《語り芝居と音楽の物語Vol.3》
音楽物語
『オトナ電話相談室〜ミッドナイト・ドリーム〜
制作日記


松本ひろ実


6/1(日)

「オトナ電話相談室」…
このタイトルだけで、あなたはもう心がワクワクしちゃう人ですか?
ムフフ…
でも、ご期待に添えるかどうかわかりませんが
この後に〜ミッドナイト・ドリーム〜と続くのです。
このタイトルの意味は全てが終わった後におわかりいただけるはず。

チラシもようやく出来上がりました。シブイですよ、カッコイイですよ!
一体なんでこんなストーリーを思いついたのか、
今では覚えていないのですが、
とにかく主役のDJ&ミュージシャン「一ノ瀬リョウ」に惚れこんでしまいました。
この名前もネ、すんなり決まったんです。これしかないと思いました。

明日は役者の初顔合わせ、本読みの日です。
台本だけで、どこまで私の中のストーリーが伝わったのか
恐いけど楽しみです。

さて、「オトナ電話相談室〜ミッドナイト・ドリーム」制作日記の始まりです!

6/13(金)

毎回思うことですけれど、なぜにこんなに毎日があっという間に過ぎ去ってしまうのでしょうね。
「制作日記」を書くゾ! と思い立って、「明日は本読み…」などと言ってから もう何日が過ぎたのか。
リハーサルもずい分進んで来ました。昨日は半分くらい出来上がった曲を入れてのケイコでした。
なかなかカッコイイですよ。
芝居の方も オトナのドラマに仕上がっています。 本物のラジオ番組かと思っちゃいます。
ワクワクしますねェ。
リョウとプロデューサー・ヤマザキも、ぴったり役にはまっています。キョーコはぶっとんでる…
きっと リョウに惚れちゃいますよ 皆さんも。
作曲家さんは大変です。昨日リハを見学に来ました。
新曲を流しながらのリハで、曲が流れると芝居にも熱がこもります。「オッ、いいねェ…」という感じ。
一曲だけ ハズしたのがありました。
みんなの視線が作曲家さんに集まりました。
「ハイ、わかってますよ!」
そう、大爆笑になるのです。楽しいですねェ。
これが 1から作る良さです。
さて、次回の新曲はどんなものが出てくるやら…

6/20(金)

リハはだいぶ進んで来ました。
先日は1回目の役者、音楽合同リハがありました。
生であわせると これがまた、更にカッコイイのです。
TVドラマの様なノリ…  ダイナミックなサウンドです。そして泣かせます。

<昨日の役者リハの休けい中の1コマ>
キョーコ  :29日のリハの日は、1時までに○○に行かなくちゃならないんですー。
岡(リョウ) :えっ? それならオレの<バイク>で送ってあげようか?
キョーコ  :えっ? そんな…そんな… あこがれのリョウさんのバイクなんて…(ムフフ)
岡(リョウ) :あ! オレにはさわらないでネ。
        バイクにしがみついているように!
キョーコ  :えっ? そんなあー。 なんてつれない……(ガクッ!)
ヤマザキ&マツモト:(ククク…)

現実なのかドラマの中なのか、まるでわからない2人のやりとりです。
キョーコの恋は果たしてどんな結末を迎えるのやら…

稽古にもいよいよ熱がこもります。でもお願いだから、話をドンドン脱線させないでネ。
それでは、この3人のチームワークに、ご期待下さい!!

6/27(金)

早いものでもう6月も終わりますね 早すぎる…
リハもだいぶ進んで来ました。
そろそろ衣装のこととか、実際に舞台上で使う小道具とか、
曲に合わせての照明のタイミングなどを考え出し、
それらしくなってきました。ウムウム。

あとは番組の中に入れるCM作り…
今、これに悩んでいます。
初めは、思いっきりギャグにしちゃおうかと思ったんですけど、
そこだけ浮きそうな感じになって来ちゃった。
困ったな…

電話の声の編集もある。
それとスタッフTシャツ作り。
おっと招待状書きもまだ終わってないし…
どーするんだい?
当日のスタッフの手配もまだだったな。
この辺を6/30〜7/1の合宿までには終わらせとかないと!
「え?合宿なんかするの?」って?
モチロンですよ。プロ“M”の合宿は恒例です。
こんな忙しい最中に 合宿用のお酒とおつまみだけは
しっかり買い出ししてる我々って何?
あっ、でも、お酒は女性陣の方が圧倒的に強いです。
そして、暴れるのはモチロン、キョーコちゃんです。

7/7(月)
合宿、6/30〜7/1。なかなか練習は思うように進まない。
22時ギリギリまでリハを行い、急いで入浴を済ませ
男部屋でミーティング…のはずもなく、そのままお酒が入るおしゃべり会へと突入。
でも、これはとてもおもしろかった。
全員が既婚者というめずらしいメンバー構成。
しかも、そのパターンは様々…
音楽の話、演劇の話、夫婦とは?子供とは?仕事とは?社会とは?
その1つ1つが今回の作品のテーマでもあり、全て人に共通の悩み。
連日の疲れもあって、まずは作曲担当の松本氏が倒れ、次にキョーコ、
3時ごろにFlの村松さんが抜け、私と岡氏、山崎氏は4時30分まで話し込んだ。
空はとっくに明るい。
「そろそろ、ちょっと横になっときますか?」
2日目も21:00ギリギリまでの練習だった。

7/3(木)はエフエム多摩に岡氏と山崎氏と3人で出演。
30分の生放送は楽しかった。
ラジオ局って、そうそう、こんな感じよねーと思いつつ、観察することしきり。
7/4(金)はサンシティと北とぴあの打ち合わせ。
この日は、北ケーブルテレビに録画・放送依頼をしておいたのに、担当者のミスで
それがボツになったことがわかり、北とぴあに行ったら1Fのぴあカウンターに
ポスターが貼っていない。どうやら、ここの担当者が貼りわすれてどこかへやってしまった
らしいとのこと。
朝からいろいろな不手際が続き、不満は最高潮に達した。

今日7/7(月)は午前中にかわさきFMの生放送、これは岡氏と2人で。

それ以外にも飛び飛びに入るリハと、その合間を縫って岐阜だ栃木だと
レッスンに出かけ、都内でもいつものお教室、息つく間もなく、受付の準備まで
手が回らないよ!
ほんとにもうあさって、いや、日にちが変わったので明日が初日なんて信じられない!!

7月10日(木)

終わってしまった…
いろいろと失敗はある。それでも 心地良い満足感だった。
限られた時間の中で作りあげるものには限界がある。
1人で出来ることにも限界はある。
どんなに練習を積んだとしても、本番その1回きりの流れに
どれだけ自分を出せるかが大切なのだ。
そういった意味では、心地良い空間だった。
お客様の真剣なまなざしが舞台の集中力を高めてくれた。
1つ1つのエピソードに、役者の独白に、曲の1つ1つに
うなづいたり、目をとじたり、じっと聴き入ったり…
同じ時間と空間を共有している実感がひしひしと感じられた。
ただのお芝居ではない。1人1人の心の叫びとして
見る人の心に届いたであろう我々のメッセージ。
「我々もきっとわかりあえるはず…」

ご来場いただきましてありがとうございました。
頂いた貴重なご意見は、13日の公演に、そして
これからの「プロ“M”」の作品作りに必ず生かしていこうと思います。
まだ「プロ“M”」をご覧になっていらっしゃらない方は
どうぞ13日にいらして下さい。
役者、音楽家、音響、照明、デザイナーが1つのチームとして
創りあげたかった「メッセージ」がここにあります。
お待ちしています。


7月17日(木)

「オトナ電話相談室」とは一体何だったのか?
架空のミュージシャンでDJの<一ノ瀬リョウ>という人間を通して、
まだオトナになりきれない若者の、あるいは、あまりにオトナすぎる人々の
悩みや、苦しみや、いらだちを書いてみたかった。
そして、何よりも、リョウ自身の心の成長記録として、
たくさんの人との関わりを描いてみたかった。
初めは手紙やメール、FAX、そんな文字だけで寄せられる一方的な投書だった。
それに一方的に勝手にリョウが答えるだけだった。
でも、そこに、放送最後の日に、電話を入れることで流れが変わった。
『自分の思いはちゃんと言葉にしよう』 電話はほんのきっかけにすぎない。
『本当に大切なのは向かい合って話し合うことなんだ。
わかり合うことなんだよ』
リョウ自身が自分に言い聞かせていた。別れた妻に、愛する妻に向かって…
そして、「ミッドナイト・ドリーム」はかなうのだ。
午前0時の時報と共に元妻からも『もう一度わかり合いたい』との電話が入る。
全ての人に「ミッドナイト・ドリーム」は訪れる。
さあ、今こそ伝えよう、自分の思いを、一番大切な人に。
『ありがとうでも、ごめんねでも、愛してるでもいいんだ!!』
私たちは、きっとわかり合えるはず…

ご来場いただきました皆様、関係者の皆様、本当にありがとうございました。
貴重なご意見、ご感想をたくさんいただきました。
予想をはるかに越える、共感のメッセージに、関係者一同、
この作品を産みだすことが出来て本当によかったと思っています。
またいつか、どこかで、この作品が再演でき、多くの皆様の心に届くことを祈っております。