<詩とオブジェと音楽によるコンサート Vol.1> 『空に小鳥がいなくなった日』 に寄せて

目には見えない「言葉」がある。ただ黙って存在するだけの「オブジェ」がある。
たった一つの響き、それだけでは何の意味も与えられない「音」がある。
しかし、それらを組み合わせた時、何か大きな、とてつもなく大きな魂までも
揺さぶれるものが創り出せないかと、ずっと考えていた。
そんな時、谷川俊太郎氏の詩集『空に小鳥がいなくなった日』に出会った。それは、
図書館の棚に並べられていただけだったのだが、私に語りかけているような気がした。 
 『空に小鳥がいなくなった日』
そのタイトルに、もうすでに心がひきつけられていた……。

あの日から約8ヶ月、1つの舞台に向けて突っ走っていた。  「詩」と「オブジェ」と「音楽」
もちろん、それ単独でも明確なメッセージを伝えることの出来る立派な芸術だ。
しかし、この企画には、初めの構想以上の多くの仲間が賛同してくれた。
ただの1演奏者にすぎない自分が、更に照明・音響・衣装・メイク・デザイン、
そして、この風変わりな企画に快く関わってくれる演奏仲間と共に、
新しい舞台を創り上げられる喜びを充分に噛みしめている。
この舞台で「生きる、とは何ですか?」というメッセージを少しでも感じていただけたら、成功だと思う……。

 企画・構成  松本 ひろ実   2000年12月2日


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12月2日(土)  12月24日(日) 12月31日(日)  

1月7日(日) 1月24日(水) 2月2日(金)最終話


2月2日(金)<最終話>

ついに1月28日、益子の公演も終了した。気合いを入れすぎて前日から体調を崩した自分が情けない。
しかも、今だ回復せず、5日で4kgもやせた。(これは嬉しくもあるが・・・)
しかし、公演自体は大成功だった。
東京公演よりもはるかにこなれて、自由に、上手くなっていた。オカリナとの相性もぴったりだった。 深みが増した。
ステージがかなり大きなことは実は不安だった。 天井も非常に高い。反響板も使わず、セッティングの関係で、後方寄りに
配置された楽器群の音は、とうてい客席には飛ばないとホール関係者からおどかされていたからだ。
そんなことはない。東京ではキツキツに見えたオブジェの配置も、我々の音も、新しく加えられた照明も、そして1人1人が
実にはまって見えた。あっという間に時間が通り過ぎた。
強烈な谷川俊太郎のことばの1つ1つと、見事にからんだ舞台が心に突き刺さった。
あとには、「生きる・・・とは何ですか?」の答えとして、「希望」のメッセージが浮かび上がったはずだ。
今も、詩の断片が、音楽のフレーズの1つが、不思議なオブジェが、時折フラッシュバックする。

10ヶ月にも及ぶ長い期間が過ぎ去ったが、「生きる」ことの意味を考え、「必要」なものだけを信じ、
「人間とは何か」を問い続ける日々はきっとまだ終わらない。


1月24日(水)

嵐のような毎日が過ぎ去っていった。気が付いたら東京公演が終わってしまっていた。
(公演にお越し下さった皆様、ありがとうございます。)
まだまだ練り不足、練習不足であったことは否めない。ほとんど時間切れのゲネプロ状態で本番に突入した感じだった。
本番で初めてオブジェ、衣装、メイク、照明を加えて通したところだった。しかし、各自の感性は、音楽の流れと共に自由に
動きだしていった。
ある種計算された、ある種即興的な不思議な空間だった。演奏しながら谷川氏の詩の1つ1つが心に突き刺さっていくのが解った。

昨日、反省会及び益子公演のためのリハーサルを行った。リハの最初からみんなが違っていた。
東京公演を終わって、本当の意味で全員がこの企画の意味を完全に理解した。
音の1つ1つが今までとは比べものにならないくらい輝いていた。「くやしいね!」「これが前日だったら・・・」
でも、1つの公演を終えたからこそ解るものもある。だからこそ、やる価値があるのだ。
あと1回。益子では完全燃焼したい。

「生きる、とは何ですか?」の答えを見つけてもらうために・・・


1月7日(日)

あけましておめでとうございます
いよいよ21世紀を迎えましたね、小学生の頃、21世紀なんて遠い未来のことだと思っていました。
その当時は、21世紀を迎える頃には自分は一体、どんな大人になっているんだろうか、
と想像もつかなかったのですが、いざその時を迎えてみると、大した大人になっていない自分に・・・
いや、日々「生きる」をテーマに生きている分だけすごいかもしれない、と勝手に自分をなぐさめています。

東京公演まであと10日余り。昨日の益子でオブジェの篠崎氏と打ち合わせをしていました。

そうそう、衣装も彼が作るのです。どんなことになるのやら・・・

益子も盛り上がっていますよ!!


12月31日(日)

今世紀もいよいよ終わりです。合宿も無事、楽しく終わりました。
いやー、盛り上がりました。
オブジェやオカリナの方々(益子組と我々は呼んでいる)にも参加していただき、
照明、音響も加わりましたので、ようやく、全ての流れがつかめたわけです。
もちろん、私の頭の中には前からあったものなのですが、
いざ、全員でそのイメージを出し合ってみると、ウヒャヒャ・・・すごいぞ!ということになります。
ゾクゾクしますねえ・・・

ところで、話は全く変わって、
この年末年始というのは盛り上がっているんでしょうか?
我が家の周りは毎日毎日が実に静かで、今日だっていつもと変わらず過ぎており、
そんな訳で、さっぱり年末モードにならない私にとっては、
100枚買った年賀状は全く手をつけずに机の上に放ったままだし、
新聞などに宣伝をうったはずの「小鳥」の記事は、年末特集やら休刊で、新聞社の方々には
どこかに捨て去られてしまった様だし・・・
友人、知人に出したはずの案内文も、いまだに半分終わったか−?というところです。
「じゃあ、おまえは一体何をしているんだ??」と言われそうですねエ。
イヤイヤ、何だか連日、コンサートやら、各種のリハーサルやら、生徒にレッスンやらで、その上、
合宿等、大変だったのです。決してサボっていたわけじゃありません。(ホンの言い訳ですが。)

それでは、皆様、どうぞ素晴らしい21世紀を楽しくお迎え下さい。

今後共、プロ“M”をどうぞ宜しくお願い致します。


12月24日(日)

毎年必ず思うことがある。なぜに12月はこんなにも早く過ぎ去ってしまうのか。
いつもと同じように仕事をし、考え、処理しているはずのペースが12月の声を聞いた途端にくずれ始める。
かくして、今年も気がついたらクリスマスの時期になってしまっていた。
「小鳥」の制作?
もちろん追われていますよ。そうなのだ!忘れていたのだ!
宣伝の時期にも年末年始があるってことを!
計画は大幅にくずれ、新聞その他の記事関係の連絡にてんやわんやの大騒ぎの毎日です。
リハーサルの方は・・・

26日〜27日に恒例の合宿です。場所は「八王子青年の家」!


12月2日(土)

いよいよ12月に突入した。「小鳥」はようやく目に見えて動きだした。
オブジェの篠崎氏との打ち合わせは、定期的に行われる。
作曲家の松本氏へのチェックも欠かせない。宣伝活動は……、少々遅れている。
演奏リハーサルは、先日初回が行われた際、舞台上の演出案を出演者に伝えた。
思いがけない演出に驚いていたが、みんなのイメージが一気に膨らんだようだ。
1つの詩が、心の中のイメージだけでなく、目に見え、耳に感じる作品となることが、
恐くもあり、またワクワクすることを知った。


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