JESSE DAVIS
on JAZZCRITIC VOL.47
ジェシー・ディヴィスがイタリアで録音したワン・ホーン・バラード集。
Jesse Davis / second nature
<Concord Jazz CCD 4883-2>
Recorded June 28&29 1999 at Verona,Italy
Jesse Davis(as)
Massio Farao(p)
Massimo Dall'omo(d)
Aldo Zunino(b)
1/On the Sunny Side of the Street - 7:52
2/I've Grown Accustomed to Her Face - 8:34
3/Tommaso - 7:51
4/Coffetto - 8:18
5/Max Teh Mensch - 6:33
6/Marta's Samba - 8:47
7/Only in a Dream - 5:21
8/For Duke - 5:54
9/Second Nature - 6:54
数少ない愛するミュージシャンの新譜に対して、最大限の賛辞を贈
らずして、どうするのかという自問を内包しつつ、ヘヴィー級のボ
クサーがテスト生相手に、 軽いジャブを打ち込んでいるかの如き
「コンコード」ライクな吹き様に軽い失望を覚えた。
しかし、これがバラッド集という今までにない変則的な作品であり、
しかも録音場所がイタリアはヴェロナという仕儀に至っては、得心
せずにはいられない。
怯えた様な表情をした初来日の姿を思い出すと、イタリア人のピア
ノ・トリオとのこのワンホーンセッションは、マエストロの貫録す
ら漂わせる、セルフ・プロデュース作品。
やはり、自作曲がいい。4曲目の「Coffetto」だけでも聴いて頂き
たい。ジェシーは天才なのだ。
Massio Farao(p),Massimo Dall'omo(d),Aldo Zunino(b)の
リズム・セクションも申し分ない。選曲も渋い。
輸入盤専門店では、意外なほどのセールスを記録しているという。
邦盤は、出ない。春は来る。
などと書き連ねてから数週間。幾度となく聞き直す度に愛着の湧く
1枚となりつつあり、「骨太な彼の作品のなかでは繊細すぎる」と
いう評価こそが、このアルバムの価値を表現しうる最適な言語であ
ることを再認識した。
もし店頭で見かけたら即購入されたし。一部ショップでは、異常に
売れているらしい。同時期に発売された渡辺貞夫の新譜などとは、
根本的に志が違う上に、プレイヤーとしてのスキルの違いは一聴瞭
然。アルトのクリエイターとしてマッスイモ・ウルバーニ亡き後、
真にチャーリー・パーカーの後継者たらんことを再度証明してみせ
たと言えば言い過ぎか。