CHICO HAMILTON

 on JAZZCRITIC VOL.60

エリック・ドルフィが冴える名作「エリントン組曲」のオリジナル別テイク復刻盤。
"CHICO HAMILTON WITH ERIC DOLPHY / THE ORIGINAL ELLINGTON SUITE"
(US:Pacific Jazz 7243 5 24567 2 7)
Recorded 22 Aug.1958
Eric Dolphy(as,fl,cl)
Nate Gershman(cello)
John Pisano(g)
Hal Gaylor(b)
Chico Hamilton(ds)
1/In A Mellotone
2/In A Sentimental Mood
3/I'm Just A Lucky So And So
4/Just A-Sittin' And A-Rockin'
5/Everything But You
6/Day Dream
7/I'm Beginning To See The Light
8/Azure
9/It Don't Mean A thing
ドルフィー・ファンにとっては、たまらない復刻だろう。違うかな?

とにかく、この復刻盤の出自はややこしい。
まず、 "Ellington Suite"というディスクは、チコ・ハミルトンが1955年に
結成した初代クィンテットを再結集して1959年初頭に録音した<PJ10108?>が
唯一のものと思われていた。しかし、近年 <1,2,7>のドルフィーを含むレコ
ーディング当時のクィンテットによる録音が発掘され、邦盤CD化の際にも収
録されていた。

そして、後者の全録音を復刻したものが、今回のCDである。
前者はバディ・コレット、ジム・ホール、フレッド・カッツ、カーソン・ス
ミスというメンバー。後者は上記のパーソネルを御覧いただければお判り頂
けるように、天才エリック・ドルフィーがリードを「たおやかに」奏でてい
らっしゃる。両盤を比較するのは愚の骨頂、野暮なことは申しません。

しかし、ブラッシングしか能のない山師チコ・ハミルトンが、何故このレコ
ーディングを反故にして、オリジナル・メンバーで再レコーディングしたの
かが理解出来ない。ドルフィーのデューク・エリントン作品に対する愛情や
その解釈は40年の時空を隔てていても感動的なのだ。オーソドックスなプレ
イにおいても、ドルフィの個性は際立っている。それでいて、総体としての
調整を崩すことない音空間を創りあげているのだ。クラシック・コンプレッ
クスを持つチコ・ハミルトンの歪な審美眼がお蔵入りさせたのだろうか。
違うかな?
<6/Aug./2000>

GENERAL INDEX
RECOMMENDS TOP