The
Brian Setzer Orchestra / |
おすすめ度★★★★★ |
||
カッチョイイBrianが帰ってきた!CD屋で「お..」と不意に輸入盤を見つけ、何気に手に入れた本作の興奮の第一印象がこれだ。久しぶりに事前情報なしで徹底的に聴き込み、自らの賞賛の後から世間の評判が付いて来たというアルバムだった。やぁ、もう発売して5年くらい経っているんだなぁ。 本作はStray Catsを解散させたBrianが地道に活動を続けていたビッグバンドスタイルプロジェクトの3作目。1stで聴かれた落ち着いた佇まいも結構お気に入りだったのだが、ココに来ての打って変わったような徹底したBoogieスタイルがとにかくご機嫌だ。 往年のスタンダードナンバーに混じって自らのご機嫌オリジナルナンバーと、好調を示すかのようにStray Cats時代のヒット曲8をビッグバンドスタイルでカバーするサービス振り。 本作でグラミーまで獲得したBrianは見事に再び第一線に復帰。一気にニュースィングとも称されたスタイルの旗手役となった。最近我が国でも流行りかけた昭和初期系のスタンダードスィングの流れの源流にも本作は確実に関わっていることだろう。 んがそこで一筋縄でいかないのが彼の真骨頂といったところで、ビッグバンドスィングというのがあくまで構成での話であり、その中身は明らかにBrianそのものであるハードなRockabilley Boogieで覆われている事実が本作の魅力を最も端的に表している。 そしてそれがアルバムの後半になるにつれ徐々に本当に往年のビッグバンドスィングスタイルに変貌していく様が何とも自然で、魅力的。 Stray Cats時代からシュープリームスのCan't Hurry Loveをカヴァーする等、本当にRockabilleyナンバーしか演奏しない他のネオロカバンドとは一味違った印象だったBrianの音楽的な懐の深さというのを見せ付けているといって良いだろう。やっぱりこれが彼の最大の魅力だ。 本作の成功を期に再び勢いを取り戻したBrianは、現在も積極的な音楽活動を展開中。ツアーにアルバムにと自らのソロプロジェクトも含めて依然絶好調であるのが何よりも嬉しい。素晴らしいアーティストの見事なカムバックに乾杯だ!
〜特にお気に入りな曲達〜 アルバムはタイトル通りのスタイルでThis Cat's On A Hot Tin Roofで見事に幕を開ける。まさにBrianが培ってきたロカビリースタイルのBoogieとビッグバンドの融合。彼のOrchestraの魅力がいきなり爆発する最高のオープニングナンバーだ。 ウッドベースの響きだけになるブレイクからワイルドなロカビリーギターまで、最高の仕上がり。体を動かさずにはいられない。 そして前曲の勢いもそのままに始まるタイトルナンバーThe Dirty Boogieも最高にご機嫌。コーラスやホーン隊の飛び跳ねるような演奏振りも最高の出来だ。 こちらはStray Catsを想わす完全にロカビリースタイルのThis Old House。往年のロカビリーファンも飛び上がるとびきりご機嫌なナンバーだ。後ろのビッグバンドの連中がみんなで付けてるようなコーラスもとにかくご機嫌。あぁ、もう腹八分ですぜ。 Brianの勢いはまだ止まらない。Let's Live It Upだ。幾分落ち着いたかのようなCoolな演奏振りが魅力のロカビリーナンバーだ。ココでも彼の見事なギターワークと良い感じで青さの残るヴォーカルが魅力爆発。たまりません。 続くは一休みといった感じで挟まれるSleepwalk。往年のロカビリーヒーローのヒット曲として有名でRock界でも伝承的な印象を持つこの曲を、彼はしっとりとしたアレンジで聴かせる。アルバム中の立ち位置も含めて、ナイスな選曲。密かに彼のセンスの良さを示す。 そしてまるでB面のオープニングのように始まるJump Jive An' Wailもご機嫌。女性コーラスも絡んできて再び勢いを取り戻したOrchestraのワイルドな演奏が堪能できる。ご機嫌ご機嫌。 こちらはリードまで譲っているゲストヴォーカルのGwen Stefaniさん(誰?)が活躍するYou're The Bossも魅力的なトラック。ムーディな雰囲気の中を浮遊する二人のヴォーカルが何とも心地良い。 Rock This Townは言わずと知れたStray Catsの初期最大のヒット曲だ。印象的なリフまでホーン隊に任せながら展開するビッグバンド版Stray Catsに終始顔の緩みが取れてこない。 Brianがヴォーカリストとしての魅力を聴かせるSince I Don't Have Youもハズせないナンバー。個人的にはこの青いBrianのヴォーカルってのが好きなので本当に聴き入っちゃうトラックですね。途中のファルセットも最高なんだよね。 流れるような演奏の中を伸び伸びと歌いきるNosey Joeも個人的なお気に入りナンバー。この辺からラストにかけて並ぶビッグバンドスタイルなトラックもまた良しなんですよ。 先に記述した我が国でのブームが起こり掛けたときに明らかに僕の脳裏にフラッシュバックしたのがHollywood Nocturneだった。こちらはどっちかと言うと60年代のスパイ映画のタイトル曲っぽい印象が強い。ラジオから流れてくるかのようなコモったヴォーカルも雰囲気をよく出している。好きなんでしょうね、こういう世界も。 ラストは華麗にAs Long As I'm Singin'。まさにエンターティメントな世界を再現したかのようなラストシーンに、心の躍動が止まらない。更に最後にはTequilaのリフまで飛び出す始末。彼の音楽に対する愛情が溢れているラストナンバーではないかと思いますね。
|
1 .This Cat's On A Hot Tin Roof
彼の音楽的ルーツは本当に それが奏でる音楽の色んな所から Brianの最大の魅力がそれだ。 |
(2003.7.25 更新)
〜関連映像作品の簡単な紹介〜
The Brian Setzer Orchestra / Live In Japan
4作目発表後に行われたJapanツアーの様子を
タップリと見せ付ける彼らの決定盤Live DVD。
3作目発表後のツアーでは後ろのテープが付けていた女性コーラスも
今回のツアーには二人も帯同。途中にソロでStray Cats時代のバラードを聴かせたり
トリオでの演奏で久々にシンプルなロカビリーを披露するなど
まさに彼の好調ぶりを見せ付けた最高の映像が詰まっている。
バックのホーン隊の楽しげな様子や女性コーラス隊のSexyな振り付けも
含めてまさに徹底したエンターティメントな世界が堪能できる。
見所はビッグバンドでのご機嫌な演奏振りも勿論の事ながら
途中に挟まれるソロとトリオでの演奏が出色。
特にソロでの素晴らしい演奏からトリオに切り替わる展開には
ライヴならでは楽しい瞬間を味わうこと出来る。
ボーナストラックにはBrian自らのインタビューも含めた
ツアードキュメンタリーも収録。DVDには珍しく中にはツアーフォトを含めたノーツや
日本によるオリジナルノーツもパックされている丁寧な作り。
これは素晴らしいソフトですよ!
〜Brian Setzerが影響を受けたと思われるアルバム〜
(あくまで森の中で!)
The Rolling Stones / Somegirls(工事中)
逆にStones側がStray Catsを気に入っていたという感じも
Paul McCartney / Run Devil Run(工事中)
意外とPaulとセンスという面では共通点ありだと思う。今だからこそ二人の共演を望む。