STEVE SWALLOW

 on JAZZCRITIC VOL.60

スティーヴ・スワローがロニー・スコッツ・クラブで繰り広げた渋いセッション。
"STEVE SWALLOW / ALWAYS PACK YOUR UNIFORM ON TOP"
(GE:XtraWATT 10 543 506-2)
Recorded live April 1999 at Ronnie Scott's Club,London
Barry Ries(tp)
Chris Potter(ts)
Mick Goodrick(g)
Steve Swallow(b)
Adam Nussbaum(ds)
1/Bend Over Backward
2/Dog With A Bone
3/Misery Loves Company
4/Reinventing The Wheel
5/Feet First
6/La Nostalgia De La Boue

スティーヴ・スワローという人は、その全体像が見えにくい。
今は、カーラ・ブレイのおばはんと夫唱婦随というか夫婦善哉というか、自
由自在な活動を楽しんでいるかのように見えるが、どこか自己表現の捌け口
を求めているのだろう。このディスクは、「彼」のバップ・イディオムが反
映された非常に興味深いストレート・アヘッドなジャズが詰め込まれている。
と、言っても曲者故に直球勝負はしない。聴き手との間合いを充分にとった
アンダー・スローのピッチャーなどと言ったら余計に判りにくいよねえ。

とにかく、面子がいいじゃないですか。ジム・ホール派の渋いミック・グッ
ドリックと若手(1971年シカゴ生まれ)の中でも玄人筋の受けがいいクリス
・ポッターを配してのライヴ。しかも、ロニー・スコット・クラブというロ
ケーションの良さに、あなたも触手が動くでしょう。
しかも、レコーディングを前提としていないかのような、ラフなイントロか
ら<2>でエンジンを始動させ、<3>からジワジワとアクセルを踏み込むという
ライヴ感が実に素晴らしい。
いつものように5弦ベース(ベース・ギター)を気ままに鳴らすスティーヴ
のおっさんが、「ふふ」とほくそ笑む顔が見えてきそうだよなあ。

1996年録音の"Deconstructed(XtraWatt 9)"も同様の路線だったけど、こちら
のほうがお薦め。
個人的にはグッドリックの気取った音色やポッターの軽いブローは好みでは
ない。しかし、スティーヴのおっさんの求める音楽に二人が必要不可欠であ
ることは認めるし、その成果には感心させられる。名盤じゃないけれど、こ
んな癖のあるジャズを聴くのも楽しいもんだよね。
<29/July/2000>

 "Deconstructed(XtraWatt 9)"
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