GRANT GREEN

 on JAZZCRITIC VOL.68

グラント・グリーンのブルーノートにおける幻の1stセッション発掘音源!
Grant Green / First Session
<US:Blue Note CDP-7243-5-27548-2>
Recorded 16 Nov.1960 at N.J.(#1-5)
     27 Oct.1961 at N.J.(#6&7)

Grant Green(g)

on 1-5
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers(b)
Philly Joe Jones(ds)
on 6&7
Sonny Clark(p)
Butch Warren(b)
Billy Higgins(ds)
1/He's A Real Gone Guy
2/Seepin'
3/Just Friends
4/Grant's First Stand
5/Sonnymoon For Two
6/Woody 'N' You (take 4)
7/Woody 'N' You (take 7)
ブルーノートにおけるファースト・リーダー・セッションが発掘された。
マスター・テープは残っていないと言われていただけに嬉しいリリースだ。

この発掘音源が発表されるまでは、1961年1月録音の"Grant's First Stand"
がファースト・リーダー・セッションとされてきた。
確かに、1960年11月に、当時のマイルス・ディヴィス・クインテットのリズ
ム・セクションであったウィントン・ケリーとポール・チェンバース、そし
て前メンバーのP.J.ジョーンズを従えてのレコーディングが行われたと
いう記録だけは残っていたが、音源そのものは「破棄」された事になってい
たのだ。

何故、リリースされなかったのか。
内容は、悪くない。しかし、グリーン特有の泥臭いグルーヴ感が希薄なのだ。
初リーダー録音であり、バックが当時の「一流」の方々だった事が、グリー
ンを迷わせたのかもしれない。洗練され過ぎているのだ。

アルフレッド・ライオンは、その違和感を感じとったのではないだろうか。
このセッションには、 件の"Grant's First Stand"と同じタイトルを持った
曲<4>がある。 このことからも、ライオンが同セッションをリリースを前提
に録音したであろう事が伺える。しかし、NGが出されリリースは見送られた。

この結果を踏まえて用意されたのが、ベイビー・フェィス・ウィレットのオ
ルガンとベン・ディクソンのドラムとのトリオによるブルージーなセッショ
ン"Grant's First Stand"だった。 そこには、普段着を着てリラックスする
グリーンがいる。

そうした意味において、本ディスクは、着慣れないスーツを着ながらも、そ
の才能を率直に提示したレコーディングと言える。
<27/Feb./2001>

<memo>
上記した、両セッションは僅か2ヶ月ほどの期間をおいて録音されている。
ファースト・セッションを発売しても評価されただろう。
しかし、アルフレッド・ライオンは、躊躇無くお蔵入りにした。
そのアーティストの資質を見抜き、最良の場を与えるプロデューサーとして
の慧眼と、ビジネスを超越した「良心」に改めて感心させられた。

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