MASSIMO URBANI
没後７年目の新作に、全身が打ち震えるような感動を覚えた。 １曲目の｢Lester Leaps In｣から疾走するマッシモ。そのエッジの 立ったフレージング、聴き手の精神を高揚させるハード・ブロー。 凡庸なプレイヤーでは辿り着けない境地が、そこにはある。 マッスイモにかかれば、コール･ポーターの古典｢I LOVE YOU｣もハ ード･バビッシュにスウィングする。そして、ハードであればある ほどセンチメントな感情が伝わってくる。 決して理想的な録音状態ではない。しかし、そうした些細な事は意 味を持たないほどに、マッスイモの遺産は輝いている。 マッスイモは、1993年に没した。 僅か36年という短命の原因はドラッグ。コケインとアルコールだけ が彼を慰め、労り、理解したのだろうか。天才の内面の闇は深く、 常識という枷を拒絶する。 この新譜でも、後半は、前半の失速するかのようなソロが嘘のよう に大人しくなる。リズム・セクションに花をもたせたのか、コケイ ンが切れたのか、その答えも闇のなかにある。 <memo1> このPHILOLOGYというレーベルは、呆れるほどセンスのないアート ワークで知られているが、このマッスイモの新譜は、そうした系譜 に属していない。クレジットをみるとGraphic by Hideaki Kawano とある。こんなところにも、マッスイモを愛する日本人がいるのだ。 <memo2> マッスイモ・ウルバーニに関するサイト紹介 www.geocities.co.jp/MusicHall/1029/music_box/sax.html マッスイモ・ウルバーニ物語 www.geocities.co.jp/MusicHall/1029/music_box/unsung_heroes/urbani.html