RICHIE VITALE

 on JAZZCRITIC VOL.61

B級ミュージシャン達によるお気楽セッションとして楽しめるバップの好盤。
RICHIE VITALE QUINTET featuring RALPH LALAMA / SHAKE IT!
(SW:TCB 20452)
Recorded Oct.19&20,1999,NYC
Richie Vitale(fl,tp)
Ralph LaLama(ts)
Tardo Hammer(p)
Philippe Aerts(b)
Taro Okamoto(ds)
1/Shake It!
2/Small World
3/I Belive In You
4/Blame It On My Youth
5/Hara
6/Evol Deklaw Ni-Love Walked In
7/Jive Rhumba
8/I Hadn't AnyoneTill You
9/Silhouette
上手い。とにかく上手い。
でも、それじゃあ、技術を誇示する事が第一義になった表現という意味にお
いて、その辺のアマチュア・ミュジシャンと本質的には変わらないよなあ。
技術の上に「エンターティメント」や「クリエイティヴ」の付加価値を搭載
しているかどうかが、プロとアマチュアの境界線だと考えているのだが、ど
うだろうか。

だから、趣味ではないけれど、岸ミツアキの能天気なまでのエンターティナ
ーぶりには拍手を贈っている。気取りの無い、そして嫌みの無い楽しさは、
彼のオリジナルな才能だし魅力だよなあ。

昔、スタンリー・ジョーダンというギタリストがいた。驚異的なタッピング
プレイは絶賛され時代の寵児となったが、技術だけを聴かせていた彼は1990
年代を迎えることなくメジャー・シーンから消えていった。スタンリーに技
術を越える想像力があれば、どんな音楽を生み出していたのだろう。

このディスクだって1950年代に出されていたなら、相応の評価は受けただろ
うと思う。しかし、彼等が再生しているブルーノートやプレスティッジの厖
大な音源のなかに置いてみれば埋没してしまうのだ。(優れた復刻版を性懲
りもなくピック・アップする理由がここにあるのです。)

最近聴いた山中良之の新譜"GREAT TIME"にも同じような感想を抱いた。悪く
はないが、決定的な要素が欠落しているのだ。新たに録音することへのモチ
ベーションの低さだ。何故、ジュニア・マンスのトリオをバックにしたのか
彼は答えることが出来るのだろうか。プロデューサーなら答えることの出来
る問題としても、昔の山中ならこんなオプションを選択しなかったはずだ。

同時にTCBから発売された"Cojazz featuring Gianni Basso/All those Mel-
odies"などは、こうした批判をする気分にもならない。ジャンニ・バッソの
衰えは無残だ。「枯れる」気もないのだろうし、それはそれで拍手を送りた
いのだが、1歳上のソニー・ロリンズの矍鑠たるプレイを目にした方なら、
その落差に同意して頂けるかもしれない。また、Cojazzの連中が元気なだけ
に余計に哀れさを感じるのだよ。

結論などないけど、「これじゃあ、ブルーノートの1000番台でも聴いておこ
うか」という事になるよなあ。ライヴなんかだと、素直に喜ぶのかもしれな
いけどさあ。

ハードバップおたくの愚痴だな、こりゃあ。

でも、ハードバップ好きとして単純に楽しめたことも記しておきたい。
<4/Sep./2000>





Richie Vitale Quintet / Dreamaville
(TCB 93302)
ファン以外にはお薦めしません。好盤ですが。

Richie Vitale Quintet feat. Ralph Lalama / Live At Smalls
(TCB 96402)
ライヴ盤なので、彼等の魅力が充分に発揮されています。
ハード・バップ・ファン必聴の好盤。


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