレート(図形)だのキャラクターだのを使っているの  でもう少しわかりやすいが、大筋は理解いただけるだろうか。    初めての顧客の場合には、このフローチャートと料金表をセットにして、と  りあえずファクシミリで送ってしまうことにしている。作業手順を理解して  いただくことと、校正責任がお客さんにあることを納得していただくためで  ある。後に「ここが間違っていたぞ」というようなクレームも多いので、そ  ういう時のための予防線といった意味合いもある。    余談だが、入力ミスがあっても構わない、と僕が考えているわけではない。  減らす努力はしているが、ゼロにはならない、ということだ。また、「どう  せ後校正がどんどん入るであろう原稿」を、逐字的に正確に入力しても意味  がない。それよりは、早めに仕上げた方がお客さんのためでもある。それに、  字送りの統一程度の改変はこちらでやってしまうし、それを「ミス」とみる  かどうかはお客さん次第。 01175/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】3.準備篇−3) (17) 93/04/05 16:27 01110へのコメント コメント数:2  屋号を決めるのを忘れていた(失敬)。勝手に名乗ってしまえばよいので、  各自適当に決めよう。個人名でもかまわないが、大手企業相手では経理上の  問題が発生することがある。また、屋号の方がお客さんが頼みやすい、とい  うこともある。    3−3)その他の準備。  いざ仕事を始めてから困らないだけの準備物件を挙げる。  試算のために概算金額を入れてみたが、あまり気にしないで欲しい。    1.電話の準備をする。   できれば専用回線が1本あると嬉しいが、家庭用でもいいことにしよう。   その場合、日中は屋号を名乗りたいので、ご家族の了解を得ておこう。   「お母さんが商売してるので、昼間は××って名乗るよ」ということにし   ておく。おそば屋さんなんかではよくやっていることで、珍しくも変でも   ないので気にしないこと。  2.銀行口座を作る。   ○通帳          1円〜   ○キャッシュカード    0円   ○判子          300円〜   屋号名義の銀行口座を作る。銀行に行って相談すれば、すぐできる。判子   は自分の名字の三文判で結構。   代金支払はこの口座に入金してもらうことにして、経費(電話代とか、機   材リースとか)をここから引き落とすことにしておくと、確定申告時等に   便利。   僕は、「入金されると自宅のファクシミリに通知してくれる」という銀行   のサービス(1,545円/月)というのも利用している。  3.領収証を準備する。   ○領収証         300円〜   ○収入印紙        600円(200円×3)   現金取引の場合もあるので、用意しておく(判子は、自分の名字の三文判   で結構)。   文房具店で買ってきてもよし、自作でも可。日付と金額、費目がわかれば   よい。収入印紙も用意しておこう(3万円以上の領収証に200円を貼付)。  4.郵送の準備をする。   ○切手          1000円〜   ○封筒          900円〜(各30円×10)   ○郵便番号簿       0円   ○秤           300円〜   ○宅急便の伝票      0円   ○お店の住所シール タダ同然   完成品のお届けや請求書の送付等には郵送も結構使う。   41、62、120、175、210円切手を何枚かずつ買っておく。買ったついでに   郵便番号簿ももらってこよう。   封筒は、定型最大のもの、A4版、B4版のものを何枚かずつ。B5版の   封筒は、A4版で代用している。   秤は、250gまで量れる小さいものが文房具店で300円くらいで買えると思   う。台所に台秤のある人は、それで代用しよう。   最寄りの宅急便集配所の伝票も貰っておく(タダ)。   いちいち自分の住所を書くのは面倒なので、屋号と〒住所、電話番号(と   ファックスナンバーを入れたシールも作っておこう。判子にしてもよいが、   あれは結構高いものなのでそのうち作ることにしておく。  5.紙を買う。   ○コピー用紙       時価   ○ファクシミリロール   時価   B5、A4、B4(、A3)の紙束を2束ずつと、ファックスロール2本、   常備しておく。以前、午前3時に紙がなくなって、泣きながらコンビニに   行って分けてもらったことがある。在庫は切らさないように注意しよう。   ファックスロールについても同じ。   買う場所によって値段が違うので、安いところを探そう。  6.その他の印刷物を用意する。   ○名刺          1000円〜(自作ならタダ同然)   ○ファクシミリ送付表   タダ同然   ○請求書書式       タダ同然   僕の名刺は、ピンク色のレザック(高そうな厚紙)に印刷したものを、定   規を当ててちぎったという信じられないものだが、少なくとも目立つ、と   いう利点はある。各自工夫して作ってみよう(名刺屋さんに頼んでももち   ろん可)。屋号、氏名、連絡先とニフティ等のネットのIDを記入。   ファックスの送付表は、A5横版とB5横版を作る。発信人連絡先、相手   方社名と担当者名、送信枚数が記載できるもの。   請求書は、発行日時、宛て先、費目と担当者名、金額と振込口座がわかる   もの。文房具店で買ってきてもよいが、僕は自作してハードディスク内で   管理している。  7.引き出しか棚か段ボールを1〜2個。   仕掛かり原稿をしまっておく場所、   用紙を(シール等も)置いておく場所、   リボンやトナーを置いておく場所、   だんだん増えるフロッピーのしまい場所、   確定申告の際に必要な領収書の束を放り込んでおく場所、   などを用意する。容積さえ確保できれば、洋服ダンスの一隅でも段ボール   でもかまわない。    ×看板  僕のところの看板は3センチ×5センチのシール1枚をポストに貼っただけ  だが、不便に思ったことはない(近所の仕事をとっていないせいもあるが)。  ×応接セット  仕事場に顧客がやってくることは滅多にないので、そのための準備は特にし  ていない。稀に出張校正にいらっしゃった方には、狭いところでむりやり作  業していただいている。お茶ぐらいは出すが。  ×ファクシミリ専用回線  ファックスは必要だが、専用回線は(あるにこしたことはないが)無くても  なんとかなる。但し、共用にする場合はキャッチホンはキャンセルしておこ  う。  ○招き猫  最近、招き猫を買った。仕事が入らずヒマな時は、招き猫を叱咤激励してい  る。ただの責任転嫁だが、神頼みの嫌いでない人にはお薦めしたい。    ここまでで(用紙と招き猫を除いて)約5000円見当。  やってみたら仕事が来なかったという場合もあるので、なるべく安く安く揃  えるようにしたい。  次回から、もう5000円ほど使って営業を開始する。 01192/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】4.アプローチ篇 (17) 93/04/06 16:22 01175へのコメント コメント数:1  前回までで、料金も仕事の進め方も決めて、電話応対の方法論もできた。仕  事のための道具も揃えた。  あとは仕事さえくればよいのだが、電話に向かって「かかってきなさい」と  言っていてもしかたがない。顧客にこちらの存在を認識していただく必要が  ある。そのための「宣伝」の方法を考えよう。    4−1)対象設定篇  まず、どういうお客さんが欲しいのかを考えてみる。  とりあえずは、下請でやっていた仕事から見当をつけて、自分の得意分野も  考えて選択しよう。そのうえで、  1.こちらに発注できる仕事をもっていて、  2.ワープロにできること(とできないこと)についてある程度理解があり、  3.リピート発注が望めるお客さんである、  といったところだろう。    1.こちらに発注できる仕事をもっていて、   清書して欲しい原稿なり、整理したい名簿なり、明後日プレゼンせねばな   らない企画なりを持っているお客さん。     2.ワープロにできること(とできないこと)についてある程度理解があり、   わけのわからんことを要求するオヤジ、というのがいちばん始末におえな   い。タイプ植字とまちがえて、登記の書式上に印字してくれ等と言ってく   るような方。この手のお客さんはそっとしておいて、むしろお客さんの会   社のワープロで処理しきれなくなったものをこちらでお預かりするという   のが、手順もスムーズだし価値もわかってくれるので好ましい。     3.リピート発注が望めるお客さんである、   何度かの取引を重ねると、お互いに相手の手口や長所、欠点などが見えて   きて、仕事もやりやすくなってくる。1回こっきりのお客さんばかりだと、   そのたびにこちらのやり方を説明しなければならないし、またトラブルも   発生しやすい。頻繁に仕事が発生しそうなお客さんを選びたい。     例えば、喫茶店やレストランなんかのメニュー、などというのは仕事になり  そうに思いがちだが、あれは数年に1回しか更新しないものなのであまりメ  リットは無い。  逆に、近所の学校(の総務とかサークルとか)の仕事がとれれば、うまくす  れば行事の度に何かしら仕事があるわけで、結構おいしいかもしれない。各  自タウンページを繰りながら考えてみよう。    僕は、ちょっと凝った企画書が大好きだったので、広告代理店と経営コンサ  ルタント(後に編集プロダクションも)に狙いをつけた。範囲は、一応都内  であれば(仕事場は新宿区)どこへ行っても電車で1時間なので、特に絞ら  なかった。 01193/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】4.−2)宣伝篇 (17) 93/04/06 16:23 01192へのコメント コメント数:2  さて、宣伝の方法だが、看板、DM、チラシ(ポスト撒き、新聞折込み)、  ファックス流し、電話帳広告、TVスポット等々の媒体が山とある中で、僕  はDMを選んだ。  対象がわりと限られているので、これと思ったところを狙い撃ちしようと思  ったわけだ。ポストにビラを放り込むとかファックスをいきなり送りつけて  しまうという手もあるが、これはお客さんの迷惑になる場合があるので却下  した。ハガキくらいならまあ勘弁していただけるだろう、という魂胆である。    結果から書いてしまうと、僕のところでは100通出して問い合わせが4〜5  件、仕事になるのが1〜2件といったところが平均のように思う。少ないよ  うに思えるだろうが、その1〜2件で何万円か稼げば、十分モトは取れる。  100通分の郵送料は、ハガキサイズなら41円×100=4100円、プラス印刷代。  安いと思えば、安い。  ちなみに、後に冗談で電話帳広告も出しているが、こちらの方はほとんど効  果がないように思える。不動産屋と通販業者と下請希望者からの電話が増え  ただけだった。    4−2)−1.DMを企画する。  その電話帳広告を見て、下請希望者から電話が入る。一様に「御社では在宅  勤務は募集しておられませんでしょうか」と言われるのだが、言ってどうし  ようというのだろう。使用機材、経験、得意分野などがわからなければ返事  のしようがないし、それをいちいち聴いてあげるほど親切な元請業者はまず  いないんじゃないか(それ以前の問題だと思う)。以前に三軒茶屋のOさん  から、封書のDMをいただいた。「御社の下請がしたい」ということと、使  用機材、使用ソフト、経歴がわかりやすく書いてあって、以後時々仕事を手  伝っていただいている。誰に何を求めるのか、そのためには何をすればいい  のかをまず考えて欲しい。    開業時に作ったメモが残っていた。DMの内容検討として、  1)ニーズを喚起したうえで、  2)そのニーズに合った業者であることを訴求し、  3)かつ腕の良い業者であることも訴求する。  とある。大筋この線に沿って、第1回DMを作成した。  手順として、上記の線に沿って訴求したい点をカードに書いて大まかに分類  した後に、採用と不採用を分けるという手順をとったが、そこまで厳密にや  らなくても良かったような気もする。最終的に残した(DMに書いた)のは、  ○顧客の目的に沿って仕事をする、  ○親切である、  ○腕が良い、  ○機材が良い、  ○秘密厳守、  といったあたり。  「速い」「安い」は不採用とした。  キャッチコピーを作り、他に、機材、ソフトと担当者名、連絡先を書いた。  どうせ丁寧には読んでくれないだろうと思い、あまり字が多くならないよう  にして、キャッチコピーと屋号、電話番号をやたらと大きくしておいた。  各自、電話帳広告や折込み広告などから出来の良さそうなものを選んで、そ  れを参考に作ってみよう。    用紙は、紙問屋に行ってハガキ大の紙を買い込み、料金別納(50通から)の  ハンコを線画で作って、宛て先ごと直接印刷した。(プリンタの都合で私製  ハガキにしたが、官制ハガキでもかまわないと思う。)  できあがったら、こちらに送っていただければ、僣越ながら意見など述べさ  せていただく(所番地をPROF.に記載しておく)。 01279/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】4.−2)−2.DMを発送する。 (17) 93/04/12 16:21 01193へのコメント コメント数:2  発送するためには、発送先が必要になる。先に想定した顧客を、各自電話帳  や新聞の求人広告等から選んでみよう。  まず業種を設定してから、100件選んでみる。100件に限定するのは、  発送した後に反省点が出てくることが多いからだ。  電話帳を参考にするなら、例えば近所であるとか、電話帳広告を掲載してい  るとか、社名が面白い、などの理由と勘働きで適当に選んでみる。求人広告  なら、日曜日の新聞の求人欄から適当なものに赤鉛筆でシルシをつけてリス  トアップしてみる。電話帳の方が網羅的だが、たまに倒産した会社に発送し  てしまったり、住所の記載が不備で届かなかったりすることもある。その点  では求人広告の方が確実かもしれない。    選定が済んだら、宛て名書きをしよう。折角ワープロがあるんだから、これ  は手書きではなく機械でやりたい。シールにしても良いし、DMに直接刷っ  てしまっても良いし。郵便番号を入れて、住所は都道府県名から始めるのが  丁寧なような気がするが、如何だろうか。  僕は、「株式会社○○様」という宛て名で出している。部課名が必要な程大  きな会社なら、「株式会社○○総務部御中」等というやり方もあるだろうが、  そんなに気にしなくても構わないと思う。高層ビルの3フロア独占、という  偉そうな会社に「株式会社○○様」で発送したら、ちゃんと仕事になったこ  ともある。  尚、郵便番号の前の〒マークは入れない方が良い、という郵便局のお達しが  あるので注意しよう。    発送するタイミングについては、土曜日に着いてしまわないように注意して、  素直に土曜日に発送している。これだと月曜日か火曜日に到着するので、わ  りと良いタイミングなのではないかと思っている。    発送したら、あとは電話の前で待っていればいい。発送後しばらくは、昼時  以外はなるべく外出は避けよう。折角問い合わせがあっても、留守番電話だ  と切られてしまうことが多い。それから、ご家族にも協力を求めておこう。  昼間の電話には屋号で出ることと、あなたが不在の時は相手の連絡先とお名  前を伺ってメモしておくことをお願いしておくこと。初回の印象は尾を引く  ものなので、ご家族ともども応対を練習しておくことをお薦めする。 01290/01340 PFC02232 前田りび高秋 【営業指南】まとめ(最終回) (17) 93/04/13 17:57 01279へのコメント コメント数:2  最初に話し方から入った連載でした。先ずは顧客の要求を具体化して把握し、  そしてその要求に応えられるかどうかを判断してから受注する、というのが  最初に必要な能力なんだと思い、こういう順序にしました。最後にDMを発  送するのは本末転倒だと思われたかも知れませんが、そういうわけです。    というわけで。  ○顧客に対するスタンスを決めて。  ○料金表とフローチャートを作ることで、自分のやりたいこと、できること   を把握して。  ○DMを出して。  ○待つ。  やるべきことはこれだけです。始めてしまえば、難しいことは何もありませ  ん。くりかえします。難しいことは何もありません。  資格も免許もいりません。資金も、例えば今回の話では初期投資1万円でだ  いたい間に合う線を目標にしました。  他に必要なのは、ちょっとの度胸とやる気です。    いま下請仕事をされていて、たまに徹夜もあるぞ、というあなた。これは、  納期と料金を自分で決められて、自分の仕事に責任が持てて、ついでに単価  も上がるぞ、というおいしい話です。とりあえずダマサレタと思って始めて  みませんか。損のMAX.は1万円です。    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  というわけでおしまいです(今後も気づいた点など時々書き込むかもしれま  せんが)。お付き合い下さった皆さん、ありがとうございました(RES.のコ  メント出し忘れが結構あります。ごめんなさい)。  FLEARNのMES.17(ここ)は毎日巡回していますので、ご意見、ご質問、ご不  満、また何ぞトラブルでもありましたら一声かけていただければ参上します。  お急ぎのときは、PROF.に連絡先をアップしましたので直接連絡でも結構です。  それから、紙媒体〈結〉の方にもこの話を連載することになってますので、  (まだ書いてないけど)そちらも宜しく。 01307/01340 PFC02232 前田りび高秋 その後の【営業指南】1.4年目の現状。 (17) 93/04/16 21:40 01290へのコメント  というわけで90年の正月から自営業者になりました。以下ここだけの話で、  昨年(92年)までの結果を参考までに書いてみます。「シャカリキになっ  て働いた期間」というのがほとんど無いことを前提に読んでみてください。  実際、この3年ちょっとで「仕事で徹夜」したのは2〜3回です。    月間売上は最高が91年10月の270万円(SEとしての売上が200万  円くらい混じってます)、最低は90年正月(始めたばっかり)の0。最近  1年間の最低は、92年11月の2万5千円です(笑)。ちなみに92年の  3月は250万円でした。この百倍というのは何とかしたいものだとも思い  ますが。    年間売上で見ると、  90年:270万円  91年:820万円  92年:916万円  ということになります。一応増えてはいるわけですね。    個別の受注金額でいくと、最低は50円という冗談みたいなのがあります。  最高は、ワープロ文書作成だとマニュアル600ページで90万円というの  が90年4月にありました。友達に手伝ってもらったので、手取りは50万  円くらいだったでしょうか。    もちろんこれ全部が収入というわけではぜんぜんなくて、90年にはこれと  別に人材派遣で稼いだお金もありますし、各年で外注費だけでも結構でてい  ます。確定申告では90年は赤字、91年と92年はちょっとずつ払ってい  ます。なんといいますか、毎日ビールが呑める程度の水準とでも言いましょ  うか。    他に記録というと、出入り禁止処分にしたお客さんが3軒、取引停止処分に  した元請け業者が3軒、わりと頻繁に仕事をくれるお客さんが現在1ダース  程。仕様変更を伴わない納期遅れ(要するに僕の責任による納期遅れ)が1  件(じいさんが入院して死んじゃって、お客さんに泣きついて待って貰いま  した)。  結婚費用の300万円程は何とか自弁できて、新婚旅行に3週間行ってまし  た(これは自営業者の特権)。そのせいかあらずか今は貯金はなくて、6月  末には返済できそうな借金がちょっと考えたくない程度の額、あります。    といった感じです。仕事は面白いし、時間もわりと自由になります。  みなさん、営業しましょうよ。