ディエッサー(マルチバンドコンプレッサー)


 



「歯擦音」という言葉があります。これは、いわゆる「さ行」の発音で空気の音が声に混ざってしまっている状態です。前歯に声が当たっている状態です。そして、この歯擦音を抑えてくれるエフェクトが今回のディエッサーです。このディエッサーという機能はどんな時に使うのかと言うと、マイクでボーカルなどを録音した際に「さ行」の音が耳障りに聞こえることがあります。特にミックスをしているときなどはこの「さ行」の処理に苦労することがあります。もちろん録音時に適正に録音されていれば大丈夫なのですが、マイクに口を近づけ過ぎたりした時などはこれがとても気になります。ボーカルテイクのピークがこの「さ行」に来ていることも良くあり、これを一発で補正してくれる機能がディエッサーであると言うことが出来ます。

そもそも、このディエッサーの仕組みは、周波数帯を指定したコンプレッサーです。このように特定の周波数帯のみにかけるコンプレッサーをマルチバンドコンプレッサーと呼んでいます。通常のコンプレッサーは一つのWAVファイルに(全周波数帯ひっくるめて)かかりますが、このマルチバンドコンプレッサーはさらにそのWAVファイル中の特定の周波数にかけることができるエフェクトであるということです。つまりは、圧縮する必要の無い周波数帯はそのままパス(通過)させ、指定された周波数帯のみ圧縮処理を施します。圧縮処理(コンプ)自体は通常と同様の処理をし、一定値を超えたものを指定された比率で圧縮します。

Samplitudeにはこのマルチバンドコンプが搭載されていて、波形を作り上げていく上でより思い通りの音作りが可能です。ディエッサー機能はマルチバンドコンプの設定画面からプリセットとしてあらかじめ用意されています。

難しい設定をしなくても、このプリセットは結構使える設定になっているので知識はそんなに必要ではありません。もちろん自分の声にあわせ、ディエッサーのプリセット値を変更して別名保存しておくことも出来ます。また、ディエッサーだけに限らず、このマルチバンドコンプは音のニュアンスを変える時など様々な場面での活用が可能です。例えば、自分で録音した音ネタや、テイクの耳障りな個所を見つけて目立たなくするということにも使用できます。イコライジングの補正機能としても使えます。

それにしてもSamplitudeは便利なソフトだなって日々実感してます。マルチトラックやMIDIを扱えるStudio、2496バージョンは波形編集ソフトというカテゴリーには簡単におさまらないトータルなMusic制作にも使えます。ていうか、波形編集ソフトだと思ったことは無いです。変な話、単純に切り張りするだけのときは、他のソフトを使ってます。つまり、Samplitudeって「使い方は貴方次第」って感じなんですね。新規に曲を作り上げていくことも出来るし、古い音源をもとに曲を再構築していくことも出来るし。

と、総括は最終回にとっておいて、今回はここまで。

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