Franco Ambrosetti/The Winners

 on JAZZCRITIC VOL.66

フランコ・アンブロゼッティとティエリー・ラングが残した至福のライヴ!
The Winners / Live at the Dolder Grand Hotel
<S:TCB 20992>
Recorded 20 Apr.2000 at The Dolder Grand Hotel,Zurich
Franco Ambrosetti(tp,flh)
Thierry Lang(p)
Heiri Kaenzig(b)
Peter Schmidlin(ds)
1/Autumn Leaves
2/Invitation
3/In Your Own Sweet Way
4/My Foolish Heart
5/Summertime
6/The Days Of Wine And Roses
7/If I Should Loose You
ストレート・アヘッド派の皆様なら必ず御満足頂ける作品です。
フランコ・アンブロゼッティは、イタリア系スイス人。ブラウニーに影響さ
れながらも、独特の灰汁というか屈折感のある「癖」が、一部のマイナー偏
向主義者に愛され、その足跡は独エンヤ・レーベルに数多く残されているの
は皆様も御存知でしょう。

しかし、人間は年を取るものですなあ。いつのまにか灰汁抜きされ、オーソ
ドックスな「枯れた味わい」を聴かせてくれます。
レーベルは保守的なTCBだし、 ホテルでのライヴという条件、更に尋常では
ないナルシストであるティエリー・ラングとの共演というオマケ付きだった
ので期待せずに聴きはじめたのですが、何と実にいい仕事をしているではあ
りませんか。緊張と緩和のバランスのとれた、滋味溢れるライヴ作品に仕上
がっているのです。

65年のデヴュー作品"A Jazz Portrait Of Franco Ambrosetti<I:Durium>"も
この作品と同じフォーマットなのですが、只の凡人フランコ・ダンドレアが
バッキングを勤めていたため凡作(希少性故に名盤扱い)になってしまいま
した。
しかし、35年後の本作品は、エバンス症候群の重症患者にしてナルシズム
道を極めたラングが、アンブロゼッティを煽る事煽る事。上手い具合にノセ
ているのです。これは、太鼓のピーター・シュミドリンのプレイも評価しな
ければなりませんが、ラングもヤル時はヤルんだと再認識させられた次第で
す。

アンブロゼッティも<1>のソロで顕著なように、 オリジナリティ溢れる解釈
を聴かせてくれており、スタンダード嫌いの私でも思わず膝を叩いてヨガっ
てしまいました。
オーソドックスなジャズを聴きたい時の愛聴盤棚に入れたい作品です。
<28/Dec./2000>

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