Eric
Clapton / |
おすすめ度★★★★☆ |
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復活アルバムのヒットとそれに伴う盛況なツアーにより徐々に手応えを感じ始めていたClaptonが、当時の彼の憧れの地ジャマイカに出向いて制作された復活後の2ndアルバム。 前作で聴かれたレゲェ的要素を、更にブルース〜ゴスペルといったルーツミュージックに深く浸透させたような世界が素晴らしく、それによって発生するレイドバックな空気も心地良い。 バックメンバーも前作とほぼ同じで、コーラスにMarcy Levyが加わっている程度。終始安定している演奏の中で自由に歌い、ギターを弾くClaptonの姿が目に浮かぶ。 本作の魅力は何と言ってもアルバム全体を通した味わい深さであり、ヒット性のある楽曲が皆無であるところ。 様々なナンバーを本作独特の手法で料理していく前半部分と、それに触発されてポップに響くClaptonナンバーが並ぶ後半部分までドップリ浸かれる最高の一枚。 60年代からのギターヒーローとしての重荷をファンから背負わされながらも、タイトル通り「人それぞれさ」っと軽くかわして自分の信じる道を進む彼の密かな決意が込められた名盤である。 ちなみに9はDominos時代にも2ndアルバム用の楽曲として録音済みのナンバーであった。Carl Radleによって掘り起こされたのだろうか?これがまた素晴らしくアルバムに溶け込んでいる。 また前年に続いて行われた75年のツアーにおいてはオープニングにSantanaを起用、自身のステージにおいても毎回の様に共演していた様子である。 更に1曲目にLaylaを持ってきたことによりこの年のステージは自然とオープニングから気合が入っていたご様子で、往年のDominosを思わすグルーヴの存在する素晴らしいステージが展開されたようだ。 この時の音源の正規盤ってのも聴いてみたいんだけどなぁ。
〜特にお気に入りな曲達〜 オープニングはWe've Been Told (Jesus Is Coming Soon)だ。カントリーブルース的なナンバーをゴスペルチックに、まるでジャマイカの民族音楽の様にアレンジしたセンスが光り、Claptonであろうドブロの響きも楽曲によく溶け込んでいる。 ちょっと地味だけど、なかなか味のあるオープニングである。 同時代のJim ByfieldのカヴァーであるLittle Rachelは、ジャイヴ的なリズムに乗って、終始絡まりながら進んで行く二人のギターサウンドが最高のナンバー。こういったCoolなギターサウンドは好きだなぁ... Elmore JamesのナンバーであるThe Sky Is Cryingも、本作にかかればルーズにダラダラとカヴァーされてしまう。聴き所はやはり間奏におけるClaptonのスライドギターと、脇で転がるピアノといったところ。 再び同時代のShelter組のカヴァーとなるSingin' The Bluesがまたナイスなナンバー。アップテンポなレゲェリズムに乗って一気に駆け抜ける爽快感は最高だ。 Marcyのヴォーカルも光りまくり、後半部分のアドリブ的な展開も鳥肌モンである。何でそこでフェイドアウトなの....っていつも思うなぁ。 続くBetter Make It Through Todayは74年の初来日公演の際に、既に披露されていたというアコースティックな名曲。 スローブルース的なナンバーであるにも関らず、フワフワした浮遊感の様なものを感じるアレンジが素晴らしい。本作の個人的なハイライトである。 Clapton作のPretty Blue Eyesもお気に入りのナンバー。ジャマイカの空気を運んでくるかのようなポップな仕上がりが、いつ聴いても心を和ませてくれる。やはりポップ体質なClptonも好きだな。 続くHighもアコギのカッティングから入っていく世界が開放感いっぱいに広がるナンバー。途中のブレイクからの展開がPaul McCartneyっぽいです。(Band On The Runに入ってるみたい) ラストのOppositesも和やかに進む、心地良いナンバー。最後の最後まで地味ぃ〜に終わっていくこんなアルバムをバリバリのロックスターが堂々と発表できたあの時代が羨ましいですなぁ....っと改めて思ってみたりします。
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1 . We've Been Told
75年も継続して |
(2000.7.2 更新)
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