BARNEY WILEN
 on JAZZCRITIC VOL.65
 <Jazz in Paris 26>


 original sleeve
バルネ・ウィランが最も熱く、脂が乗りきっていた50年代末の記録
BARNEY WILEN / Jazz sur Seine
(F:Universal/Gitanes 548 317←Philips 77127)
Recorded 13&14 Feb.1958,Paris
Barney Wilen(ts)
Milt Jackson(p)
Percy Heath(b)
Kenny Clarke(ds)
Gana M'Bow(per)
1/Swing 39
2/Vamp
3/Menilmontant
4/John's Groove
5/B.B.B.(Bags Barney blues)
6/Swingin'Parisian Rhythm(Jazz sur Seine)
7/J'ai ta main
8/Nuages
9/La route enchante
10/Que reste-t-il de nos amours
11/Minor Swing
12/Epistrophy

バルネ・ウィランが最も熱く、脂が乗りきっていた50年代末の記録。
この時代のバルネに凡作はないと言いきってしまっても誰も文句は言わない
だろう。

バルネといえば仏RCA盤の"barney" が代表作であり、私の愛聴盤でもあるの
だが、このディスクに刻まれた「ソニー・ロリンズへの憧憬」とでもいうべ
き吹きっぷりは決して無視出来ないものだ。コンサバティヴなファンの方に
は、 MJQのメムバーが参加し、ミルト・ジャクソンが珍しくピアノを弾いて
いる(ジョン・ルイスよりいいゾ)という興味もあるだろう。

60年代から無意味なフリーへの接近を試みて、その結果心身ともに傷つき
80年代からは、スタンダード馬鹿大将を演じたことにより、心あるジャズ
ファンの失笑を買うことになるバルネだが、この時代のスリリングなスイン
グ感と仏蘭西白人としては希有な太い音色には圧倒される。
マイルスが、その能力を認め「死刑台のエレベーター」の録音にピック・ア
ップしたのも頷ける話しだ。

欧州人のジャズ解釈の限界性というものがあるとすれば、この時代のバルネ
は確実にレッドゾーンを越えた音を出していた。記録された遺物でしか確認
できないが1997年に復刻された"barney( F:74321454092)""More from barn-
ey at The Club Saint Germain(F:74321544222)"を聴くだけで、その力量を
認識することが可能だ。

上記の2枚に比べれば、このディスクは散漫かもしれない。
しかし、アルバム・タイトルにあるようにパリジャンだけが持つ垢抜けた、
それでいて鋭角的トーンは一聴に値する。
<29/Nov./2000>

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