DAVID S.WARE

 ON JAZZCRITIC VOL.52

コルトレーンへのオマージュ、コズミックサウンドの世紀末的展開を示す佳作。
DAVID S.WARE / SURRENDERED
(US:COLUMBIA CK 63816)
Recorded Oct.20&21,1999,NYC

David S.Ware(ts)
Matthew Shipp(p)
William Parker(b)
Guillermo E.Brown(ds)

1/Peace Celestial
2/Sweet Georgia Bright
3/Theme Of Ages
4/Surrendered
5/Glorified Calypso
6/African Drums
ソニー・ロリンズが隠遁生活を送っていた1969年に知りあい、修業生活を共に
過ごし、70年代にはセシル・テイラーのグループに参加し脚光を浴びる。
こうした枕詞的プロフィールなしには、興味を抱く方は少ないのでしょうね。

彼の音は、コルトレーンやアイラーの「妾腹の子」的な影響を確かに引きずっ
ていますが、その内実はフリーキーなトーンは洗練され、ある種のイージー・
リスニングと言っても過言ではないと考えます。メジャー・レーベルのコロン
ビアが送るフリーフォームなスムーズ・ジャズなどと表現したら叱られるかも
しれませんが、ケニー・Gの音よりも美しいことだけは確かです。

この新作は、サウンド的にコルトレーンへのオマージュ。コズミック・サウン
ドのミレニアム・バージョンと言ったところでしょうか。

5曲目のメロディアスな泣き節、6曲目には「My Favorit Things」の幻聴か
と錯覚してしまうイントロなど「聴く」楽しみが横溢。そして、いつもながら
の艶やかでありながら大地をも震わせる太いテナーの音色を確認出来る喜びが
あります。この豊かな音像空間を、一人でも多くの方と共有したいですね。
ブランフォード・マリサリスがアフロ・アメリカンとして唯一残した重要な仕
事としても記憶に留めなければと思っています。

因に、プラケースの形態を利用したデザインワークとしては、実に優れている
ことも付け加えておきましょう。

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