Paul & Linda McCartney / Ram <1971> |
おすすめ度★★★★ |
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散々の評価に終わった1stアルバムから再起をかけて奥さんと一緒に作り上げた実質ソロ2作目。 写真家だった嫁さんとアルバムを作ってしまおうなんて考えは、Johnへの真似?憧れ?いやそれともBeatlesという世界で最も影響力を持ったバンドの中心メンバーだった彼らが、ソロとして再びRock界で自身を表現できる唯一方法だったのかもしれない。 本作はそんなPaulの心境が反映されたかのような家庭的で手作り的なサウンドと、ごくごくパーソナルな感情が溢れんばかりに詰め込まれた素晴らしき小品集だったが、Beatlesという余りに巨大な存在の前に見事に踏み潰さてしまった不運の名盤である。 余りに大きかった自身のバンドの存在感を前にしての「生っ粋のメロディマイカー」の苦悩と開き直りが豊かに刻まれている。 内容の方は前述の通りPaulの築いた家庭の暖かさが伝わってくる様な味わい深い作品となっており、手作りな作風から香る遊び心一杯の楽曲達、そして一人で歌わすととても上手いとは言い難いLindaのヴォーカルもPaulとの相性ピッタリに響く。 その一方で、Johnへの当てつけとも取れる歌詞の曲をオープニングから立て続けに4曲も並べる辺りもPaulらしい...ここらの強気で、利己的で、言い出したら止まらないPaulもまた、好きなんだな。 個人的にはいつまで経っても離したくないような大切な1枚。僕はこれを聴いてから、Wingsへの怒涛の傾倒が始まった。 BeatlesファンでありながらPaulのソロは聴いた事がないって人の、「Paulソロ、踏み絵アルバム」ってところか。これが気に入れば、Paulをどこまでも追いかけても大丈夫でしょう!
〜特にお気に入りな曲達〜 Too Many Peopleはシンプルなアレンジながら様々なアイデアが散りばめられたナンバー。最後まで飽きさせない進行はPaulの独壇場だ。若々しいPaulとLindaの声が曲の雰囲気にピッタリだ。 3 Legsは一転Paul流ブルースでLindaのやる気の無いハーモニーも曲を盛り上げる。七変化なPaulの声が充分に満喫できる。 華麗なピアノとカウントの後のRam Onのウクレレの音色は永遠でしょう。Paulのセンス爆発のPopなナンバーで、ウクレレを用いた遊び心が何とも言えない魅力を放っている。 ちなみにOff The Ground時の「New World Tour」ではオープニングのフィルムの最後にこの曲のイントロを使用していたのには感動した。自身も気に入ってるのでしょうねぇ。 得意のメドレー式で固めたUncle Albert / Admiral Halseyも名曲。BeatlesのYellow Submarineにも通じるアイデア一杯のナンバー。楽しそうにレコーディングしているPaulが目に浮かぶ。Paulの歌声にうっとり.....である。 アルバム中、最もお気に入りがHeart Of The Countryだ。田舎道を休日にドライヴするには持ってこいの曲。Paulナンバーの独特の楽しさが伝わってくる。 逆にアルバム中、最も奇妙なのがMonkberry Moon Delightだ。時々やるクレイジーなアレンジはBeatles時代から匂っていたが、ここまでモロにやったのは初めてだろう。でも、なぜかノリノリで聴いてしまう魔力を持っている。気持ちワル! この奇妙な曲の後に最も楽観的でPopなEat At Homeを持ってくるのが、いかにもPaulらしい。ここでもオンチ気味のLindaのハーモニーが絶妙。間奏のギターはちょっとKinksみたいだ。 Long Haired LadyもPaulの楽曲アレンジのセンスが突出したPopソング。健やかなPaulのヴォーカルと様々なタイプのリズムが溶け込んだ様なアレンジが何とも魅力的。素晴らしい。 ラストのThe Back Seat Of My Carは、メロディアスなイントロからのドラマチックな展開が素晴らしいアルバム中のハイライトだ。ここらの曲の展開はPaulの最大の魅力だなぁ。
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Paul一家の牧場風景.... |
(2002.2.3 再更新)
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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
John Lenoon / Imagine
ここでのPaulからのメッセージに対してのJohnのAnswer Song付き